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2012年6月6日 東海道本線・熱海駅
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ベスト3の残り1冊は草町義和著「鉄道未完成路線を往く」,講談社ビーシー,2011.です.
鉄道の未完成路線(未成線)を現地踏査や計画図等から考察する本で,前述の「幻の国鉄車両」の路線バージョンとも言え,ジャンルとしての傾向は似ていますが,未完成路線の場合,一部橋脚やトンネル,用地買収のみ成立した土地などが現地に実際に残っている場合も多く,実地踏査を行ってみたい楽しみが膨らみます.
巻頭に8ページのカラー写真や図はありますが,その他のページはすべてモノクロです.しかし,余計なものを削ぎ落とした路線図は大変に見やすく,ポイントを押さえた未完成路線写真なども情報量として十分です.この本も前述の本も,具体的な計画年や延長などの数値がきちんと示されており,イメージを膨らませるのに役立っています(例えば「本州四国連絡橋公団三十年史」からの断面図等).
特に驚異的だったのは熱海モノレールの熱海駅前第一ビル断面図です.これは「熱海駅前に誕生する熱海第一ビル公募のご案内」からの引用図なのですが,こんな資料をどこから見つけ出したのか不思議になります.この断面図により,熱海駅前第一ビルのどの辺りに未完成のまま放置されているというモノレール駅があるのか,手に取るように分かります.右の写真は熱海駅1番のりばから見た「熱海駅前第一ビル」です.このビルの地下3階にモノレールのりばが計画されていたと言います.(2012年7月8日記述)
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