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アビエス・リサーチ制作雑記

テレビ,列車のチャンネル数

(2012年9月11日作成)

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岩手県盛岡市内 1993年11月

 作者が岩手県盛岡市で暮らし始めたのが1990年代前半です.当時の盛岡は50系客車王国で,普通列車に関しては全く電車化がされておらず,気動車(キハ58,52等)が縦横無尽に活躍していました.国鉄時代末期の車両運用がほぼ踏襲されており,現在の701系のような陳腐なアコモによる窮屈な列車移動ではなく,おおらかな鉄道移動が楽しめました.

 対東京圏に関しても,東北新幹線こそ東京開業を済ませていましたが,上野〜青森間の特急「はくつる」「ゆうづる」はもちろん,急行「八甲田」も臨時列車化はされておらず,毎日運転でした.

 ところで1990年代に茨城県(つくば市)から盛岡市へ移住して,特に面食らったのがテレビのチャンネル数の少なさと,盛岡では放送されないコンテンツの多さでした.これは20世紀末頃まで,東京圏から地方都市へ転勤した人の多くが感じることのようです.当時,盛岡市で視聴可能な民放は日テレ系(テレビ岩手・TVI),TBS系(岩手放送・IBC),フジテレビ系(岩手めんこいテレビ・MIT)の3チャンネルのみで,テレビ朝日系,テレビ東京系は一部番組がいわゆるクロスネットされていただけでした.

 テレビ朝日系列が見られないため,当時の盛岡の人は「ニュースステーション」を日常的に視聴できない状態で,まず,これが非常に痛いところでした.

 フジテレビ系(岩手めんこいテレビ)に関しては作者の盛岡在住の少し前にやっと開局したのですが,バラエティー番組の多いフジ系が入ったことで特に若年層には「画期的な出来事」と言われていました.

 盛岡へ移住する以前には,つくば市のケーブルテレビ(ACCS)無料放送でテレビ神奈川(TVK),テレビ埼玉(TVS),千葉テレビ(CTC)の3局の関東ローカル局が画像こそ粗かったものの視聴可能(当時)で,それぞれ横浜ベイスターズ(当時),西武ライオンズ,千葉ロッテマリーンズの主催試合を数試合放送することもあり,重宝していました.

 当時の盛岡でのプロ野球テレビ観戦は壊滅的です.年間,数試合の巨人戦を放送するくらいで,パ・リーグの観戦は地上波では絶望的でした.但し,NHK-BS放送やケーブルテレビ等はありましたから,チューナー購入等を行い,視聴契約等を結べば,TVKなども盛岡で視聴可能ではあったようです.

 また,岩手県内でも県境付近在住者は隣接県の放送が視聴可能な場合があることから,盛岡市よりもむしろ県境地域の方がテレビ放送という観点からは恵まれていた場合もあることも特徴的でした.青森県境付近の在住者は,「笑っていいとも!」を夕方に視聴可能(青森テレビ(ATV,TBS系列)は「いいとも!」を平日の夕方に録画放送している)で,小学生が帰宅後に「いいとも!」が見られるという環境です.

 先述のように,1990年頃の盛岡との対東京までの鉄道移動手段は,新幹線をはじめとして寝台特急,夜行急行なども選択肢としてあり,ある意味,列車のチャンネル数はまだ多かったと言えるかと思います.しかし,当時のテレビ放送を例に取った場合,そのチャンネル数は少なく(民放2局),東京圏とは情報量で大きな格差があったといって過言ではないと思います.

 1991年にフジテレビ系列の岩手めんこいテレビが,1996年にテレビ朝日系列の岩手朝日テレビ(IAT)が開局し,岩手県もいよいよ民放4局体制となりましたが,鉄道の「チャンネル数」は「八甲田」「ゆうづる」が消え,東北新幹線八戸開業と引き換えに「はくつる」が消えました.現在は鉄道で上京=新幹線で行って下さい,という状況になってしまったと言って過言ではないと思います.

 当ページ掲載の写真は1993年に盛岡市内で撮影したものです(住所と電話番号の一部は画像加工で伏せてあります).「東京のテレビ番組を録画します 詳しい案内書を無料配送!電話かハガキで請求下さい.」とあり,千葉県船橋市西習志野・・・と言う住所(この住所は作者が1980年代前半まで暮らしていたすぐ近くです)と,電話番号(当時は携帯電話がほとんど普及していないため,いわゆる家電(いえでん))の番号が大きく書かれ,「60分360円」の価格表示もあります.どれだけの需要があったのかは分かりませんが,当時の東京圏と盛岡でのテレビ放送コンテンツの差と,携帯電話をはじめとして,You Tube等もまったく普及していない時代背景をすでに感じてしまいます.

 テレビに限りませんが,買い物をする際の商品選択数,即ちチャンネル数は重要な要素です.独占,寡占企業に良い商品は生まれにくいと作者は思います.(2012年9月11日記述)



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