TOP更新情報カテゴリ路線別列車別鉄道サウンド切符リンク集岩手県の魅力当サイトについて撮影機材

アビエス・リサーチ制作雑記

YAMAHA T-2 (FMステレオチューナー)

(2015年10月7日作成)

「アビエス・リサーチ制作雑記」へ戻る

「音響機器」へ戻る


YAMAHA FM STEREO TUNER T-2 (2015年9月撮影)

YAMAHA T-2 評価表

 1978年発売,定価130,000円のYAMAHA製バリコン式FM専用チューナーです.YAMAHA T-2の全体写真は他サイトなどで画像はたくさん見られますので,ここではチューニングノブ周辺部のみの拡大写真を掲載しました.

 デザインは他のチューナーの追随を許さないほどの良さを備えており,チューナー,特にバリコンチューナーの良さを存分に味わえるルックスになっています.電源スイッチ周辺部の写真は本サイト制作雑記「FMチューナーの魅力」ページに載せています.取説によると,高さは70mmとスリムでありながら,重量は7kgもあり,重くてガッシリとした作りが印象的です.

 周波数表示の文字盤とSIGNAL QUALITY,TUNINGメーターが照明に浮かび上がるデザインとなっており,MUTING ON時には同調点でSTATIONインディケータ―のブラックパネルに,赤色の7セグメント数字の同調周波数が光るという,凝った作りになっています.この表示が極めて正確であり,機械的な精密度が極めて高いことを窺い知ることができます.

 中身は7連バリコン登載,検波方式は広帯域レシオ検波となっており,固定と可変出力を備えていますが,可変出力についてはフロントパネルの真下中央にレベル調整用ボリュームが隠されており,見て良し,触って良し,操作して良し,そして音も良しという,いいところばかり備えたFMチューナーです.

 当サイトの制作雑記でFMチューナーを紹介しますが,音質やデザインについて,5段階(0.5点刻み)で評価を行い,右のようなレーダーチャートにまとめることにしました.評価項目について,簡単に説明します.

 ヌケ:主に中高音域の音質,特に伸びと分離についての評価です.ヌケの良いチューナーは高音成分が良く聴こえ,すっきりした良音を奏でます.

 迫力:主に低音域の音質です.楽器全般に言えることですが,低音をきれいに,きちんと出すことは難しいです.弦楽器もヴァイオリンよりチェロの方が良い音を出すのははるかに難しく,金管楽器にも同じことが言えます.歌も同じです,中高音域で歌うのは平易ですが,地声の限界近くの超低音をきちんと鳴らすのは大変です.良いチューナーは低音が像感を持って,迫力ある音で出てきます.

 情報量:FMチューナーは無線の受信機と言えます.搬送波に乗っているFM波をきちんと捉え,検波,増幅する機械です.良い受信,検波,増幅あるいは左右チャンネル分離性能を持ったチューナーは元々のFM波が持っている情報をきちんと音声信号に変換していきます.情報量の多少はチューナーの性能そのものとも言えます.

 音像感:音声をステレオ再生すると,音像に立体感が生まれ,楽器や演奏者の位置,音の響き,音の強弱など,微妙なニュアンスが感じられるようになります.ステレオセパレーションの値自体も大事ですが,オーディオの世界はその値に比例して音像感が良くなるほど甘いものではなく,楽器それぞれが持つニュアンスや色調の違いをうまく表現したチューナーは,音像感がグっと良くなります.

 所有満足度:デザイン,操作性が良く,堅牢で動作が安定していて,音も良い,となれば,チューナーの所有満足度も上がります.ただ単に「音が良い」「デザインが良い」だけではダメです.チューナーのデザインには部屋が明るい時のルックスもありますが,部屋を暗くしたときに浮かび上がる周波数表示やシグナルメーターなどもデザインの良し悪しに繋がってきます.ボタンやノブの操作フィーリング,パネルや端子の作りなども所有満足度を左右する要素です.

 デザイン:前述の所有満足度と類似しますが,何台ものチューナーを所有すると,置く場所にだんだん困ってきます.大きくても作りが良くて音も良ければ許せますが,もっと小さく出来るはず・・・といった機種もあります.可能であれば高さも薄くて奥行もそれほどなく,それでいて堅牢で操作性やルックスもいいチューナーが良いチューナーということになります.ルックスも機械然とした良さがあったり,ボタンの配置バランスが良かったり,蛍光表示パネルが良かったり,それらが長寿命設計になっているか,なども評価の基準になってきます.

 T-2の音は本当に良いです.ヌケが極めて良く,音がのびのび出てきます.なんと言ってもよいのが音像感で,目をつぶって聴いていると,目の前に楽器そのものが鳴っているかのような音の分離と,楽器ごとのキャラクタの描き分けが出来ています.低音もかなり出ていますが,同じYAMAHAのT-2000と比べるとやや不足しています.物足りない部分は音の立ち上がりの鋭さで,モワっとした甘さが僅かですが感じられます.

 デザインは満点を付けたかったのですが,TUNINGメーターとSIGNAL QUALITYの指針に塗装してある赤色が経年で剥げて来ます.写真には写っていませんが,私が所有するT-2の指針も剥げています.分解して再塗装すれば修理できるようですが,かなりの大仕事になりそうです.

 35年以上前の機種なので,これくらいのことを気にしても仕方がないのですが,本ページでの自身によるチューナーの評価は,極力満点を付けない方針で行きたいと思っています.それだけに,音像感,所有満足度の「5点満点」はこの機種が相当に良いチューナーだという表れでもあります.

 定価13万円と高価ながら,かなり売れた機種のようで,中古を頻繁に見かけます.しかし,1970年代に発売された古い機種ですので,状態はまちまちのようです.「当たり」の個体を購入できればいいですが,大ハズレのものもありそうです.それでも,音もデザインも良い機種ですので,欲しいなあ・・・と思っている方は入手を強くオススメします.

 なお,当ページのYAMAHA T-2の評価ですが,所有するT-2は2015年に調整を行ってもらってはいるものの,アンテナ入力が弱い時に動作がやや不安定です.電解コンデンサなどの劣化等もあると思われる個体です.初期性能を持ったT-2ではないことを前提としての評価ですので,もっと良い結果が得られる場合もあることをご了解下さい.(2015年10月7日記述,2016年2月1日加筆修正)

YAMAHA T-2 規格
型式 FMステレオチューナー
FM実用感度(IHF,300Ω) mono: 1.5μV/8.8dBf
イメージ妨害比 120dB
IF妨害比 120dB
キャプチャーレシオ Local: 1.0dB
DX: 1.5dB
実効選択度(IHF) Local: 55dB
DX: 100dB
SN比 mono: 88dB
stereo: 85dB
全高調波歪率
mono: 0.05%(Local)
0.15%(DX)
stereo: 0.05%(Local)
0.4%(DX)
ステレオセパレーション Local: 55dB
DX: 35dB
周波数特性 30Hz〜15kHz +0.3 -0.5dB
サブキャリア抑圧比 72dB
付属回路 RF MODEスイッチ
AUTO DX回路
OTS
MODEスイッチ
オートブレンド
RECキャリブレーター
デジタルステーション表示
マルチパス端子
電源電圧 AC100V,50Hz/60Hz
定格消費電力 18W
外形寸法 幅435×高さ70×奥行349mm
重量 7kg


 ページの先頭へ戻る

アビエスリサーチ トップへ戻る

inserted by FC2 system