上盛岡駅 山田線

　この写真の撮影から5年ほど経つと駅周辺はマンション街の様相となる．駅裏に砂利駐車があったが，もともとはここにもホームがあったらしく，さらに専売公社工場の専用線もあったというから，当時から上盛岡は山田線の中でも特に様変わりした駅と言えた．この頃は委託職員がおり，昼間は切符を販売していたし，その時間帯は駅北側へ抜ける通路が使えた．この後，委託がなくなり無人駅化，通路は終日閉鎖され駅舎を再度建て直すという歴史を辿ることになる．

　撮影地点は盛岡〜上盛岡の跨線橋．上盛岡駅がかつては相対式の交換駅（さらに待避線の3番線まであったらしい）だったことが分かるアングル．このころからマンション街になりはじめるが，立体駐車場も出現して駅裏に「砂利駐車場」があったころののんびりさが徐々に失われはじめた．上盛岡から先，すでにかなりの勾配がはじまることもこの写真から分かる．

　マンション建設は駅ホームのすぐ脇まで用地を最大限利用して行われていたため，一時ホーム幅が狭くなった．それでも駅名標は死守？したかったのか，工事用の覆いがくり抜いてあった．

　上盛岡駅のきっぷ売り場近くにランドセルが置いてあった．「持ち主」は乗車する発車時刻までどこかで遊んでいたのだろう．ランドセルにくくり付けられた定期券を見ると上盛岡〜浅岸の小学生用6ヶ月通学定期券だった（氏名欄等は見えないよう画像加工してあります）．浅岸駅近くにあった中津川小学校はすでに昭和50年頃に閉校したらしく，浅岸周辺に住む人は盛岡まで通学せねばならないようであった．列車は朝は1本のみ，夕方も2本だけで，当時すでに昼間に浅岸に停まる列車はなかったから土曜日なんかは帰宅まで何時間も待たされたのだと思う．少なくともこの翌年に浅岸から通う中学生を見ているが，その後浅岸からの通学生は絶えたようだ．

　完全無人駅になり，建て替えられた駅舎．