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アビエス・リサーチ制作雑記

興味深い話題が多かった鉄道書籍について

(2010年5月17日作成、2010年5月17日最終更新)

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 近所の図書館でおもしろそうな鉄道関係の書籍があれば,とりあえず借りて読むことにしている.内容がつまらないとしても,とりあえず借りるのはタダなので,金銭的な損をしないのが「お得」である.

 そんな書籍の中で,最近借りた星晃・米山淳一著「星さんの鉄道昔ばなし・国鉄旅客車Q&A(マイロネBOOKS019)」,JTB,2004.の内容は興味深い話が多く,感動しながら読んでしまった.

 本のタイトルが古臭く,装丁写真を見ても,表紙の撮影会写真と思しき157系や70系の写真は印刷がブレており,裏表紙の0系と富士山や581系の写真はひどく退色したもので,見た感じでは全然おもしろそうな本に見えない.ぱらぱらと中を見ても,著者らの対談をただ収録しただけ,というような手抜き感が漂っているのだが,それらとは裏腹に内容はすばらしかった.

 星晃氏は戦前から戦後の高度成長期にかけて国鉄の多数の旅客車両を設計した技術者で,ヨンサントオ前後に誕生した新性能電車や新幹線などの旅客電車のほぼ全てを何らかの形で担当した経歴があるようで,車両企画・設計時における内部事情や設計,改良,塗色のいきさつについて大変に詳しく,それらの車両が誕生してから50年余り経った今になって読んでも本当にシビれる話が満載の本だった.

 ただ単に作者が国鉄車両について無知なために「興味深い話が満載」という新鮮さを感じたのかもしれないが,修学旅行電車155系の男子便所設置のいきさつや,301系アルミ車の技術がなければ新幹線200系の設計,製作もままならなかったのではないか,という話には唸ってしまった.巻末の著者らが21世紀(2004年)にJR西日本の北陸地区へ現役国鉄型車両を訪ねる旅へ入った際の話題で興味深いと感じたのは,485系の網棚奥に渡してある水平方向の棒のことや,クハ455のクロスシート側上部に付いている3人が持って使えるタイプの手掛けが「日車の若手のデザイナーが考えた」ものだとは知らず,再度唸ってしまった.

 この「3人が持って使える」手掛けだが,作者が千葉県,茨城県に住んでいた時にはそれぞれ113系と415系列の車内で大変にお世話になった.今でも115系や475系列では健在な車両もあるが,中には「1人だけが持って使える」旧タイプの半月形の手掛けが残っている車両もあるはずである.

2004年11月12日 信越本線・新潟・キハ40-563(上)・
2004年1月4日 土讃線・高知・キハ28-2152(下)

 右の写真はその「3人が持って使える」手掛けの写真.写真上部はキハ40-563のもので,クロスシートの通路側上部にはすべてこのタイプの手掛けが設置されている.撮影車両は盛ハヘの所属だが,撮影時は中越大地震の応援で新潟地区に駆り出されていた際に撮影したため,車窓には新潟色(新津色)のディーゼルカーが写っている異色の組み合わせとなっている.

 写真下部はJR四国のキハ28-2152車内だが,この車両はセミクロス改造されている.元々の手掛けは「1人だけが持って使える」半月形のタイプのものだったようだが,セミクロス改造でロングシートとの境界部分のみ,特に立ち客数が多いと予想したためか,この部分のみ「3人が持って使える」タイプの手掛けとした非常に珍しい改造例である.「日車の若手のデザイナーが考えた」この手掛けが,JR化後の車内(アコモ)改造で重宝された感動的な例と言える.(2010年5月17日記述)



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