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アビエス・リサーチ制作雑記

YAMAHA T-2000 (AM/FMステレオチューナー)

(2015年10月12日作成)

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YAMAHA AM/FM STEREO TUNER T-2000 (2015年10月撮影)

YAMAHA T-2000 評価表

 1983年発売,定価74,800円のYAMAHA製シンセサイザー式FM/AMチューナーです.YAMAHA T-2000の全体写真は他サイトなどで画像はたくさん見られますので,ここでは周波数やシグナルレベルなどを表示するLED表示部周辺部のみ掲載しました.

 T-2000にサイドウッドと底部を高くする台座を付けたT-2000W(定価85,000円)という機種も発売されており,ある意味本家はT-2000Wであり,T-2000はT-2000Wからサイドウッドと底部台座を取り去り,脚をプアな黒いプラスチックのものに換えて廉価版として発売した感じです.

 さらにYAMAHAはT-2xという高級チューナーも発売していますが,基本的な作りやデザインはT-2000と特に変わりません.T-2xにはサイドウッドや台座はなく,T-2000をブラックボディにしただけのような機種ですが,基盤素材が微妙に違い,電子部品や構成も僅かですが一部異なります.また,出力端子がT-2xでは金メッキされており,T-2000(W)ではHIGH/LOWの2出力になっていますが,T-2xは固定と可変出力の2出力構成になっています.T-2xの定価は98,000円ですが,それより約25%も安いT-2000と構成は大して変わらず,規格(スペック)上の各数値も(重量等を除いて)まったく変わらないため,T-2000はお買い得商品と言えます.

 T-2000の特徴の一つにDIGITAL FINE TUNINGが挙げられます.シンセサイザー方式デジタルチューナーは0.1MHzステップで任意の周波数に合せることが出来ますが,ファインチューニングシステムではさらに1ケタ上げて0.01MHz(つまり10KHz)ステップでのチューニングを可能にしています.ファインチューニングシステムは1981年に発売されたYAMAHA T-8で初めて搭載されました.このファインチューニングにより,電波の高密集地域での受信,遠距離・微弱局の受信,ビート音や混信音等の妨害排除などに高い効果を発揮することが期待されました.

 1980年代,日本も米国のようなFM多局化時代がやってくると言われていました.隣接局の混信や妨害を避けるため,より細かいチューニングが求められる時代が来るだろうと言う予測と,何より他メーカーのチューナーとの差別化を出すために,このファインチューニングシステムを搭載したものと思われます.  しかし,YAMAHAのFINE TUNING方式は,検波コイルの温度変化によるずれによって,同調点をコンピュータが誤って補正してしまうなどの欠点もあり,回路構成も複雑で調整も難しい等,特に「FM多局化」したわけでもない現在において,果たして効果ある技術なのかというと疑問もあります.

 チューナーの音質やデザインについて,5段階(0.5点刻み)で評価を行い,右のようなレーダーチャートにまとめることにしました.評価項目について,簡単に説明します.なお,評価はすべてFMだけであり,AM部は評価の対象外です.

 ヌケ: 主に中高音域の音質,特に伸びと分離についての評価です.ヌケの良いチューナーは高音成分が良く聴こえ,すっきりした良音を奏でます.

 迫力: 主に低音域の音質です.楽器全般に言えることですが,低音をきれいに,きちんと出すことは難しいです.弦楽器もヴァイオリンよりチェロの方が良い音を出すのははるかに難しく,金管楽器にも同じことが言えます.歌も同じです,中高音域で歌うのは平易ですが,地声の限界近くの超低音をきちんと鳴らすのは大変です.良いチューナーは低音が像感を持って,迫力ある音で出てきます.

 情報量: FMチューナーは無線の受信機と言えます.搬送波に乗っているFM波をきちんと捉え,検波,増幅する機械です.良い受信,検波,増幅あるいは左右チャンネル分離性能を持ったチューナーは元々のFM波が持っている情報をきちんと音声信号に変換していきます.情報量の多少はチューナーの性能そのものとも言えます.

 音像感: 音声をステレオ再生すると,音像に立体感が生まれ,楽器や演奏者の位置,音の響き,音の強弱など,微妙なニュアンスが感じられるようになります.ステレオセパレーションの値自体も大事ですが,オーディオの世界はその値に比例して音像感が良くなるほど甘いものではなく,楽器それぞれが持つニュアンスや色調の違いをうまく表現したチューナーは,音像感がグっと良くなります.

 所有満足度: デザイン,操作性が良く,堅牢で動作が安定していて,音も良い,となれば,チューナーの所有満足度も上がります.ただ単に「音が良い」「デザインが良い」だけではダメです.チューナーのデザインには部屋が明るい時のルックスもありますが,部屋を暗くしたときに浮かび上がる周波数表示やシグナルメーターなどもデザインの良し悪しに繋がってきます.ボタンやノブの操作フィーリング,パネルや端子の作りなども所有満足度を左右する要素です.

 デザイン: 前述の所有満足度と類似しますが,何台ものチューナーを所有すると,置く場所にだんだん困ってきます.大きくても作りが良くて音も良ければ許せますが,もっと小さく出来るはず・・・といった機種もあります.可能であれば高さも薄くて奥行もそれほどなく,それでいて堅牢で操作性やルックスもいいチューナーが良いチューナーということになります.ルックスも機械然とした良さがあったり,ボタンの配置バランスが良かったり,蛍光表示パネルが良かったり,それらが長寿命設計になっているか,なども評価の基準になってきます.

総評
 T-2000は大変に音が良いです.低域から高域まで,バランス良く出ています.音がのびのびと出る,というよりは,楽器ごとのまとまりが良く,音像感,定位感に大変優れた音がします.受信性能も申し分なく,情報量もしっかりしています.同じYAMAHA T-2の評価も同様ですが,YAMAHAの広帯域レシオ検波機は音像感が極めて良く,楽器の姿がありありと目の前に表現されます.PLL検波機も音は良いですが,この点では苦手という印象を受けます.しかし,キレという点ではPLL検波機は良く,T-2000のようなレシオ検波機は苦手という印象を受けます.

 PLL検波機であるKENWOOD KT-2020のページで書きましたが,PLL検波の音は飲み物で例えると炭酸飲料のような音です.一方,これもPioneer F-120Dのページで書きましたが,パルスカウント検波の音は天然水のような音です.飲料としての天然水そのもの,つまり水そのものの実力が分かるように,パルスカウントはFMの音そのものの実力が分かるような音です.T-2000や同じYAMAHAのT-2のようなレシオ検波機の音は果汁100%ジュースのような音です.果物そのものの味や香りが分かる飲料,といった感じです.果物のジュースにはもちろん「雑味」もありますが,それがまたいいのです.

 評価のうち,ヌケ,迫力,情報量で4.5点という高得点を付けていますが,それだけYAMAHAのチューナーの音が私の好みだという表れかもしれません.5点満点を付けない主な理由として,YAMAHAが1988年に発売したTX-2000という,YAMAHA最後の高級チューナー(定価100,000円)があり,恐らくはT-2000の音をあらゆる点で超えているのだろうという期待を込めての4.5点です.TX-2000の音は聴いたことがなく,現時点で是非とも音を聴いてみたい機種の一つです.

 T-2000の音の欠点を挙げれば,バランスが良すぎて優等生的な音がする点と,レシオ検波の特徴なのか,高音域がシャリシャリとしていることと,独特のモワッとした音の表現を感じることです.私はこれが好きなのですが,人によっては好みではないかもしれません.なお,音質ではT-2よりT-2000の方が良いと感じますが,T-2の方が音がやんちゃで若々しく,T-2000かT-2どちらかを選べと言われたら,迷いなくT-2を選びます(デザインがカッコいいですし).T-2000は前述のように優等生的で,個性という点では劣ります.

 デザインは直角,直線とアルミの素材感を全面に出した1980年代的デザインで,私は好みですが,T-2000Wとしてサイドウッドなどを付けることを前提にした作りのものを,強引に廉価版とさせるためにそれらを取り去ったデザインのため,フロントパネル側面はプラ部品が剥き出しだったり,脚も汎用品のプアなものをただ付けただけ,という感じで,全体のバランスに気配りのない残念なデザインです.

 外観がカッコ悪いこともあってか,なぜか中古価格は安く,しかし音質はいいのでお買い得です.なお,T-2000に手作り?のサイドウッドを付け,脚を変えたものが中古オーディオ店で「T-2000W」として発売されたこともあるようで,注意を要します(T-2000Wには本体フロント及びリアパネルに「T-2000W」と印字されています).

 電源ボタンやINITIAL STATIONボタンが外れやすく(ボタンは接着してあるだけです),これらのボタンが紛失した中古も時々見かけます.機能上は問題ないのですが,趣味性の高いオーディオは外観が重要です.

 T-2000の兄弟機であり,上位機種であるT-2xの中古価格は,T-2000Wを含めた3機種中で(当然かもしれませんが)もっとも高く,あまり出玉もありません.ブラックボディで周波数表示部やイニシャルステーション表示部が赤色LEDで表示され,同じYAMAHAのT-2同様,黒ボディに赤のLED表示は見た目が非常にカッコいいため,所有満足度はT-2xがもっとも上と思います.

 なお,当ページのYAMAHA T-2000の評価ですが,所有するT-2000は2015年に調整を行ってもらい,少なくとも数値上は初期性能を発揮している個体を聴いています.自信を持って良い機種とお勧めできます.(2015年10月12日記述,2016年2月1日加筆修正)

YAMAHA T-2000 規格
型式 FM/AMデジタルチューナー
<FM部>
実用感度 mono: 0.9μV(10.3dBf)/75Ω
S/N比50dB感度 mono: 1.22μV(12.8dBf)/75Ω
stereo:10.2μV(31.2dBf)/75Ω
イメージ妨害比 100dB
スプリアス妨害比 110dB
AM抑圧比 70dB
実効選択度 85dB(DX)
S/N比 mono:100dB
stereo:88dB
ステレオセパレーション 68dB(1kHz)
全高調波歪率 mono: 0.009%(1kHz, Local)
stereo: 0.015%(1kHz, Local)
周波数特性 20Hz〜15000Hz, +0.2 -0.3dB
<AM部>
実用感度 250μV
実効選択度 30dB
S/N比 55dB
全高調波歪率 0.2%
<総合>
電源 AC100V, 50Hz/60Hz
消費電力 13W
外形寸法 幅435×高さ93.5×奥行357mm
重量 6.5kg


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