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アビエス・リサーチ制作雑記

Pioneer F-500 (AM/FMステレオチューナー)

(2016年7月18日作成)

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Pioneer AM/FM STEREO TUNER F-500 (2016年7月撮影)

Pioneer F-500 評価表

 1979年発売,定価49,800円のPioneer製バリコン式FM/AMチューナーです.Pioneer F-500の全体写真は他サイトなどで画像はたくさん見られますので,ここでは各種機能ボタンや受信状態を示すLED表示部のみ掲載しました.

 Pioneer のパルスカウント検波機と言えば,シンセサイザー式のF-120Dが有名で,台数も相当に売れたようです.Pioneer は1970年代からバリコン機でもパルスカウント検波方式のFMチューナーを出しており,1979年に7連バリコンのF-700(65,000円),そして5連バリコンの本機・F-500(49,800円)を発売しています.両機は回路がほぼ同じで,奥行以外の寸法は同一,デザインもかなり似ており,いわゆる兄弟機になります.

 チューナーの音質やデザインについて,5段階(0.5点刻み)で評価を行い,右のようなレーダーチャートにまとめることにしました.評価項目について,簡単に説明します.なお,評価はすべてFMだけであり,AM部は評価の対象外です.

 ヌケ: 主に中高音域の音質,特に伸びと分離についての評価です.ヌケの良いチューナーは高音成分が良く聴こえ,すっきりした良音を奏でます.

 迫力: 主に低音域の音質です.楽器全般に言えることですが,低音をきれいに,きちんと出すことは難しいです.弦楽器もヴァイオリンよりチェロの方が良い音を出すのははるかに難しく,金管楽器にも同じことが言えます.歌も同じです,中高音域で歌うのは平易ですが,地声の限界近くの超低音をきちんと鳴らすのは大変です.良いチューナーは低音が像感を持って,迫力ある音で出てきます.

 情報量: FMチューナーは無線の受信機と言えます.搬送波に乗っているFM波をきちんと捉え,検波,増幅する機械です.良い受信,検波,増幅あるいは左右チャンネル分離性能を持ったチューナーは元々のFM波が持っている情報をきちんと音声信号に変換していきます.情報量の多少はチューナーの性能そのものとも言えます.

 音像感: 音声をステレオ再生すると,音像に立体感が生まれ,楽器や演奏者の位置,音の響き,音の強弱など,微妙なニュアンスが感じられるようになります.ステレオセパレーションの値自体も大事ですが,オーディオの世界はその値に比例して音像感が良くなるほど甘いものではなく,楽器それぞれが持つニュアンスや色調の違いをうまく表現したチューナーは,音像感がグっと良くなります.

 所有満足度: デザイン,操作性が良く,堅牢で動作が安定していて,音も良い,となれば,チューナーの所有満足度も上がります.ただ単に「音が良い」「デザインが良い」だけではダメです.チューナーのデザインには部屋が明るい時のルックスもありますが,部屋を暗くしたときに浮かび上がる周波数表示やシグナルメーターなどもデザインの良し悪しに繋がってきます.ボタンやノブの操作フィーリング,パネルや端子の作りなども所有満足度を左右する要素です.

 デザイン: 前述の所有満足度と類似しますが,何台ものチューナーを所有すると,置く場所にだんだん困ってきます.大きくても作りが良くて音も良ければ許せますが,もっと小さく出来るはず・・・といった機種もあります.可能であれば高さも薄くて奥行もそれほどなく,それでいて堅牢で操作性やルックスもいいチューナーが良いチューナーということになります.ルックスも機械然とした良さがあったり,ボタンの配置バランスが良かったり,蛍光表示パネルが良かったり,それらが長寿命設計になっているか,なども評価の基準になってきます.

総評
 F-500の音は良いです.パルスカウント検波らしい爽快な音に,さらに明るさや輝きが感じられます.音像感もあり,定位も良いです.同じPioneer のパルスカウント機・F-120Dより明らかに音が良いです.定価49,800円,廉価機の領域に置かれている感じで,値段相応などと思ってはいけません,超お買い得機と思います.TRIO KT-990の落ち着いた音も良いですが,Pioneer F-500の輝いた天真爛漫な音も素晴らしく良いです.

 上位機種・F-700の音を聴いたことがありませんが,回路構成などから推測すると,F-500とほとんど音は変わらないと思います.定価に比例するように,現在の中古価格もF-700の方が一般的に高く,高価格品の宿命としてF-700は出玉も少ないだけに,逆にF-500は本当にお買い得機です.

 デザインは70年代を感じさせるカッチリしたもので,受信機っぽさが濃厚に残っており,好みが分かれそうですが,チューニングパネルを照らすライト,1980年前後のオーディオ機器の多くが採用した赤と緑のLEDランプなど,バリコン機終焉期の雰囲気を纏っています.

 なお,当ページのPioneer F-500の評価ですが,所有するF-500は2016年に調整を行ってもらい,性能上は特に問題ない個体を聴いています.自信を持って良い機種とお勧めできます.(2016年7月18日記述)

Pioneer F-500 規格
型式 FM/AMチューナー
<FMチューナー部>
S/N比50dB感度 mono:1.8μV/16.2dBf(新IHF)
stereo:20.0μV/ 37.2dBf(新IHF)
実用感度 mono:0.95μV/10.8dBf(新IHF)
SN比(85dBf入力時) mono:90dB
stereo:85dB
高調波歪率
wide narrow
mono: 0.03%(100Hz)
0.03%(1kHz)
0.03%(10kHz)
0.08%(1kHz)
stereo: 0.04%(100Hz)
0.04%(1kHz)
0.09%(10kHz)
0.2%(1kHz)
キャプチャーレシオ wide:0.8dB
narrow:2.0dB
実効選択度 wide:40dB(400kHz)
narrow:60dB(300kHz)
ステレオセパレーション wide:60dB(1kHz)
    50dB(20Hz?10kHz)
周波数特性 20Hz〜15kHz ±0.5dB
RF相互変調特性 97dB(2.5MHz離調)
85dB(800kHz離調)
イメージ妨害比 120dB
IF妨害比 100dB
スプリアス妨害比 110dB
AM抑圧比 70dB
サブキャリア抑圧比 70dB
ミューティング動作レベル 4.9μV(25.0dBf)
アンテナ入力インピーダンス 300Ω平衡型、75Ω不平衡型
<AMチューナー部>
実用感度 300μV/m(バーアンテナ)
15μV(外部アンテナ)
選択度 Wide:18dB
Narrow:50dB
SN比 50dB
イメージ妨害比 45dB
IF妨害比 40dB
<総合>
出力レベル/インピーダンス FM(100%変調)Fixed:650mV/2.2kΩ
           Variable:0mV?1.3V/2.2kΩ
AM(30%変調)Fixed:200mV/2.2kΩ
          Variable:400mV/2.2kΩ
マルチパス出力 Vertical:130mV/10kΩ
Horizontal:400mV/10kΩ
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 22W
外形寸法 幅420×高さ98×奥行403mm
重量 6.8kg
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