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アビエス・リサーチ制作雑記

豊橋鉄道渥美線の魅力

(2013年9月6日作成)

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豊橋市明海町(大崎島) 2013年7月31日

 豊橋鉄道渥美線は新豊橋(JR豊橋駅に隣接)から三河田原までの18.0キロを走る地方私鉄の一路線です.線路は渥美半島の付け根部分にあり,特に勾配区間があるわけでもなく,海沿いの風光明媚な線形というわけでもありません.車両は現在ではすべて東急の譲渡車(1800系)で,全列車が3両編成であり,編成もある意味単調です.

 作者も2009年から豊橋市に在住するまで,渥美線には一度も乗ったことのない路線で,はっきり言って特に魅力は感じていませんでした.

 それでも地元の路線ということもあって,一度は全線を乗り通そうと,2010年に初めて乗り通したくらいで,沿線や各駅もあまり探索はしていませんでした.強いて言えば木造駅舎が残っていた柳生橋駅(新豊橋の次駅)近くを通った際に駅舎を見に行ったり,三河田原駅の始発前運用(入換)や高師駅の夜間滞泊状況の撮影に出向くくらいでした.いくら「地元」に住んでいても,「沿線」に住んでいるわけではないので,利用することもなく,特にこれと言って魅力も感じていませんでした.

 豊橋市に住み始めて5年目となった2013年に,あまりにも地元の鉄道を見ていないことに気付かされたこともあり,極力近場の,あまり鉄道ファンも行かないような「鉄道関連」スポットへ行ってみようと思い立ち,渥美線についても関連するユニチカ引込線跡(高師駅より分岐)柳生橋変電所植田変電所杉山変電所の3変電所(渥美線の全変電所と思われる),大清水駅からの豊橋紡績引込線跡などを探索した他,植田駅から沿岸部(三河湾)へ,太平洋戦争時に建設された豊橋海軍航空隊基地への引込線工事跡(工事は途中で中止されている)にも行ってみました.植田駅からの引込線について事前調査した際に,豊橋海軍航空隊基地の立地場所(遠浅の海を埋め立てた大崎島という人工島)と,何よりもその平面形状(3本の主滑走路が正八角形内に収められている)の形態美に強く惹かれてしまいました.

 現在の渥美線南栄駅が開業時(1937年)は「陸軍病院前駅」であり,現在の愛知大学前駅は(一時期,駅自体が休止されていたものの)陸軍第十五師団があったこたから,1924年の開業時は「師団口駅」だったことなど,渥美線は軍との関係がかなり強い路線でした.なお,豊橋海軍航空隊基地のことについては近藤正典著「大崎島」に詳述されており,地元の図書館では閲覧や貸出が可能です.

 大崎島には戦時中に八角形の航空隊基地(飛行場)が出来上がり,戦後は日東製塩の工場や農地として使われた後,東都製鋼(現在のトピー工業)が進出し,埋め立てが拡大して更にさまざまな工場が建つ工業団地になりましたが,もとはと言えば海産物も豊かな遠浅の海だった場所です.わずか数十年という期間に大崎島を含む周辺の環境は大きな変化をしてきたことも事実です.

 写真は現在の大崎島にあるトピー工業正門への道路です.豊橋海軍航空隊基地が建設された際には本土側から大崎島へ渡る唯一の道路で,写真の道路脇にある縁石は海軍航空隊基地時代に設置されていたものということで,現在まで残る数少ない遺構の一つです.もし,渥美線植田駅からこの基地までの引込線が敷設,供用されていれば,ここを貨車編成が通ったに違いありません.(2013年9月6日記述)



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