プロ野球北海道日本ハムファイターズ全試合観戦のシミュレーション

　2014年のプロ野球のいわゆるレギュラーシーズンが終わり，パ・リーグ，セ・リーグともにクライマックス・シリーズも終了して日本シリーズにはパはソフトバンクホークス，セは阪神タイガースが進出しました．

　作者がプロ野球の試合を球場で実際に観戦するのは年に多くて8試合程度でしたが，今年は2試合だけしか観戦しませんでした．なお，2014年のレギュラーシーズンは各チームとも計144試合（引き分けは再試合なし）でした．

　贔屓チームまたは地元チームのシーズンチケットを購入して，フランチャイズ（本拠地）球場での全試合を観戦した，という人の話は何人か聞いています．ホームゲームは全144試合の半分の72試合ですが，地方球場開催のホームゲームがあるため，実際に本拠地で行われるのは65試合前後と思われます．

　日本のプロ野球は試合開始から終了まで，3時間半程度はかかるため，年間65試合を観戦するだけでも相当に大変そうですが，各球団の主力選手をはじめ，監督，コーチ，そしてトレーナー，通訳などのいわゆる裏方も，地方遠征も含め，この144試合のために各地へ移動し，そして戦っています．球団は膨大な遠征費を負担することになります．

　一方，観戦するファン側もシーズンチケットで年65試合程度を観戦し，地方球場の主催試合も，さらに他球団フランチャイズでのいわゆるビジターゲームもすべて遠征して「全試合観戦」となると，桁違いの労力と，そして費用がかかってきます．

　さすがに作者は「年間通して，贔屓チームの，全試合を観戦した」という人に会ったことはなく，webで検索してもそれらしいブログやサイトは現時点では見当たっていません．

　定年退職した人が「夫婦で豪華客船に乗って世界一周した」といった類の話を聞きます．聞くと期間は3ヶ月〜半年程度，費用は夫婦で1,000万円とか2,000万円といった額のようです．

　長い時間をかけての世界一周もおもしろそうですが，特定のシーズンの特定のプロ野球チームの全試合（もちろん試合開始から試合終了まで）を「おっかけ」る旅行も魅力的です．実際にどれくらいの費用がかかるのかをシミュレーションしてみました．

　おっかける「特定の球団」は自宅近くの球団がもっとも安上がりなはずですが，実際には球場まで徒歩や自転車，原付などで到達できる距離にないと，結局はホテルなどを使って外泊しなければなりません．

　今はホテル代も安くなりましたが，連戦を考えると特定球団の本拠地球場近くにアパートなどを借りてしまう方が手っ取り早い感があります．

　作者は当サイトの制作雑記でも書いたように千葉ロッテマリーンズのファンですが，屋外球場を本拠地とする球団は雨天中止が多く，小雨程度だと試合も行われるため，全試合観戦は体力的にも費用的にもシビアになってきます（後述）．

　そこでシミュレーションに当たっては，本拠地がドーム球場で，球場近くにわざわざアパートを借りるのであれば，是非一度は住んでみたい北海道を本拠にする，北海道日本ハムファイターズ（以下ファイターズ）の全試合観戦としました．

　下の表は札幌ドーム至近の場所にアパートを借り，ファイターズのレギュラーシーズン全試合を観戦した際の宿泊地，移動交通機関などをシミュレーションしたものです．費用はホテル代を1泊5,000円とし，航空運賃は2014年4月現在の全日空通常運賃のちょうど半額，鉄道運賃は新幹線通常期指定席，在来線特急も通常期指定席で算出してあります．

　上記のホテル代，航空運賃，鉄道運賃を合計すると1,363,530円です．航空運賃を「通常期の半額」としたのは年間スケジュールが（雨天中止などによる追加日程以外は）分かり切っていることから，旅割などの大幅割引を受けられるためです．

　上記の表に含まれていない主な費用として，観戦チケット代，空港から球場やホテル等までの運賃，球場とホテルまでの往復運賃などですが，これは1試合あたりのチケット代を4,000円程度とし，それに1,000円の「諸費用」を合計した5,000円を空港から球場まで等の運賃を含んだ1試合あたりの「経費」として考え，年間144試合で5,000×144=720,000円とします．

　また，札幌で借りるアパート代が入っていません．家賃（光熱費含む）を6万円として3月から10月まで借りると試算すると48万円です．これらをすべて合計すると，2,563,530円となることから，250〜300万円程度あれば全試合観戦は可能ということなります．

　表のうち，「自宅」は作者の豊橋市内の自宅，「実家」はつくば市内の実家です．あくまで自分自身のシミュレーションですので，この部分は普遍的ではありません．また，食費は入っていません．アパートで自炊する等，この費用も工夫次第で節約は可能です．

　 上記のシミュレーションはあくまで一例であって，どの球団を「おっかけ」対象とするか，自宅がどこなのか，知人宅泊などが積極的に使えるか，等でかなり額は変わって来るものと思われます．

　作者の場合，パ・リーグファンのため，セ・リーグ球団をシミュレーションする考えは思い浮かびませんでしたが，セの場合，巨人の全試合観戦として飯田橋や市ヶ谷駅付近に（家賃はむちゃくちゃ高いが）狭くても古くてもいいのでアパートを借りれば，巨人とヤクルトの本拠地主催試合（それぞれ東京ドームと明治神宮球場）は試合終了時刻が遅くなっても，それこそ歩いてアパートへ戻れるので，家賃は高くてもホテル代を減らすことが可能です（他に横浜スタジアムや西武ドームでの試合もホテル泊とせず，アパートまで戻っての宿泊を前提として考えられそうです）．

　パ・リーグ6球団のうち，本拠地球場が屋根付き（ドーム球場）なのは，ファイターズ（札幌ドーム），西武ライオンズ（西武ドーム），オリックスバファローズ（京セラドーム大阪），ソフトバンクホークス（福岡ヤフオクドーム）と4球団もあるため，ドーム球場本拠地球団が2球団（巨人の東京ドーム，中日の名古屋ドーム）しかないセに比べて圧倒的に雨天中止が少なく，スケジュールが組みやすく，予備日の試合や追加日程がほとんどなく，全体的に費用が安く済みます．

　ファイターズはこの恩恵が特に顕著で，札幌移転前の東京で主催試合を行う場合も東京ドームで行うため，これも実質的に雨天中止がありません．実際，2014年の雨天中止は6月6，7，24日の横浜戦（横浜スタジアム），8月19日の楽天戦（コボスタ宮城）のみです．

　このうち，6月の横浜戦は当初予定の6，7日2連戦が雨で流れ，その追加日程となった24日も雨で試合中止となったことから，横浜ベイスターズのような屋外球場を本拠地とするチームはスケジュールどおりに事が運ばないことがよく分かります．

　なお，オープン戦や7月のオールスター（2014年は計2戦行われた），10月のポストシーズンマッチであるクライマックスシリーズ（以下CS）及び日本シリーズは計算に入れていません．

　ファイターズはレギュラーシーズン3位でCSに進出し，10月11日から京セラドームで2位のオリックスとCS第1ステージを戦いました．これが第3戦までもつれたうえ，第3戦予定の13日は台風19号の影響でドーム球場でありながら「荒天中止」となり，予備日の14日にずれこみました．

　ファイターズは第1ステージを突破し，15日から福岡ヤフオクドームでソフトバンクと対戦しましたが，これまた最終第6戦までもつれる激戦でした．これらも「おっかけ」て観戦するとなると，チケット代，交通費，ホテル代で数十万円かかるかと思います．

　それでもシミュレーションして思ったことは，（豪華客船世界一周などに比べれば）それほど高額ではない，ということです．アパートまで借りて300万円もあれば実現できそうです．問題は体力の方かもしれません．全試合，固いイスでじっと座って観戦するのは相当に疲れそうです．しかし，それに近いことをこなしているプロ野球の監督やコーチはやはりすごいものがあります．そんなことにリスペクトしながら観戦するというのを考えるだけでも楽しいものです．（2014年10月26日記述）