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きたぐに問題

(2009年5月21日作成,2011年11月1日最終更新)

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2009年1月 北陸本線 糸魚川駅発行

「きたぐに問題」とは?

 大阪〜新潟を走る急行「きたぐに」号は,山科〜近江塩津間において,実質上短絡線となる湖西線を経由せず,米原回りの遠回り(湖西線開業以前の本線)経由で運転をしています.しかし,「きたぐに」号の京都(以遠)〜敦賀(以遠)間を乗車する場合,運賃及び急行,グリーン料金は湖西線経由の営業キロから計算します.乗車券が京都「以遠」と,敦賀「以遠」のものであれば話は単純なのですが,湖西線の分岐駅である山科駅以遠の方向が「大津方面」の乗車券の場合,話がややこしくなります.

 旅客営業規則69条(特定区間)では,「山科以遠(京都方面)の各駅と、近江塩津以遠(新疋田方面)の各駅との相互間」において,前述のように運賃及び料金は短い方の経路である「湖西線経由」で計算する,とありますから,このような乗車券では「きたぐに」にそのまま乗車できないと解釈されます.

 しかし,「きたぐに」の運転経路が米原回りとなっていることは,「JR側の運行上の都合である」=「旅客の都合によるものではない」,と解釈できることから,実質このような山科以遠(大津方面)〜近江塩津以遠(新疋田方面)の乗車券であっても,米原〜山科間の復乗を認める扱いになっているようです.

 作者が実際に米原〜山科間を「復乗」した乗車券類が右の画像です.一番上は豊橋から糸魚川ゆきの片道普通乗車券.経由はすべて在来線で,「東海道・湖西・北陸」ですから,東海道本線を山科まで西進して湖西線を北上するルートです.ちょうど琵琶湖をL字型に回り込むような経路です.

 この券面の右下に「乗車記念/使用済」とかぶさるようにして,「山科」の途中下車印が見えているかと思います.豊橋から在来線(東海道本線)を西進し,一旦山科で下車しています.

 中段は山科〜大阪の往復乗車券のうち,「ゆき券」です.前述のように山科で途中下車しましたが,再入場の際にこの「ゆき券」を山科駅自動改札機に投入したため,入鋏済のパンチ孔が左隅に開けられています.大阪駅では有人改札に回って,「乗車記念/使用済」のスタンプをもらって手元に残しました.

 下段の「かえり券」は大阪駅の自動改札に投入したもの.そのまま急行「きたぐに号」に乗車して,車内改札の検札印を貰っています.

2008年12月 北陸本線 青海駅発行

 当日,急行「きたぐに」にははじめてA寝台に乗車しました.右の画像はその際の急行・寝台券です.車内改札ではこの「急行・寝台券」の他に,大阪〜山科の「かえり券」,そして最上段の「豊橋〜糸魚川の片道乗車券」を同時に提示し,検札印をもらっています.これら3枚の検札印の「押印角」「インクのかすれ具合」がほぼ揃っているのはそのためです.豊橋〜糸魚川の片道乗車券は,山科「以遠」の方向が「大津方面」となる乗車券で,旅客営業規則69条の「特定区間」制度には該当していませんが,何もお咎めなく検札は済んでいます.実際のところ,豊橋〜糸魚川の片道乗車券の経路のうち,「山科〜(湖西線)〜近江塩津」の部分が「山科〜(東海道・北陸線)〜近江塩津」の迂回乗車として認められたという解釈が成り立ちます.この場合,山科〜米原間については実際の乗車からすれば「復乗」になりますが,乗車券の効力としては「山科〜(湖西線)〜近江塩津」が割り当てられたことになり,片道乗車券経路上の復乗はないと判断,実使用されたことになるかと思われます.(2009年5月21日記述)




2002年6月 羽越本線 村上駅発行

「きたぐに問題」と「山科問題」

 右の画像の片道乗車券,急行・寝台券も前掲の「『きたぐに問題』とは?」と同様のパターンです.発駅,着駅ともに新潟県内の駅になっており,「の」の字型に辿る経由の乗車券です.

 途中経由は「東海・湖西・北陸」ですから,この旅行の際も前述の「きたぐに問題」のケースに当て嵌まりますが,山科〜米原間の「復乗」に対してのお咎めは何もありませんでした.

 ここからは「山科問題」になるのですが,それについての画像(乗車券類)がなく,恐縮ですが,右の画像上段の乗車券経路が「信越・篠井線・中央西・名古屋・新幹線・京都・東海・湖西・北陸・信越・羽越」となっていた場合の話になります.

 このような経路では東海道新幹線を経路に含むことになりますが,在来線経由と異なるのは新幹線〜在来線の乗換駅が「京都」になるため,山科〜京都間がはみ出すことになります.この場合,旅客営業取扱基準規程第151条にある区間外乗車の扱いが適用され,山科〜京都間の復乗となる区間の運賃は収受しないことになりますが,この規程では,「復乗区間内において途中下車はできない」とあります.つまり,京都駅で途中下車できないことは明白なのですが,では「山科駅」で途中下車はできるのか?という議論が「山科問題」です.

 作者の立場からすれば,山科駅はこの画像の在来線経由の乗車券でもそうですが,明らかに経路の区間内に立地している駅であり,途中下車に何ら問題は生じないという考えを持っています.

2002年6月 東海道本線 大阪駅発行

 しかし,「新幹線・京都・東海・湖西」の乗車券で京都以遠の各路線を絡めると話は少しややこしくなるような気がします.

 右の画像はこの旅行で急行「きたぐに」号に大阪駅から乗車する際に大阪駅自動券売機で購入した大阪から820円区間の金片(金額式片道乗車券)です.なぜこの乗車券を購入したかは,(信)高田から間島ゆき片道乗車券の経路に,「きたぐに」実乗区間の大阪から山科までの運賃分は含まれないため,別途この乗車券を購入して「きたぐに」に乗車したためです.

 大阪〜山科間の営業キロは48.3kmですから,普通片道運賃は820円ですが,「(信)高田から間島ゆき」片道乗車券の経路を「新幹線・京都・東海・湖西」にした場合,京都〜山科間は「その区間で途中下車しない限り」復乗が認められていますから,このような経路の乗車券であれば,大阪から「京都まで」の片道乗車券である540円のきっぷで「きたぐに」号に乗れるような気もします.しかし,このような考えは幹在別線の扱いをする場合に適用されるのでしょうから,経由が「新幹線・京都・東海」となっていても山科〜京都間の往復分は含まないで運賃計算されているわけで,大阪から乗車する場合,行先が京都までのきっぷ(この場合,前述のように大阪から京都までの540円区間)では不足になると思われることから,画像のとおり「大阪から820円区間」が正当と思います.

 ところで,大阪から京都までの乗車券と,山科までの乗車券ではたった1駅(営業距離5.5キロ)しか違わないのに,運賃は280円もの差があります.これはJR東海道本線の大阪〜京都間が阪急との競合区間になっている関係から,通常の運賃よりも割安な「特定区間」運賃を設定しているためです.このことも「山科問題」を考える上で無視できない大きな要素となっています.(2009年5月21日記述,2010年3月1日加筆・修正,2011年11月1日加筆修正)




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