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アビエス・リサーチ制作雑記

2011年2月11日,manaca運用開始

(2011年2月23日作成、2011年2月23日最終更新)

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2011年2月18日 豊橋市内金券ショップ・レシート(一部分)

 名鉄(名古屋鉄道),名古屋市交通局等に共通利用できるIC乗車券が導入された.すでにJR東海ではIC乗車券「Toica」が2006年から導入されており,名鉄等もこれに対抗すべく,IC乗車券の導入に踏み切ったものと思われる.発売,運用開始は2011年2月11日(金・祝日)だった.

 名鉄等が導入するIC乗車券は「manaca」(マナカ)という名称に決まった.名称のセンスはともかく,名鉄の系列会社(連結子会社)である豊橋鉄道(以下,豊鉄)の渥美線と路面電車の東田本線(以下,市内線)もmanacaを導入するという.導入開始のニュースを聞いた時にイヤな予感はしたのだが,プレミアムの付いていた名鉄の「トランパス」や名古屋市交通局の「ユリカ」(以下,両カードを総称して単に「トランパス」と表記)が廃止されるだけでなく,名鉄,豊鉄の回数券も廃止するという.そしてトランパス等や回数券で上乗せされていたプレミアム等に代わり,manacaでは「マイレージポイント」を導入するというのだが,ほぼ毎日のように鉄道を利用する人以外,ちっともポイントが貯まらないシステムになっている.(マイレージポイントの算出は1ヶ月間の利用回数(や利用金額)から算定するが,かなりややこしいため,ここでは算出方法は割愛する.)

 豊橋市在住の作者の豊鉄,名鉄の利用状況は,豊鉄の市内線にごくたまに乗るだけ(1ヶ月に6〜8回程度),名鉄もたまに利用するのだが,利用時は豊橋〜中部国際空港や豊橋〜新鵜沼等の遠距離利用が多いため,正規の片道運賃よりも安い株主優待乗車証を金券ショップで購入(1150円程度)して利用している.そのため,トランパスも所持しているがほとんど利用していない.とはいえ,5,000円のトランパス等であれば,5,600円分が利用可能であり,10%以上のプレミアムが付くのは大きかった.

 トランパスや回数券の扱いだが,manaca導入前日の2011年2月10日で発売を終了し,トランパスや使用期限設定のない豊鉄回数券(豊鉄HPでは「紙式回数乗車券」と表記)について,現時点では2012年2月10日で失効する予定になっている.特に豊鉄市内線の回数券は割引率も良く,愛用していたので回数券の廃止は痛手である.

 豊鉄市内線の回数券については2011年2月10日までに数冊の買い溜めをするつもりだったが,失念してしまった(2月11日の「manacaデビュー記念カード」も購入するつもりだったが,当日にはすっかり忘れていた).手元の市内線回数券ストックを調べると,特に割引率が高い「買い物回数券」(19枚綴り2,000円,1枚当たり約105円で,正規運賃(全線均一)150円の約3割引)はもう残り4枚だけとなってしまった.

 全日使える普通回数券については2種あり,割引率の高い25枚綴りのものが3,000円だったため,1枚当たり120円(割引率2割)とこれもかなりお得だった.これの手持ちストックも残り10枚程度で,2ヶ月程度で消費してしまう量だった.

 豊橋駅近くの金券ショップでは市内線の回数券バラ売りをしていたはず,と思い,豊鉄回数券発売終了から8日後の2月18日に買いに行ったところ,買い物回数券はなかったが,普通回数券が1枚130円で売られていた.とりあえず12枚購入.その他に手元のトランパスが残額490円しかなかったため,5,000円のトランパスを1枚買った.販売価格は5,100円とのこと.名鉄等ですでにトランパスの発売が終了していることから,600円のプレミアムで利用者が得をすることを見越し,金券ショップで正規価格に100円を上乗せしていたのである.画像は金券ショップのレシートで,「市電」が豊鉄市内線の普通回数券のこと,「ユリカカード」という印字がトランパスである.

 トランパスについては現時点で2012年2月29日までは使用可能で,払戻しについては当面の間,無手数料で可能らしい(但し,プレミアム分については発売価格との比率計算を行って払い戻すようです).この点は「紙式回数券」と異なる点で,回数券は利用開始後の払戻しは一切できません(全券片未使用の場合,手数料との差額が払戻しになるようです).

 なお,5,000円のトランパスはこの金券ショップではかつて4,950円で売られていた.購入価格で50円お得だったが,2月18日現在,名鉄等での「トランパス販売終了,マイレージポイントが貯めづらいmanacaに移行」という状況につけ込んでの「100円上乗せ」である.この「100円上乗せ」からもmanacaのマイレージポイントサービスがいかにケチ臭いかが感じられるかと思います.

 manacaは鉄道乗車券以外に買い物等の「電子マネー」機能を前面に押し出してのPRが目立つような気がします.IC乗車券で買い物をすると,お金(現金)と異なり,まるで魔法で買い物をしたかのような「錯覚」に陥ります.

 運用開始当初から電子マネー機能を意識した点は,ICカード乗車券の「先駆者」とも言えるJR東日本のSuicaが運用開始した時点での感覚と異なるかと思います.Suicaの電子マネー機能について,当初は「準備工事」的な側面があり,当初,SuicaはJR東日本の首都圏の鉄道乗車でのみ利用可能でした.電子マネー機能については,JR東日本幹部も「この(Suicaの電子マネー)機能には懐疑的だった」(引用文献:山之内秀一郎,2008.「JRはなぜ変われたか」.毎日新聞社.)と述懐していることからも分かるように,「チャージ」してまでわざわざ買い物はしない,と思われていたようです.実際,電子マネー機能の普及を見越したとすれば,Suicaのチャージ上限額は2万円ではなく,5万円程度にしていた気がしないでもありません.

 manacaの導入により,名鉄も豊鉄もお得だったきっぷ類は廃止となりました.金券ショップも「商品ラインナップ」が減少していくことになります.鉄道離れを食い止めるために,作者のようにそこそこの利用回数がある人に対して回数券等が発売されていた側面もあるかと思います.そういった「お得なきっぷ」を廃止していくことで,かえって鉄道事業者は自らの首を絞めているということはないのでしょうか.JRグループではICカード乗車券は導入しても回数券類は継続して発売しています.少なくとも,作者の感覚からするとmanaca導入は「名鉄グループ,名古屋市交通局の実質的な値上げ」としか映りません.(2011年2月23日記述)



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