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アビエス・リサーチ制作雑記

FM放送の現状とFMチューナー

(2015年10月6日作成)

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Pioneer FM STEREO/AM TUNER F-120D基板(一部)
(2015年8月撮影,調整可能な構造になっているコンデンサ,コイルが多数あることが分かる)


 音質の良いFM放送から音楽がどんどんなくなり,けたたましいスタジオトークばかりになってしまったと言われて久しいと思います.1990年頃になると,FM放送が音楽ソースとしての重要な位置付けではなくなってしまい,カーステレオなどで時事ネタやローカルネタを聴く媒体に変わってしまったことが原因かと思われます.

 それでも,NHK-FMは海外のライヴ録音やN響の定期公演生中継,邦楽も民謡もジャズもロックも・・・と,さまざまなジャンルの音楽を流してくれています.

 手に入れた数台のFMチューナーで,あれこれ色々な放送を聴いていくと,民放のFM局に比べ,殊にNHK-FMは音質が良いのではないか?という感想を持つようになりました.

 その「説」を支持する記述が一般書籍にもありました.城山敏郎著「趣味の電子工作 再入門!なぜコンデンサーは最初に壊れるのか」(2015年3月・秀和システム発行)のp.135から「FMチューナーの音をもっと良くしたい」の項を読んでいくと,SONY ST-S333ESXの改造,調整をしていく手順に続いて,「改造と調整が進むと,NHK-FMと民放FMの音の差がはっきりと分かります.NHKは放送機材に良いものを使っているのでしょう.地元にはコミュニティーFMがいくつかありますが,何れもNHK-FMと比べるよくない音でした(p.142からそのまま引用.末尾は「何れもNHK-FMと比べるとよくない音」の誤記と思われる)」とあります.

 作者が在住する愛知県の民放FM局(コミュニティFM除く)はFM愛知,zip-FM,InterFM Nagoyaの3局がありますが,作者が聴いている限り,NHK-FMに比べて民放各局では音楽の強弱が薄められており,高音域の伸びが足りません.

 また,作者の居住地にもコミュニティFMはありますが,ステレオ感に乏しく,中音域しか出ていないような感じで,音がボソボソしています.これらの民放,コミュニティFM局に比して,NHK-FMは本当に音質が良いです.ライヴ録音などは,鉄道サウンドのナマ録をかじっている者としては,一体どんなマイクロホンで,どうやってこんな高音質なサウンドを拾っていくんだろう?と,不思議でなりません.

 NHK-FMには「セッション」というジャズ・フュージョン系のスタジオライブを収録した番組がありますが,ドラムスのハイハットをなでるような弱音から,大音量で叩く音まで,極めてクリアに美しい音で収録し,放送しています.現在のNHK会長(2015年10月現在)はダメダメですが,NHK-FMの音質は最高です.こんな高音質放送が無料なのです(NHKテレビは受信料が必要ですが,ラジオはAM,FMともに受信料は必要ありません).

 このような高音質FM放送を聴くためにはやはり良質のチューナーが必須です.昨日の本欄で書いたように,1980〜90年前後に発売された日本のオーディオメーカー製FMチューナーは高音質な機種がたくさんあります.そして現在,当時の高性能機でも中古で数千円程度で買えてしまうものもあり,それほどお金をかけずにFM放送を楽しむことが出来ます.

 しかし,単に故障していない中古FMチューナーを手に入れれば,そのまま高音質のFM放送が楽しめるわけではありません.アンテナをきちんと整備することの他に,チューナーは経年でコイルやトリマコンデンサのズレが必ず発生します.これを定期的に調整する必要があるのですが,これらの調整には専用機器や専門技術が必要になってきます.

 チューナーはターンテーブルやテープデッキと異なり,モーター等を使った回転部品は基本的になく,磁気ヘッドやレコード針のような摩耗による消耗部品もほぼないことから,比較的メンテナンスフリーで長期に亘って使い続けることが出来る機器ですが,やはり「アナログ」機器だけあって,トリマ等の調整が必須になってきます.20〜30年前のチューナーを現在でも使い続けていくには,これらの調整は避けて通ることが出来ません.

 中古チューナーを良い状態で使うには,整備に出して一通り調整してもらうことが必要です(つまり,お金がかかります).しかし,こうして調整した高性能FMチューナーは,本当に,とんでもなく良質な音を奏でてくれるのです.(2015年10月6日記述)



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