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アビエス・リサーチ制作雑記

都市圏と地方部のテレビ番組の相違

(2012年9月12日作成, 2012年9月13日最終更新)

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 岩手県の民放テレビ局が1990年代に2局増加し,2012年現在,4局体制になったことは昨日の本欄で書きました.テレビチャンネル数は確かに増加しましたが,例えば東京圏等の都市圏で視聴可能な番組コンテンツが地方でも同様に見られるとは限りません.単にチャンネル数が増えることと,コンテンツが豊富になっていくことはイコールではありません.

 その一例を挙げます.2009年のプロ野球ドラフト会議で特に注目されていた一人に,岩手県花巻東高校の菊池雄星選手(以下,敬称略)がいました.菊池雄星は150キロを超える速球を持つ左投げのピッチャーで,日本中やMLB関係者が将来性に注目しました.また,岩手県生まれ,岩手県育ちということもあり,岩手県民の期待も非常に大きいものがあったようです.

 2009年のドラフト会議は在京のTBSをキー局として中継がありました.まず,下画像のドラフト会議当日の東京地区テレビ番組表を見て下さい.放送局名が抜けていますが,左からNHK総合,NHK教育,日本テレビ,TBSテレビ,フジテレビ,テレビ朝日,テレビ東京となっています.

インターネットテレビガイド 2009年10月29日(木) 東京地区(該当ページの一部)

 左から4局目,TBSテレビの15:55から「プロ野球ドラフト会議2009/生中継!怪物菊池雄星史上最多9球団指名か/運命は抽選」という番組名と番組紹介があります.16:53からの民放各社報道関係番組でも,「きょう運命のドラフト高校最速左腕菊池投手どの球団が射止める?(TBS)」「エース菊池の入団先は/速報・・・運命のドラフト(フジテレビ)」「菊池投手どの球団へ(テレビ朝日)」といった具合に,ニュース内容トップに菊池雄星の名前を持ってきており,当日の注目度が伺えます.

 一方,菊池雄星の地元,岩手県のテレビ番組表(下の画像)です.チャンネルは左からNHK総合,NHK教育,IBCテレビ(TBS系),テレビ岩手(日テレ系),岩手めんこいテレビ(フジテレビ系),岩手朝日テレビ(テレビ朝日系),そして一番右欄はNHK衛星第一です.

インターネットテレビガイド 2009年10月29日(木) 岩手地区(該当ページの一部)

 TBS系列のIBCテレビ(岩手放送)では,TBSの生中継を恐らくそのまま放送したであろう番組名「プロ野球ドラフト会議2009」が見え,さらに続けて16:53から「IBCスポーツスペシャル 岩手発信!プロ野球ドラフト速報/花巻東からの中継も」というタイトルほかが見えます.17:50からのローカルニュース「IBCニュースエコー」でも内容紹介は「ドラフト会議・菊池雄星投手はどこへ」がトップです.

 テレビ岩手(日テレ系)も16:25から「5きげんテレビ」枠でドラフト情報があります.番組紹介トップこそ「おやツー・江刺りんごのタルト」ですが,「花東から中継菊池雄星投手はどの球団に」として,花巻東高校からの中継も用意するなど,地元の注目度が伺えます.

 菊池雄星という大注目選手がいたために,岩手でもドラフト会議の中継が組まれていますが,通常の年であれば,ドラフト会議中継はありません.この2009年は特殊な年だったと言って,過言ではないと思います.

 当日のその他の地方部の例として,新潟県のテレビ番組表を見てみます.下の画像です.

インターネットテレビガイド 2009年10月29日(木) 新潟地区(該当ページの一部)

 チャンネルは左からNHK総合,NHK教育,新潟放送(TBS系),新潟総合テレビ(フジテレビ系),テレビ新潟(日テレ系),新潟テレビ21(テレビ朝日系),そしてNHK衛星第一です.

 まず,TBS系の新潟放送で「プロ野球ドラフト会議2009」の放送はありません.この時間帯(16時から)は,「水戸黄門 第5部『浪花女のど根性・大阪』(再)」です.

 他局も含め,番組紹介に「菊池雄星」の名前が登場するのは,16:53「スーパーJチャンネルにいがた」まで待たねばならず,菊池雄星選手はおろか,ドラフト会議に対する注目度も皆無といった状態です.

 何が言いたいのかというと,少なくとも東京圏では放送される,日本国民が注目しているであろう番組コンテンツであっても,必ずしも地方で視聴できるとは限らない,ということです.

 たかがテレビ,と思われるかもしれませんが,チャンネルという「箱」にどのようなコンテンツが入っているか,というのは重要です.インターネットの普及で情報格差は相当に埋まりはしましたが,地方で暮らしているとこの情報ギャップを痛感することがあります.

 話は大幅に逸れますが,中央競馬(JRA主催競走)中継は顕著でした.競馬に疎い人にはまったく分からないこととは思いますが,1990年代の東京圏では土曜のメイン競走時間帯はテレビ東京で,土曜のその他の競走は千葉テレビ等のローカルUHF局で放送されていました.日曜日の場合,メインはフジテレビで,その他の競走は土曜と同様,やはりUHF局が放送していました.つまり原則,東のレースはほぼ全レースが視聴可能だった上,「中央競馬ハイライト」等のダイジェスト番組も充実しており,一般家庭で競馬中継が見られるのは当たり前だと思っていました.

 ところが岩手に来てみると,中央競馬の放送はNHKテレビ(総合)が年に数回,ビッグレース(皐月賞やダービー,宝塚記念,天皇賞(春・秋),有馬記念等)とNHK杯(現在はNHKマイルカップ)を中継するくらいで,GIと言えどもNHKテレビが放送しないオークスやマイルチャンピオンシップ等に関しては中継がありませんでした.NHK杯以外のGII以下の重賞は壊滅でしたし,ハイライト番組も一切ありませんでした.放送がなかった理由には,ノミ行為を助長する恐れがあるためということもあったようですが,牝馬三冠レースすらテレビ観戦が出来ないという状態には唖然としました(1990年代のことです).

 但し,1994年から水沢競馬場(岩手競馬)の場外扱いでJRAの一部レースの馬券が発売開始となったことから,岩手でも中央競馬の中継が一部のレースに限ってスタートし,現在でもこれは続いています.(2012年9月12日記述,9月13日加筆修正)



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