TOP更新情報カテゴリ路線別列車別鉄道サウンド切符リンク集岩手県の魅力当サイトについて撮影機材

山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称) リニア中央新幹線

(2016年11月14日作成,2024年3月5日最終更新)

JR線 リニア中央新幹線へ戻る


リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)(国土地理院web site地図より・2016年11月14日閲覧)

 リニア新幹線は山梨県と長野県の間で静岡県を横断するが,静岡県内についてはすべてトンネル(南アルプストンネル・全長約25km)で貫通させる計画になっており,駅はおろかいわゆる「あかり区間」も設けられない計画である.この地図は静岡県内の計画線形の一部で,赤い破線がリニア新幹線のおおよその計画線形である.静岡県内は南アルプス国立公園を含む南アルプス(赤石山脈)内の東西に横断し,標高の高い部分は3,000m近い稜線の真下を貫通するが,もっとも低い部分は大井川本流が「東俣」と「西俣」に分かれる標高1,450m程度の地下を通ることになる.リニア新幹線が計画されている付近には,中部電力の水力発電関連施設(集水,導水施設,発電施設)や東京電力の田代ダム,特種東海フォレストが経営する二軒小屋などの建物などが建っているが,地形図の等高線を見て分かるように,谷底から稜線部まで標高差1,500m程度ある極めて急峻な山岳地帯である.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)(静岡県静岡市内) 2011年8月2日 CASIO EX-ZR10

 上記の地形図の「@」地点付近から南東側を写したもの.@付近の標高点は1,637mで,写真奥が下流側になる.いわゆる針広混交林であり,ウラジロモミ〜シラビソなどの針葉樹やミズナラ等の温帯〜亜寒帯林要素の樹種が生育する.リニア新幹線はこの撮影地点のほぼ真下を通過する予定となっている.この付近におけるリニア新幹線建設では現在,地下水脈の変化,建設に伴う現場付近の環境変化,残土処理といった問題が発生している.(2016年11月14日記述,2024年3月5日加筆修正)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)(国土地理院web site地図より・2016年11月14日閲覧)

 リニア新幹線建設による静岡県内での問題点のうち,残土処理については建設地域付近の大井川流域に残土処理場を設けて処理する案が上がっている.建設残土処理場の候補地として,燕沢(つばくろさわ)出合い(燕沢と大井川との合流点)付近が挙がっている(地図上の矢印).この地図は前掲地図の南側で,北部にある二軒小屋のさらに北にリニア新幹線が計画されている.この燕沢出合いからリニア新幹線計画線まで最短距離で約4kmである.

 岩手県釜石鉱山では発生したズリ(鉱山の切削で発生した廃土)を,付近の沢地形部に「堆積場」という名のダム構造物を設け,ダムの上流側を残土で埋め立てて堆積させた(例えば当サイトで紹介した中ノ沢堆積場等).これは山岳地帯で発生残土を処理するもっとも簡便な方法と言える.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)(国土地理院web site地図より・2016年11月14日閲覧)

 前述の燕沢(つばくろさわ)出合い付近の大縮尺地図.大井川左岸(東側)に平坦な台地状の地形が広がっているのが分かる.現地に行って分かったが,これは自然に平坦になった地形ではなく,崩壊が激しい燕沢からの堆積土砂を大井川左岸部に敷きならして出来たものと思われ,かつてはコンクリートプラントが設置されたこともあったという(文献1).元々は大井川本流の氾濫原としての平坦地が広がっていたものと推測される.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2011年8月2日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 燕沢出合い付近から大井川下流側を見た構図.右の大井川本流の水流の岸にいわゆる河畔林が成立しているが,この地域はドロノキ(ヤナギ科)の南限に当る.高木がなく,平坦に広がっている範囲が燕沢からの堆積土砂を押し広げた部分で,ここに計画では高さ50m程度の残土処理場を造成するという.河畔林の高木の高さが15m程度と思われるので,高さ50mの残土置き場となるとその3倍程度の高さにまで積み上げられることになる.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2016年9月4日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 この付近の大井川本流域でもこの燕沢出合い付近にはこのような平坦地が広がる.地図上での計測では南北方向400m,東西方向100m程度あるので,面積は約40,000m2ほどになる.高さ50mまで堆積させるとなると2百万立方メートルの土砂を堆積できる計算になる.(なお,幅100m,長さ1km程度というデータ(文献1)もある.)(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2016年9月4日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 大井川沿いの林道東俣線から見上げた燕沢.谷止工と思われる治山ダムが設置されている.写真下部に林道敷が写っているが,ここに堆積した燕沢からの土砂を前掲写真の平坦地へと敷き馴らしていったものと思われる.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2016年9月4日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 林道東俣線上より大井川上流側を見た構図.右が燕沢.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2016年9月4日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 大井川の本流と平坦地との間には簡易な護岸が施工されていた.写真奥が下流.もしここに残土処理場が建設される場合には大井川本流を導水管で迂回させ,地下へ導水させた後,平坦地も本流部分も埋めて残土処理地にするものと思われることから,写真に写っている部分すべては土砂に埋まるものと思われる.よって河畔林も伐採後に埋められてしまうものと思われる.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2016年9月4日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 簡易護岸と流路との間に成立する河畔林.ヤナギ科の樹種が多い.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2016年9月4日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 平坦地にはフジアザミ(キク科)と思われる大型のアザミが多数生育していた.(2016年11月14日記述)



リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)〜長野県駅(仮称)付近(静岡県静岡市内) 2016年9月4日 Nikon D200 Ai Nikkor 24mm F2S

 残土処理場計画地より上流を見た構図.清冽な大井川が流れていた.(2016年11月14日記述)



文献1:樫田秀樹,2016.増補“悪夢の超特急”リニア中央新幹線 建設中止を求めて訴訟へ.pp300. 旬報社.

ページの先頭へ戻る


アビエスリサーチ トップへ戻る

inserted by FC2 system