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アビエス・リサーチ制作雑記

KENWOOD L-03T (FMステレオチューナー)

(2018年10月7日作成)

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KENWOOD FM STEREO TUNER L-03T (2018年10月撮影)

KENWOOD L-03T 評価表

 TRIO KT-2200を使っていたところ,あまりにも音が良いことから予備機が欲しくなり,同じKT-2200をもう1台所有することも考えましたが,まったく同じ機種を2台持つのも芸がないと思い,KT-2200の「兄弟機」であるKENWOOD L-03Tを入手することにしました.

 L-03Tは「TRIO KT-2200」をKENWOODブランドで発売した上位機種で,違いはL-03Tがブラックボディで内部を銅メッキシャーシとしたこと,そして一番の違いがΣドライブ端子を装備したことです.

 中古価格は相場としてL-03Tの方が高いですが,ヤフオクなどを見ていると,出品点数はL-03Tの方が多い印象を受けます.

 Σドライブは出力インピーダンスを1Ω以下にして出力する方式で,可変出力になっています.本機購入前まで,正直言ってΣドライブは余計で,通常のRCAピンジャックで固定・可変両方が装備されているKT-2200の方が使い勝手がいいと考え,中古価格も高いL-03Tの購入をためらう一因ではあったのですが,前述のように,同じ機種を2台所有するのもどうかと思い,L-03Tを購入することにしました.

 なお,当初はなかったΣケーブルを後から購入して使用してみたところ,「Σ出力は余計」という考えは一蹴されました(後述).

 チューナーの音質やデザインについて,5段階(0.5点刻み)で評価を行い,右のようなレーダーチャートにまとめることにしました.評価項目について,簡単に説明します.なお,評価はすべてFMだけであり,AM部は評価の対象外です.

 ヌケ: 主に中高音域の音質,特に伸びと分離についての評価です.ヌケの良いチューナーは高音成分が良く聴こえ,すっきりした良音を奏でます.

 迫力: 主に低音域の音質です.楽器全般に言えることですが,低音をきれいに,きちんと出すことは難しいです.弦楽器もヴァイオリンよりチェロの方が良い音を出すのははるかに難しく,金管楽器にも同じことが言えます.歌も同じです,中高音域で歌うのは平易ですが,地声の限界近くの超低音をきちんと鳴らすのは大変です.良いチューナーは低音が像感を持って,迫力ある音で出てきます.

 情報量: FMチューナーは無線の受信機と言えます.搬送波に乗っているFM波をきちんと捉え,検波,増幅する機械です.良い受信,検波,増幅あるいは左右チャンネル分離性能を持ったチューナーは元々のFM波が持っている情報をきちんと音声信号に変換していきます.情報量の多少はチューナーの性能そのものとも言えます.

 音像感: 音声をステレオ再生すると,音像に立体感が生まれ,楽器や演奏者の位置,音の響き,音の強弱など,微妙なニュアンスが感じられるようになります.ステレオセパレーションの値自体も大事ですが,オーディオの世界はその値に比例して音像感が良くなるほど甘いものではなく,楽器それぞれが持つニュアンスや色調の違いをうまく表現したチューナーは,音像感がグっと良くなります.

 所有満足度: デザイン,操作性が良く,堅牢で動作が安定していて,音も良い,となれば,チューナーの所有満足度も上がります.ただ単に「音が良い」「デザインが良い」だけではダメです.チューナーのデザインには部屋が明るい時のルックスもありますが,部屋を暗くしたときに浮かび上がる周波数表示やシグナルメーターなどもデザインの良し悪しに繋がってきます.ボタンやノブの操作フィーリング,パネルや端子の作りなども所有満足度を左右する要素です.

 デザイン: 前述の所有満足度と類似しますが,何台ものチューナーを所有すると,置く場所にだんだん困ってきます.大きくても作りが良くて音も良ければ許せますが,もっと小さく出来るはず・・・といった機種もあります.可能であれば高さも薄くて奥行もそれほどなく,それでいて堅牢で操作性やルックスもいいチューナーが良いチューナーということになります.ルックスも機械然とした良さがあったり,ボタンの配置バランスが良かったり,蛍光表示パネルが良かったり,それらが長寿命設計になっているか,なども評価の基準になってきます.

総評
 L-03Tの音は猛烈に良いです.RCAピンジャック出力(固定)で聴くと,KT-2200と音の違いはまったく分かりませんでした.

 本機とKT-2200の違いとして,前述のように銅メッキシャーシの有無がありますが,これは音には特に影響していないようです.

 ここで満足しても良かったのですが,せっかくΣ出力も付いていることから,後日,Σケーブルのみを購入してしまいました.

 繋いでみたところ,一聴して仰天しました.音が全然違います.クリアさが明らかに増し,解像度もグっとよくなっています.それにより,音の迫力が増し,「これぞトリオ」,「これぞケンウッド!」というクリアでクッキリした音が現れます.

 正直,Σ出力には何の期待もしていなかったので,これには本当に驚いてしまいました.

 予備機のつもりでの購入が,一躍,メイン機種に躍り出ました.

 なお,当ページのKENWOOD L-03Tの評価ですが,所有するL-03Tは2017年に調整を行ってもらい,性能上問題ない個体を聴いています.自信を持って良い機種とお勧めできます.(2018年10月7日記述)

KENWOOD L-03T 規格
型式 FMステレオチューナー
受信周波数範囲 76MHz〜90MHz
アンテナインピーダンス 75Ω不平衡
感度(75Ω) Distance:10.3dBf(新IHF)/0.90μV(IHF)
Direct:23.3dBf(新IHF)/4.0μV(IHF)
SN比50dB感度
Distance

Direct
mono:
stereo:
mono:
stereo:
15.9dBf(新IHF)/1.7μV(IHF)
37.3dBf(新IHF)/20μV(IHF)
25.2dBf(新IHF)/5.0μV(IHF)
46.8dBf(新IHF)/60.0μV(IHF)
高調波歪率(ANT in→Σ out、85dBf入力)
mono stereo
wide 100Hz:
1kHz:
15kHz:
50Hz〜10kHz:
0.005%
0.005%
0.02%
0.04%
0.02%
0.015%
0.2%
0.09%
narrow 100Hz:
1kHz:
15kHz:
50Hz〜10kHz:
0.007%
0.05%
0.03%
1.3%
0.1%
0.1%
2.0%
0.7%
SN比(ANT in→Σ out、100%変調、85dBf入力) mono:96dB
stereo:86dB
キャプチャーレシオ wide:0.8dB
narrow:2.0dB
実効選択度(IHF) wide:40dB
narrow:55dB(±300kHz)
ステレオセパレーション(ANT in→Σ out)
wide 1kHz:60dB
50Hz〜10kHz:47dB
15kHz:40dB
narrow 1kHz:47dB
50Hz〜10kHz:35dB
周波数特性(ANT in→Σ out) 15Hz〜15kHz ±0.5dB
イメージ妨害比(84MHz) 90dB
IF妨害比(84MHz) 120dB
スプリアス妨害比(84MHz) 110dB
AM抑圧比 75dB
サブキャリア抑圧比 75dB
レックキャリブレーション 440Hz(50%変調)
出力レベル/インピーダンス(1kHz、100%変調) 固定出力:0.6V/2kΩ
Σ出力(可変):1.5V/1Ω
マルチパス出力 垂直出力:0.1V/10kΩ
水平出力:0.7V/10kΩ
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力(電気用品取締法) 11W
最大外形寸法 幅440x高さ111x奥行337mm
重量 5.4kg

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