JR西日本草津線の貴生川駅を発車した信楽線列車は,いきなりの峠越えを行う.貴生川駅は野洲川流域にあるが,勾配を登って
大戸川流域(下流で瀬田川〜淀川)という別の流域へ向かう.この2つの流域境の最高点に,小野谷(おのたに)信号場が設置されていた.この信号場は国鉄,JR西日本が経営していた信楽線時代にはなかったが,1991年に信楽町で「世界陶芸祭」が開催されるのに併せ,第3セクターの信楽高原鐵道が列車交換設備の増強目的としてこの年の3月に設置,開業させた経緯がある.
しかし,「世界陶芸祭」会期中の1991年5月14日に,本来,この信号場で行き違いするはずだったJR西日本から当線乗り入れの臨時快速「世界陶芸祭号」と,信楽高原線の普通列車とが正面衝突する事故があったこともあり,事故後の当線再開後も信号場は使用停止状態となっている.
写真は下り列車内から見た信号場.すでに場内信号機は通り過ぎているが,線路右側に信号灯火部を横向きにした上り出発信号機が見えている.写真奥が信楽駅方になる.(2011年4月15日記述,5月23日加筆修正)
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