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アビエス・リサーチ制作雑記

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LUXMAN T-400 (AM/FMステレオチューナー)

(2015年10月15日作成)

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LUXMAN AM/FM STEREO TUNER T-400 (2015年7月撮影)

LUXMAN T-400 評価表

 1982年発売,定価49,800円のLUXMANシンセサイザー式FM/AMチューナーです.LUXMAN T-400の全体写真は他サイトなどで画像はたくさん見られますので,ここでは周波数やシグナルレベルなどを表示するLED表示部周辺部のみ掲載しました.

 直線を多用したシルバーに輝くボディに,やや横長の水色蛍光管表示が印象に残る外観で,1980年代らしい秀逸なデザインです.プラスチック部品を多用していながら,高級感を絶妙に漂わせており,センスの良さを感じます.

 現在のLUXMANの主力製品はプリメインアンプ等のアンプだと思います.バリコン式の時代には10万円程度の高級チューナーも作っていたメーカーでしたが,シンセサイザー式チューナーでは恐らくT-530(78,000円)が最高価格であり,いわゆる高級機は出していなかったものと思われます.

 1987年にALPINE/LUXMANブランドでT-117というチューナーを出しましたが,特徴は電界の強弱によってパルスカウントとPLLのいずれかの検波方式を選択できるというものでした.中途半端な気もしますし,ユニークとも言えます.しかし,この頃を最後にLUXMANは低価格帯も含めてチューナーを出さなくなったものと思います.

 月刊誌「Stereo」編集部が2013年に行ったLUXMANの土井和幸代表取締役社長へのインタビューでは,製品ジャンルを広げていく予定はあるか?という問いに,「チューナーや電源などに注目しています」と答えています(※).電源についてはその後,ES-35のような電源ボックスなどを出していますが,チューナーについては音沙汰ありません.是非ともユニークな製品を出して欲しいものです.

 チューナーの音質やデザインについて,5段階(0.5点刻み)で評価を行い,右のようなレーダーチャートにまとめることにしました.評価項目について,簡単に説明します.なお,評価はすべてFMだけであり,AM部は評価の対象外です.

 ヌケ: 主に中高音域の音質,特に伸びと分離についての評価です.ヌケの良いチューナーは高音成分が良く聴こえ,すっきりした良音を奏でます.

 迫力: 主に低音域の音質です.楽器全般に言えることですが,低音をきれいに,きちんと出すことは難しいです.弦楽器もヴァイオリンよりチェロの方が良い音を出すのははるかに難しく,金管楽器にも同じことが言えます.歌も同じです,中高音域で歌うのは平易ですが,地声の限界近くの超低音をきちんと鳴らすのは大変です.良いチューナーは低音が像感を持って,迫力ある音で出てきます.

 情報量: FMチューナーは無線の受信機と言えます.搬送波に乗っているFM波をきちんと捉え,検波,増幅する機械です.良い受信,検波,増幅あるいは左右チャンネル分離性能を持ったチューナーは元々のFM波が持っている情報をきちんと音声信号に変換していきます.情報量の多少はチューナーの性能そのものとも言えます.

 音像感: 音声をステレオ再生すると,音像に立体感が生まれ,楽器や演奏者の位置,音の響き,音の強弱など,微妙なニュアンスが感じられるようになります.ステレオセパレーションの値自体も大事ですが,オーディオの世界はその値に比例して音像感が良くなるほど甘いものではなく,楽器それぞれが持つニュアンスや色調の違いをうまく表現したチューナーは,音像感がグっと良くなります.

 所有満足度: デザイン,操作性が良く,堅牢で動作が安定していて,音も良い,となれば,チューナーの所有満足度も上がります.ただ単に「音が良い」「デザインが良い」だけではダメです.チューナーのデザインには部屋が明るい時のルックスもありますが,部屋を暗くしたときに浮かび上がる周波数表示やシグナルメーターなどもデザインの良し悪しに繋がってきます.ボタンやノブの操作フィーリング,パネルや端子の作りなども所有満足度を左右する要素です.

 デザイン: 前述の所有満足度と類似しますが,何台ものチューナーを所有すると,置く場所にだんだん困ってきます.大きくても作りが良くて音も良ければ許せますが,もっと小さく出来るはず・・・といった機種もあります.可能であれば高さも薄くて奥行もそれほどなく,それでいて堅牢で操作性やルックスもいいチューナーが良いチューナーということになります.ルックスも機械然とした良さがあったり,ボタンの配置バランスが良かったり,蛍光表示パネルが良かったり,それらが長寿命設計になっているか,なども評価の基準になってきます.

総評
 T-400の音質についてはそれほど高くありません.1980年代の,デザインの良いチューナーで楽しんで音楽を聴く機械といった感じです.音の伸びがあまりなく,ややこもって聴こえます.音像感(セパレーション)がいまいちで,音が固まって聴こえて来てしまいます.音の広がりや奥行が乏しいのです.低音はやや強めに出ます.低音域に関してはあまり不満はありません.

 受信性能は良いです.作者の住居所からは遠い東山タワー(名古屋市)からのInterFM Nagoyaがきれいに,不満なく受信できます.FMチューナーとしての基本性能はきちんとしています.サイズでは特に高さが低く,奥行きも短いので設置が楽です.

 なお,当ページのLUXMAN T-400の評価ですが,所有するT-400は2015年に調整を行ってもらい,少なくとも数値上は初期性能を発揮している個体を聴いています.自信を持って楽しい機種とお勧めできます.(2015年10月15日記述,2016年2月1日加筆修正)

月刊誌「Stereo」 2013年12月号, pp108-111,「『ステレオ』創刊50周年記念企画 ステレオ50年に見るオーディオメーカーの風景 第1部・特別インタビュー ラックスマン(株)代表取締役 土井和幸氏に聞く」.音楽之友社.

LUXMAN T-400 規格
型式 FM/AMチューナー
<FMチューナー部>
IHF実用感度(75Ω) 0.9μV(10.3dBf)
SN比50dB感度(75Ω) 1.75μV(16.0dBf)
SN比 stereo: 76dB
周波数特性 20Hz〜15kHz ±0.5dB
実効選択度 70dB(±400kHz)
スプリアス妨害抑圧比 100dB以上
歪率
mono:


stereo:
0.05%(100Hz)
0.08%(1kHz)
0.15%(6kHz)
0.08%(100Hz)
0.08%(1kHz)
0.15%(6kHz)
IF妨害抑圧比 100dB以上
イメージ妨害抑圧比 80dB
振幅変調抑圧比 60dB
キャプチャー比 1.5dB
ステレオセパレーション 100Hz: 45dB
1kHz: 50dB
10kHz: 30dB
出力電圧 700mV(1kHz, 100%MOD)
<AMチューナー部>
IHF実用感度 EXT.ANT: 15μV
INT.ANT: 550μV/m
SN比 50dB
スプリアス妨害抑圧比 50dB
イメージ妨害抑圧比 45dB
歪率(400Hz, 30%MOD) 0.3%
出力電圧 250mV(400Hz, 30%MOD)
<総合>
消費電力 7W
外形寸法 幅453×高さ77×奥行229mm
重量 3.0kg


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