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金鶏山鉱泉(安庭鉱泉)

(2008年5月9日作成,2010年7月9日最終更新)

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安庭鉱泉 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 1996年9月15日 NikonF3 EPR・エクタクローム64

 国土地理院発行の1:25,000地形図「和井内」を見ると,岩泉線岩手和井内駅の西約6kmほどの山中に,「安庭鉱泉」(あていこうせん)とあり,温泉・鉱泉のマーク(当時)と数軒の建物が道路のどん詰まりに描かれている.

 地図を購入した時からこの鉱泉の存在は気になっていたが,鉱泉までバスが出ているわけでもなく,駅から徒歩となるとかなり遠く,車がないことには非常に不便な場所にあることから,なかなか行けないでいた.しかし,ついに友人の車に便乗して訪問した時の写真がこれである.清冽な沢(湯ノ沢)のすぐ脇に手積みの石垣があり,その上に木造の入浴施設と,水温が低いためか,それを暖めるためと思われる薪がどっさりと積んである建物が見えた.看板には「金鶏山鉱泉」とあった.値段は覚えていないが,入浴は500円前後だったと思う.客は我々のみで,透明なお湯につかって山間の雰囲気を堪能してきた.



安庭鉱泉 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 1998年9月23日 NikonF3 EPR・エクタクローム64

 金鶏山鉱泉(安庭鉱泉)に再訪したのは,初めて訪問した1996年の2年後,1998年9月だった.一緒に旅行に行った後輩に,山奥に木造の鉱泉がある,という話をしたところ,「あ〜,行きたいです〜」と言うので,夜も更けたがとりあえず行ってみることにした.
 安庭沢を入ると舗装道路の先に「安庭山荘」という施設があり,そこから金鶏山鉱泉へは砂利道になるのだが,この砂利道が2年前に比して明らかに痛んでいる.車の腹を擦りそうになりながら奥へ奥へと進むと,バイクが一台下ってきた.「鉱泉はやっていますか?」と尋ねると,最近になって閉めた,とのこと.行きたがっていた後輩の落胆は隠せないが,とりあえず建物だけでも見ようと,ボコボコの砂利道を詰めて辿り着いたところ,「都合により今年は休業します」という張り紙があって,管理人も誰も居らず,無人の建物だけが残っていた.



安庭鉱泉 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 1998年9月23日 NikonF3 EPR・エクタクローム64

 写真右が金鶏山鉱泉の正面玄関.左の年齢不詳の人物は「あー,入ってみたかったなあ」と落胆しきりの後輩.奥の白い壁の建物は自炊部?か宿泊施設だろうか.
 今,この文章を書いているのが2008年なので,この写真を撮ってから10年になる.一体,これらの建物はどうなってしまったのだろうか?



安庭鉱泉 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 1998年9月23日 NikonF3 EPR・エクタクローム64

 管理人の建物だろうか,プロパンガスもそのまま,タオルか雑巾もそのまま干され,雨戸がしてあるでもなく,ちょっとだけ留守にしています,といったオーラを放っているが,「休業」状態を続けているらしい.



安庭鉱泉 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 1998年9月23日 NikonF3 EPR・エクタクローム64(トリミング処理)

 休業中とはいえ,うず高く詰まれた焚き木.計画通りの休業,ではなく,突発的な休業に突入したことは想像に難くない.



安庭鉱泉 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 1998年9月23日 NikonF3 EPR・エクタクローム64(トリミング処理)

 鉱泉のため,湧出する湯(水)の温度は25度以下のはずである.そのため,入浴するためには水を暖める必要があることから,風呂釜は薪であたためるようになっていたが,その部分もついさっきまで使ってました,と言わんばかりの「原形保持」をしていた.



安庭鉱泉入口 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 1999年11月28日 NikonFM10 RA・フジクロームSensia100

 岩泉線に沿って付けられた国道340号線に立つ安庭山荘及び金鶏山鉱泉入口の案内看板.金鶏山鉱泉の方は確かに「休業」の紙が貼られ,「この先7.5K」の文字上にもガムテープで紙を貼り付けて隠していたらしい跡が残っている.



安庭鉱泉入口 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 2001年5月1日 OlympusCAMEDIA D-860L

 2001年5月に金鶏山鉱泉入口の看板に再訪した時には,その看板の上に「注 金鶏山鉱泉は,新里村の管理となりました.関係者以外の立ち入りと鉱泉の持ち出しを禁ずる.平成十二年四月一日 新里村 地主(地主名がフルネームで書かれていましたが,この画像では伏せてあります)」とあった.鉱泉を汲んで行く者が絶えなかったのだろうか.この時の訪問も1999年11月と同様,列車と徒歩だったため,鉱泉の状況は未確認だが,立ち入りまで禁止されており,この頃から鉱泉の建物がどのようになっていったのか,非常に気になっている2009年7月に探索したので以下にご紹介する.(2008年5月9日記述,2009年9月11日一部加筆修正))



安庭鉱泉入口 岩手県宮古市 2009年7月31日 NikonCoolpixS600

 2009年7月現在の国道340号線から安庭鉱泉への道路入口看板.泉質のほか,鉱泉(安庭山荘)の利用料金,定休日などが表示されている.一般客の外来入浴(1回入浴)は400円(2009年7月時点)である.看板に明記されていないが,盆の期間は臨時休業するようである.

 源泉名だが,「金鶏山鉱泉」と明記されるようになった.(2009年9月11日記述)



安庭山荘〜金鶏山鉱泉跡 岩手県宮古市 2009年7月31日 NikonCoolpixS600

 1998年時点では普通乗用車でも通れた金鶏山鉱泉への砂利道だが,2009年の探索では一部の橋が崩れかけており,車での通行は非常に危険な状態となっていた.作者自身も2009年の探索では湯ノ沢〜金鶏山鉱泉跡地の探索は徒歩で行った.写真は湯ノ沢上流側から崩壊しかかった橋を見たところ.(2009年9月11日記述,2010年7月9日加筆修正)



安庭鉱泉入口 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 2009年7月31日 NikonCoolpixS600

 金鶏山鉱泉の建物があった場所はきれいな更地になっていた.旧駐車スペースから沢を渡る木橋は残っていた.このページの一番最初の写真と同じ位置からの撮影だが,石垣や沢筋に草木が相当に生い茂っているのが分かる.なお,更地の奥には東屋が新たに建てられている.(2009年9月11日記述)



安庭鉱泉入口 岩手県下閉伊郡新里村(現宮古市) 2009年7月31日 NikonCoolpixS600

 源泉は厳重に囲いがされ,第三者が汲み取れないようになっている.安庭山荘へは源泉から導水パイプ(いわゆる黒パイ)で引水している.(2009年9月11日記述)



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