大更は列車交換可能な駅で,上りホームへは写真のように線路横断をして渡っていく.写真左側が下り大館行きの1927D,右側が上り盛岡行きの1924D.撮影当時はタブレットに腕木式信号も健在の時代で,信号機こそ写っていないものの,駅舎右手の信号切替梃のところで駅員がちょうど信号を切替えているのが写っている.
大更の下り本線場内信号機には腕木式通過信号機を備えていたという(出典・宮脇俊三・原田勝正編「国鉄全線各駅停車(3)奥羽・羽越400駅」,小学館,1984.).私は大更腕木式信号機写真をまったく残していないので議論する余地があまりないのだが,岡野磨嵯郎監修「写真集
鉄道 今・昔」,熊谷印刷出版部,1989.の13ページを見ると,12系客車改造「ふれあいみちのく」使用の臨時列車が大更の「上り線」のタブレットキャッチャー(旅客用線路横断通路付近に撮影当時はそれがあった)脇を通過する写真が載っており,その解説に「大更駅通過列車のタブレット受け取り」とある.解説が長くなるが,つまり上り線も通過可能であったらしいのだ.但し,場内通過信号機がなくとも,例えば上りホームの平館方で駅員が「通過しても良い」という緑色の旗を掲げれば通過はできるので,何も「場内通過腕木式信号機」はなくともいいとは思うのだが,わざわざタブレットを差し入れる授受器まで備わっているのに,場内通過信号がない,というのも奇妙な気がして,今になってみると気になって仕方がない.
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