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アビエス・リサーチ制作雑記

LUXMAN T-530 (AM/FMステレオチューナー)

(2016年2月3日作成)

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LUXMAN AM/FM STEREO TUNER T-530 (2015年10月撮影)

LUXMAN T-530 評価表

 1982年発売,定価78,000円のLUXMANシンセサイザー式FM/AMチューナーです.LUXMAN T-530の全体写真は他サイトなどで画像はたくさん見られますので,ここではシグナルレベルなどを表示するLED表示部周辺部のみ掲載しました.

 以前紹介した同じLUXMANのT-400と発売時期もほとんど同じですが,デザインはかなり異なります.ボタン類はプラスチックのまるで高級感のないものがただ横に並べてある,という感じで,この部分に関しては高級感があまり感じられません.

 本機写真でも分かるかと思いますが,ステーションチャンネルやステレオランプ,シグナルレベルを表示する赤色LEDが収められたアクリルパネル部分は青緑色の仄かな照明が灯されます.これはバリコン式チューナーのデザインの名残とも言え,アナログメーターなどが一切ないタイプのシンセサイザ機では珍しい手法です.写真には写っていませんが,周波数表示は特に変哲もない感じの蛍光管表示で,T-400の横長の表示の方がカッコいいです.

 他に本機の外観の特徴の一つとして,サイド,トップカバーは一体の木製となっています.ウッドパネルや別売のウッドケースは当時よくあった「飾り」でしたが,筐体が木製のままのシンセサイザ機は本機くらいではないでしょうか.

  チューナーの音質やデザインについて,5段階(0.5点刻み)で評価を行い,右のようなレーダーチャートにまとめることにしました.評価項目について,簡単に説明します.なお,評価はすべてFMだけであり,AM部は評価の対象外です.

 ヌケ: 主に中高音域の音質,特に伸びと分離についての評価です.ヌケの良いチューナーは高音成分が良く聴こえ,すっきりした良音を奏でます.

 迫力: 主に低音域の音質です.楽器全般に言えることですが,低音をきれいに,きちんと出すことは難しいです.弦楽器もヴァイオリンよりチェロの方が良い音を出すのははるかに難しく,金管楽器にも同じことが言えます.歌も同じです,中高音域で歌うのは平易ですが,地声の限界近くの超低音をきちんと鳴らすのは大変です.良いチューナーは低音が像感を持って,迫力ある音で出てきます.

 情報量: FMチューナーは無線の受信機と言えます.搬送波に乗っているFM波をきちんと捉え,検波,増幅する機械です.良い受信,検波,増幅あるいは左右チャンネル分離性能を持ったチューナーは元々のFM波が持っている情報をきちんと音声信号に変換していきます.情報量の多少はチューナーの性能そのものとも言えます.

 音像感: 音声をステレオ再生すると,音像に立体感が生まれ,楽器や演奏者の位置,音の響き,音の強弱など,微妙なニュアンスが感じられるようになります.ステレオセパレーションの値自体も大事ですが,オーディオの世界はその値に比例して音像感が良くなるほど甘いものではなく,楽器それぞれが持つニュアンスや色調の違いをうまく表現したチューナーは,音像感がグっと良くなります.

 所有満足度: デザイン,操作性が良く,堅牢で動作が安定していて,音も良い,となれば,チューナーの所有満足度も上がります.ただ単に「音が良い」「デザインが良い」だけではダメです.チューナーのデザインには部屋が明るい時のルックスもありますが,部屋を暗くしたときに浮かび上がる周波数表示やシグナルメーターなどもデザインの良し悪しに繋がってきます.ボタンやノブの操作フィーリング,パネルや端子の作りなども所有満足度を左右する要素です.

 デザイン: 前述の所有満足度と類似しますが,何台ものチューナーを所有すると,置く場所にだんだん困ってきます.大きくても作りが良くて音も良ければ許せますが,もっと小さく出来るはず・・・といった機種もあります.可能であれば高さも薄くて奥行もそれほどなく,それでいて堅牢で操作性やルックスもいいチューナーが良いチューナーということになります.ルックスも機械然とした良さがあったり,ボタンの配置バランスが良かったり,蛍光表示パネルが良かったり,それらが長寿命設計になっているか,なども評価の基準になってきます.

総評
 T-530の音は良いです.本機の特徴の一つに,C.A.T.システム(Computer Analized Tuning)があります.これは妨害波排除能力を高めるアンテナ・アッテネーター(antenna att.),IF帯域の切替(IF naroow),バーディーノイズを減少させるアンチバーディーフィルター(C.S.filter),ステレオセパレーション調整によるノイズ軽減(hi-blend)の4つの機能を,コンピューターが自動的に選択するものです.C.A.T.システムOFF時には,これら4つの機能を手動で選択することも可能です.

 受信性能は良く,遠隔地の放送局もよく受信します.音は分離があまり良くなく,解像度もイマイチでクォードラチュア検波らしい音ですが,痩せた音ではなく,力強い存在感ある音がきちんと出ています.

 前述したように,フロントパネルのアクリル板全体が青緑色の照明に照らされており,部屋を暗くするとパネルがほんのりと浮かび上がり,外観の雰囲気は良いです.木製の筐体と独特の照明は,LUXMANらしい洒落た特徴となっています.

  なお,当ページのLUXMAN T-530の評価ですが,所有するT-530は2015年に調整を行ってもらい,少なくとも数値上は初期性能を発揮している個体を聴いています.自信を持って楽しい機種とお勧めできます.(2016年2月3日記述)

LUXMAN T-530 規格
型式 AM/FMステレオチューナー
<FMチューナー部>
IHF実用感度(75Ω) 0.9μV(10.3dBf)
S/N50dB感度(75Ω) mono:1.75μV(16dBf)
stereo:16.5μV(35dBf)
歪率(Wide)
mono 100Hz:0.02%
1kHz:0.03%
6kHz:0.04%
stereo 100Hz:0.03%
1kHz:0.04%
6kHz:0.07%
S/N stereo:80dB
イメージ妨害比 80dB
選択度 Narrow(±300kHz):80dB
Wide(±400kHz):65dB
IF妨害比 120dB
スプリアス妨害比 120dB
AM抑圧比 70dB
キャプチャー比 Narrow:2.5dB
Wide:1.3dB
サブキャリア抑圧比 65dB
ステレオセパレーション(Wide) 1kHz:60dB
50Hz〜10kHz:50dB
<AMチューナー部>
IHF実用感度 EXT:1.5μV
INT:550μV/m
歪率 0.3%
S/N 50dB
イメージ妨害比 40dB
<総合>
出力電圧 FM:1V(100%変調)
AM:0.3V(30%変調)
外形寸法 幅453×高さ87×奥行344mm
重量 4.8kg


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