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アビエス・リサーチ制作雑記

ヒトのサイズ

(2012年9月22日作成)

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東京駅 2010年9月30日

 昨日の本欄で,鉄道模型内の時間について記述しました.例えばNゲージ(1/150)での列車速度は現実世界の1/150になりますが,時間の経過は現実世界と変わらない等といったことです.

 模型ではなく,現実世界に想像を拡げて,もし,地球上のヒトのサイズ(身長)が現在の1/2で,他の生物や地球にある非人工的な物体が今現在の現実世界とまったく同じサイズだったらどういう世界になっていたか?ということを考えます.このような世界をここでは便宜的に「ヒト1/2世界」と呼びます.

 例えば現実世界に身長180cm,体重80kgのヒトがいたとします.このヒトはヒト1/2世界では身長は半分の90cmになります.では体重は?というと,半分の40kg,ではありません.体重や体積は縮小率の3乗になりますから,2×2×2=8の逆数,1/8となり,体重は10kgです.

 実際にはこのサイズの人間を構成する骨量の率などが変わってくる(恐らく骨格は細くて済むものと思われる)こと等から,きっちり1/8になるとは思えませんが,便宜的に1/8とします.となると,摂取する水分や食物(エネルギー換算)量も1/8になるはずです.

 ヒト1/2世界では人間の住む家のサイズも小さくなります.家の「体積」も1/8になるはずです.なお,面積は縮小率の2乗(つまり1/4)になるはずですので,土地面積100坪の家に住んでいる人は25坪の土地に住んでいるはずです.

 ヒト1/2世界の家の天井の高さは現実世界の1/2のはずです.現実世界と天井が同じ高さでは不要な頭上スペースが増えるばかりで,家の建設費もおのずと上がりますから,天井の高さは1/2,部屋の床面積などは1/4,部屋の内容積(体積)は1/8になっているはずです.

 家の大きさが小さくなるので,当然,電車(車両)のサイズも小さいはずです.日本の場合,JR在来線のほとんどが採用している軌間(1,067mm)は半分の503.35mm程度になるはずです.車両長は10m前後と思われます.車両重量はヒトの体重と同様,例えば現実世界で30tの電車は,ヒト1/2世界では3.75t程度と思われます.

 不明なのは電化されていた場合,何Vが採用されているのか?です.日本は直流1,500V,交流20,000Vが主流ですが,これらが何Vになるのか?は作者には分かりかねます.

 編成長は恐らく現実世界と同様でしょう.東京圏では東海道線や常磐線,高崎線は15両,つまりヒト1/2世界のフル編成全長は150m程度です.ホーム長さもこの程度で十分です.東京駅で考えた場合,ホーム長さは半分,駅敷地面積は1/4で済みます.駅舎の高さは1/2,駅舎内の空間の広さ(内容積)は1/8です.電車を動かすエネルギーや駅の冷暖房エネルギー,水使用量などは1/8です.

 東京駅の場合,地下の総武・横須賀線ホームの深さはどうなるのでしょうか?ここまでの推計から行くと,深さは現実世界の半分です.蛇足ですが,総武・横須賀線ホームは地下水の大量湧水に悩まされています.ヒト1/2世界では非人工的な地球環境は現実世界と同じですから,地下水の湧水量は恐らく現実より少ないものと思われます.

 東京駅には八重洲南口改札から延々と続く京葉線地下ホームへの通路もあります.ヒト1/2世界ではこの長大通路を反省し,是非とも八重洲改札近くに京葉線ホームを建設してもらいたいものですが,恐らくヒト1/2世界でも京葉線ホームは遠く,八重洲改札間との長大通路は建設されているのでしょう.しかし,通路の長さは現実世界の1/2でしょう.

 ホーム長や通路長が1/2になるのですから,駅間も1/2のはずです.ヒト1/2世界のヒトの歩幅は現実世界の1/2で,街のサイズ(面積)は1/4になっているはずです.現実世界と同じ駅間では街のサイズに比して駅と駅とが離れすぎてしまうはずです.となると,東京〜有楽町間(営業キロ0.8km)はヒト1/2世界では0.4kmのはずです.

 京葉線の東京〜舞浜間は現実世界は12.7キロです.ヒト1/2世界では6.35キロになりますから,東京ディズニーランドは東京駅から6.35キロ先,つまり,千葉県ではなく,正真正銘・東京都に立地していたはずです.

 こうして考えていくと,ヒト1/2世界における東京都の中心部(面積)は現実世界の1/4程度なのかもしれません.現実世界の東京50km圏は25km圏内に,東京100km圏は50km圏に収まる規模かもしれません.

 ところで,列車の速度はどうなっているのでしょうか?ヒトのサイズが1/2ですから,模型と同様,速度も現実世界の1/2が理にかなっていると考えることが出来ます.95km/hの列車は43km/h程度で走行し,130km/hの列車は75km/h程度の速度で運行すれば成立しているはずです.

 となると,現在の通勤圏は距離的に半分にしないと生活が成り立ちません.土浦,古河,上野原や横須賀から東京へ通勤するのはほぼ不可能です.いや,ひょっとするとヒト1/2世界であっても列車速度は現実世界と同じかもしれません.恐らく技術的には可能でしょう.

 但し,快速や特急が駅を通過する際にホームに立っている人の「体感速度」は「現実世界で倍のスピードで通過列車が通っていく」のと同じになることから,ホームの安全柵は必須でしょう.

 そもそもヒト1/2世界でも現実世界と同じ速度で列車が走ってくれないと,那須塩原や軽井沢からの新幹線通勤が成り立ちません.ヒト1/2世界だから新幹線も速度半分,となると,東京〜大阪間は「のぞみ」で5時間超えとなり,日帰り出張は困難になってきます.

 さきほども述べた東京駅八重洲改札〜京葉線地下ホーム間の通路にある「動く歩道」(当ページの写真)の速度はヒト1/2世界ではどうなるのでしょうか?やはり「体感速度」の関係から現実世界の1/2の速度で十分なのでしょうか?なんだか遅すぎる気がしなくもありません.エスカレーターの速度も同様で,ヒト1/2世界では天井まで(隣接階まで)の距離も半分になるので,速度が半分でも支障はなさそうですが,やはり速度半分では遅すぎる気がします.

 現実世界とヒト1/2世界で「長さは半分,面積は1/4,容積は1/8」が当て嵌まらない例はいくつもあります.ヒト1/2世界でもヒト以外の生物は現実世界と同じ大きさだとすると,動物園や水族館の広さ,水槽の容積などは現実世界とまったく同じ可能性があります.

 列車の重量は1/8になる,ということは,かつての横軽越えの場合,編成の総重量は1/8です.こうなってくると,ある程度強力なモーターとブレーキシステムを列車編成内に搭載すれば,EF63重連などなくても66.7パーミルの勾配はクリアできた気がします.

 東京タワーなどの電波塔の高さも不明です.関東平野一体をカバーすることを考えると,ヒト1/2世界でも333mは必要な気がします(半分の166.5mで事足りるとは思えません).人工衛星の高さも現実世界とヒト1/2世界では不変のはずです.

 分からないのが飛行機の速度です.半分の速度では墜落してしまう気がします.列車の速度は半分で,飛行機の速度は現実世界と同じ,では,新幹線は飛行機に確実に負けてしまいます.船の速度もヒト1/2世界でも現実世界と同じ気がします.(他に「物価」やヒトの「寿命」なんかはどうなるんですかね?)

 このように,ヒト1/2世界でも現実世界と寸法や速度が変えられないものはいくつもあります.ヒトのサイズは半分でも,地球のサイズや非人工的な物体の大きさは同じですから,河川の堤防や防潮堤などの高さは現実世界と同じにしなければ洪水や高潮の被害を受けるはずです.

 東京駅地下ホームの深さは半分で済む,と書きましたが,大きな河川の下を通るトンネルの場合,河川の深さは「現実世界」と同じですから,深さ1/2では不足する場合があります.例えば青函トンネルなどはトンネル断面は1/4で済みますが,トンネル長さは現実世界と同じ,トンネルの深さも現実世界と同じでなければならないはずです.このように,ヒト1/2世界でも使用する土砂量などの「体積モノ」が必ず1/8になるわけではありません.

 食物摂取量について,ヒト1/2世界では1/8になると仮定します.となると,田畑の面積は現実世界の1/8で済むのでしょうか?土地生産性が現実世界もヒト1/2世界も同じだと考えると,1/8で済む気もします.

 消費する原油や石炭の量も1/8なのでしょうか?中東諸国から日本に運んでくる原油タンカーの大きさ(排水量)も1/8になるのでしょうか?こんなことにはならず,ヒトのサイズが半分でもエネルギー消費量は現実世界とほとんど変わらない気もします.ヒト1/2世界のヒトもきっと欲深く,エネルギーがあればあるだけ使って行ってしまう気がするからです.(2012年9月22日記述)



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