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アビエス・リサーチ制作雑記

モノレール計画もあった新潟県長岡市の長岡ニュータウン

(2014年10月7日作成,2014年10月12日最終更新)

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 今年(2014年)7月に愛知県小牧市の桃花台ニュータウンへ行き,「ピーチライナー」こと桃花台新交通(小牧駅桃花台東)の廃線跡を探索してきた際,ニュータウンとその住民の通勤,通学先とを結ぶ公共交通機関との関係などに興味を持った.そこで,9月に新潟県長岡市に建設された長岡ニュータウンを探索してきた画像などを紹介します.

 長岡ニュータウンは1970年代に計画,建設が開始され,住宅地・商業地を主体とした中央地区(現在,長岡ニュータウンと言った場合はこの中央地区を指す場合が多い)と国鉄長岡駅(現JR東日本長岡駅)を結ぶモノレール建設まで計画に挙がったという大開発事業でした.

 しかし,当初のニュータウン計画人口が56,000人(周辺部12,000人を含む)に対し,実際には定住者はほとんど増えず,中央地区の居住者も4,000人を下回るなど,ニュータウン計画はどう考えても成功したとは言い難い状況です.

 長岡市全体の人口は1970年に162,262人(当時の人口で,その後の合併市町村含まず)でしたが,長岡ニュータウン計画が出された1974年時点では「1985年の長岡市全体の人口は25〜30万人」と試算されました(*文献1).しかし,実際には1989年の値で人口約183,000人です.

 作者は2000年頃から10年間,新潟県内に住んでいましたが,当時は長岡ニュータウンに対する興味はまったくなかったものの,その後,姫路市のモノレール廃線跡を探索したことや,前述の桃花台新交通廃線跡(廃止というより,放棄といったオーラを放っていた)を見ると,官主導の「街づくり」がうまくは事が運ばない現実を知らされます.

新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 上の写真は長岡ニュータウン(以下,単に長岡ニュータウンという場合は「中央地区」を指す)の中心たるべき地区「青葉台1丁目」交差点です.写真手前側が長岡市街地(長岡駅)側,交差点右に「長岡ニュータウンセンター」(後述)が建っており,この写真でもセンターの一部が写っています.長岡ニュータウンはこの「センター」が開発計画区域の中心には位置しておらず,計画区域のかなり北寄りに位置しています.

新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 前掲写真の撮影立ち位置付近から長岡市中心部方面を撮影したもの.長岡駅はこの写真の右手方向(東側)になる.当日は長岡ニュータウン探索前に長岡駅に近い長岡市立図書館に寄ってから自動車を運転してニュータウンまで来たが,図書館や長岡駅,長岡市役所などがある中心部からかなり遠く,広大な河川敷を持つ信濃川を渡らねばならないこと,市の中心部から10kmほど離れていることから車でも20分以上かかった.

新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウンセンタービルは2階建て.管理は長岡ニュータウン・センター株式会社が行っている,1階は主に貸テナントで,もっとも南側には北越銀行が入っている.新潟県は下越・佐渡地方で第四(だいし)銀行(本社新潟市)の勢力が強く,中越地方では北越銀行(本社長岡市)が店舗数など圧倒的に多い.2階は学童保育などが入っていた.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウンセンタービル1階には他に青葉台コミュニティーセンターという長岡市役所の出張所が入っており,「青葉台コミュニティーセンター和室1」「青葉台コミュニティーセンター和室2」という区画もあった.他には歯科,食堂「ひまわり」は長岡ニュータウン唯一の外食店舗とも言われている.長岡ニュータウンセンターを管理している長岡ニュータウン・センター株式会社のweb site(http://sinsan.ikidane.com/(2014年10月7日閲覧))によると,当センタービルは「長岡ニュータウンの居住区のセンターエリアに立地している施設.ニュータウン住民の方々をはじめ来訪者のために都市機構をはじめとした公共施設やレストランなどが入居しています」とある.恐らくここでいう「レストラン」は食堂「ひまわり」のことと思われる.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウンセンターに掲示されているニュータウン概要図.「公園都市」「丘の上物語」といった文言や写真から,元々は山林主体の丘陵地を開発したことが分かる.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウンの空撮写真だが,中央の赤線で囲まれた四角形部分が青葉台住宅地(青葉台2丁目,4丁目)になる.その右上は「陽光台住宅地」なのだが,計画通りに住宅地が売れず,この掲示では「スポーツ・健康ゾーン」となっている.さらにその上は「国営越後丘陵公園」という官主体の大規模公園が建設された.なお,この写真を見ると「青葉台住宅地」がもっとも面積が大きく,「陽光台住宅地」はそれよりやや小さいか同規模,国営越後丘陵公園はさらに小さく見えるが,実際には真逆で,国営越後丘陵公園がもっとも面積が大きい.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウンセンターを含む青葉台住宅地部分の拡大.この写真の上が南,下が北方向になる.「現在地」が長岡ニュータウンセンターで,実質の住宅地は「現在地」直上を東西に走る道路の上(南)側の青葉台2〜5丁目部分だけである.一番下にニュータウン内唯一の中学校「青葉台中学校」がある.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 「長岡ニュータウン計画図」とあるが,建設当時の計画図(*文献2)と比較すると住宅地面積や学校などの施設数はまったく異なる.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 越後交通長岡ニュータウンセンターバス停の発車時刻表.長岡駅ゆきは中央2列だが,平日も土休日も実質1時間に1本ないことが分かる.このような現状でも,かつては長岡駅からここまで,モノレール計画があったのだ.なお,長岡ニュータウン計画初期段階では公共交通計画に対して,以下のように構想されていた(*文献3).「未来交通について,ニュータウン内の日常交通として,24時間運行を原則としたデマンド・バス,システムを採用する.利用方法は,特定の電話で,幹線を循環しているバスを呼ぶことができる.これは現状と大差ない費用で利用できる.又,既成市街地へも方面別にネットされ広域的利用も考える」とある(「デマンド・バス,システム」のカンマは原典どおり記述した).マイカー利用がほとんどという現状からはうまく想像できないシステムだが,昭和40年代の発想だとこのようなシステムが想定されたらしい.なお,長岡ニュータウンから「既成市街地」までのモノレール計画については,具体的な開通年やルートなどの文献,情報を探し出すことが出来なかった.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウンセンターバス停14:50発の「ニュータウン(越後丘陵公園)」ゆき越後交通バスがやって来た.平日の長岡駅からニュータウンへ乗車する状況が分かるバスだが,乗客は数人の高校生らが乗っているだけで,当バス停での降車も,もちろん乗車もなく,通過していった.長岡駅から長岡ニュータウンまでのルートはモノレールによる輸送も計画されていた区間だが,現状はというとこのような状況である.なお,バスで長岡駅〜長岡ニュータウンセンター間の所要時間は30分強,運賃は大人390円である.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウンセンターに建つアカチャンホンポ長岡店.センターには他にホームセンターなどの大型店が出店している.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 道路も,駐車場も広々としている.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 ニュータウンの宅地はほとんどが1戸建てだが,さすがに1軒あたりの土地面積も,家も,日本の標準的な家屋に比べて大きい.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウン内唯一といって良いものと思われる高層住宅は,ニュータウンセンター近くに5階建てのものが2棟並んで立っている.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 5階建て住宅は「サンコーポラス青葉台」と名乗る高齢・障害・求職者雇用支援機構のいわゆる雇用促進住宅.やはり官主導の街造りとなっている.なお,住宅の看板などは「雇用・能力開発機構」のままになっていた.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 5階建てでありながらエレベーターはなく,階段のみ.外壁には風呂のバランス釜が飛び出し,ザ・官舎といったオーラを放っている.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 2棟あるうち,1棟(2号棟宿舎)は完全退去になったようで,すべて空き家になっていた.写真は空き家になった2号棟の入口の一つだが,積雪地対応として階段部分入口もアルミ製のドアで仕切れるようになっていた.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 全戸に養生テープで目貼りされた2号棟の集合ポスト..


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 建物自体は比較的新しいのか,階段なども非常にきれいで痛みもほとんどない.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 右が全空き家となった2号棟,左が1号棟.その中間に公園がある.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 1号棟には管理室が併設されていたが,管理人は常駐していなかった.2014年現在は約週1回の頻度で職員が巡回するらしい.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 ドアや窓で完全に密閉できる自転車置き場も印象的であった.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡ニュータウン内のゴミ処理の特徴として,「廃棄物運搬用パイプラインシステム」というのがある.ニュータウン内にあるゴミ投入口からゴミを入れると,集塵センターへ自動で運搬されるというものである.UR都市機構の「長岡ニュータウンの概要」webページによると,「きれいな街づくりをめざして画期的なゴミ処理システムを採用.朝6時〜夜12までの間ならいつでもゴミだしが出来ます.道路脇の所定の投入口に投げ込むだけで集塵センターに集積されます.カラスや猫などによって散らかされることも,嫌な悪臭を放つことなく街はいつも快適です」とある(URL:http://www.ur-net.go.jp/nagaoka/summary/(2014年10月7日閲覧).


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 長岡市環境施設課が作成した「ニュータウン 家庭ごみと資源物の収集日と分け方・出し方」.これによると廃棄物運搬用パイプラインシステムで出せるゴミは「燃やすごみ(毎週水・木曜)」「生ごみ(毎週月・火・土・日曜)」「燃やさないごみ(毎週金曜)」であり,ごみの種類によって出せる曜日は決められている.前述のUR都市機構が記述する「いつでもゴミだしが出来ます」はごみの種類を限定しなければ正しく,日曜日も出せるのは珍しい.なお,廃棄物運搬用パイプラインの「投入口」に入れられるゴミの大きさ(指定ごみ袋)は極小,小,中のみで「大」は利用できない.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 前掲の雇用促進住宅前に広がる空き地.ここも住宅予定地であるが,ニュータウン内はこうした空き地が実に多い.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 青葉台地区と国営越後丘陵公園の中間にある「陽光台」地区.ここは前述のように,「スポーツ・健康ゾーン」に位置付けられており,運動公園としてサッカー場などが整備されている.撮影当日はニュータウン内の運動会があったようである.なお,当初の計画図(*文献2)では写真に写っている場所は中学校予定地である.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 前掲写真の西側を撮影.建設残土かなにかの盛土がされているが,ここは当初計画(*文献2)では小学校予定地であった.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 写真では小さくしか写っていないが,陽光台地区の空き地に盛土の丁張が設置されていることから,ここも公共事業が進められるようである.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 陽光台地区.建設用ブルドーザーが小さく見えるほど,空き地が広い.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 ニュータウン内の道路.片側2車線で広いが,冬季は1m以上の積雪も珍しくなく,除雪すると道路脇は雪がうず高く積み上げられることになる.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 青葉台5丁目の一角.家それぞれが首都圏の感覚からすると相当に離れて建っている.なお,この付近には高等学校も建設される予定だったが,ニュータウン内(及び周辺)に高等学校はない.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 ニュータウンの南側にある国営越後丘陵公園の入口付近.写真の橋の右奥の場所は前掲の運動公園となった場所とは別の小学校が計画されていた用地である.ニュータウン内には当初11の幼稚園,5つの小学校,3つの中学校,高等学校が1つ,大学が1つ建設される予定だったが(*文献2),2014年現在,小学校,中学校そして大学(長岡技科大)が1校ずつ建設されたに過ぎない.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 国営越後丘陵公園の一部.入場には入園料金がかかり,駐車場も有料である.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 現在,長岡ニュータウンと呼ばれる青葉台や陽光台の東側の台地(高頭町(たかとうまち),関原町)にも住宅地などが計画されていた.写真は関原町付近の中学校建設予定地(当初計画(*文献2)).森林自体は伐られ,開発はされたが空き地のままである.


新潟県長岡市・長岡ニュータウン 2014年9月20日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 前掲写真に隣接する高頭町付近の当初計画(*文献2)における小学校建設予定地.こちらは建設残土処理上か,あるいは仮置き場となっていた.とにかくニュータウン計画地域内を探索すると,住宅地域面積は当初面積から比べると僅かで,他は空き地かなんらかの建設公共事業が進められている区画となっているのが現状であった.(2014年10月7日記述,10月12日加筆修正)


参考文献
*文献1:地域計画連合(編),1974.長岡ニュータウン基本構想.61pp. 地域計画連合.
*文献2:長岡市(編),1977.長岡ニュータウン計画図.長岡市.
*文献3:地域計画連合(編),1974.新しい都市(まち)づくり−長岡ニュータウン構想.10pp. 長岡市.



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