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2006年11月 羽越本線 新発田駅発行
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発駅と着駅を同一とした一周片道乗車券 〜新発田から新発田ゆき
JRの普通運賃は概ね遠距離になるほどキロ当たり運賃が低下していく,いわゆる「遠距離逓減制」となっています.
例えば,本州3社幹線普通運賃の場合,300キロまで4,940円,600キロまで9,030円,1,000キロまで11,970円,といった具合に,長距離,特に600キロを超えた辺りから逓減率が高く設定されています.
JR線や,JRと社線の連絡乗車券は,原則として同一経路を戻らない限り,乗車距離を通算して運賃を計算します.俗に言われる経路の「一筆書き」を続ける限りは乗車距離を打ち切ることなく,発駅から着駅まで通しの乗車券が発券,購入可能です.また,発駅と着駅は必ずしも異なる必要はなく,同一駅へ戻ってくる「一筆書き」の乗車券も発券可能です.この制度を上手く利用して旅行計画を立て,「一周乗車券」を発券してもらい,旅行するのが本ページで紹介するお得な買い方です.
右画像の乗車券は新潟県新発田市に在住する作者の先輩からもらったものです.この先輩は古川駅集合の会議があったらしく,その出張の際に実使用したとのことです.
新発田駅から鉄道を利用して古川駅まで行く場合,最速は新潟駅まで出て上越新幹線〜大宮乗換え〜東北新幹線のルートです.例えば古川駅12時ちょうどに集合,という場合,新発田6:55-(普通1924M)-7:31新潟7:40-「とき308号」-9:38大宮9:58-「やまびこ47号」-11:56古川の移動例が考えられます(2006年11月のダイヤ).
なお,新潟〜仙台間を高速バスで移動する旅程も考えられますが,バス時刻は新潟駅前7:35発〜11:40仙台駅東口着です.前述の「やまびこ47号」の仙台駅発車時刻が11:42ですから,バスが「仙台駅に5分ほど早着」という強運が味方しない限り,古川駅の集合時刻には遅刻です.
やや本題から逸れましたが,古川から新発田までの帰路は,この乗車券購入者の旅行趣味も反映して,陸羽東線と陸羽西線を乗り継いで余目駅へ出て,羽越本線を南下するルートで新発田駅へ戻っています.大宮まわりの新幹線より距離的にも,特急券等の料金的にも大変お得なルートですが,列車本数が非常に少ないという諸刃の剣です.
新発田から古川まで,大宮回りで購入した場合,普通運賃は9,870円(695.6キロ)です.それにたった2,100円を上乗せするだけで古川から先の陸羽東&西線〜羽越本線経由で新発田まで戻れるのですから,一周乗車券お得度の面目躍如といった感じです.
やや本題から逸れますが,2004年11月26日までは新発田〜新津間は豊栄経由(白新線経由),水原経由(羽越本線経由)いずれを乗車しても,距離の短い水原経由の乗車券で乗車可能でした(旅客営業規則第157条(選択乗車)).そのため,例えば新発田〜古川間を画像券面の経路(白新線経由)で向かう場合であっても,水原回りの679.1キロ(片道普通運賃9,560円)で乗車可能でした.差額は310円もあります.
このことを踏まえても,古川〜新発田間を新庄・余目経由とする移動はお得な感が強いです.ただし,単純に新発田〜古川間を大宮回りは損,と考えるのは早計で,列車本数や新幹線利用による短時間での移動のメリットは大きい上,この区間は片道600キロを超えますので,往復乗車券を購入すると9,870円の1割引(10円未満の端数切り捨て)×2ですので,17,760円です.
一周乗車券は経由も複雑なため,ほとんどの場合,駅の出札窓口等で予め用意したメモ等を提示し,それを基に出札職員が経路を一つ一つ入力しながら発券に至る場合がほとんどです.自分だけの「オーダーメイド」的な要素が強く,券が出来上がるまでのドキドキ感や,実使用時のワクワク感など,たまらない魅力を持っています.
更に,目的地までの「行き」と「帰り」で異なるルートを辿れる楽しみも秘めていることなどから,「お得」という枠を超え,大変魅力的な乗車券と言えます.(2011年11月17日記述.列車時刻などの内容は2006年11月現在のものです.この時刻のみを参考に旅行計画等を立てないよう,お願いいたします.)
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