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お得なきっぷの買い方ガイド 〜一周乗車券

(2011年11月17日作成,2012年1月7日最終更新)

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2006年11月 羽越本線 新発田駅発行

発駅と着駅を同一とした一周片道乗車券 〜新発田から新発田ゆき

 JRの普通運賃は概ね遠距離になるほどキロ当たり運賃が低下していく,いわゆる「遠距離逓減制」となっています.

 例えば,本州3社幹線普通運賃の場合,300キロまで4,940円,600キロまで9,030円,1,000キロまで11,970円,といった具合に,長距離,特に600キロを超えた辺りから逓減率が高く設定されています.

 JR線や,JRと社線の連絡乗車券は,原則として同一経路を戻らない限り,乗車距離を通算して運賃を計算します.俗に言われる経路の「一筆書き」を続ける限りは乗車距離を打ち切ることなく,発駅から着駅まで通しの乗車券が発券,購入可能です.また,発駅と着駅は必ずしも異なる必要はなく,同一駅へ戻ってくる「一筆書き」の乗車券も発券可能です.この制度を上手く利用して旅行計画を立て,「一周乗車券」を発券してもらい,旅行するのが本ページで紹介するお得な買い方です.

 右画像の乗車券は新潟県新発田市に在住する作者の先輩からもらったものです.この先輩は古川駅集合の会議があったらしく,その出張の際に実使用したとのことです.

 新発田駅から鉄道を利用して古川駅まで行く場合,最速は新潟駅まで出て上越新幹線〜大宮乗換え〜東北新幹線のルートです.例えば古川駅12時ちょうどに集合,という場合,新発田6:55-(普通1924M)-7:31新潟7:40-「とき308号」-9:38大宮9:58-「やまびこ47号」-11:56古川の移動例が考えられます(2006年11月のダイヤ).

 なお,新潟〜仙台間を高速バスで移動する旅程も考えられますが,バス時刻は新潟駅前7:35発〜11:40仙台駅東口着です.前述の「やまびこ47号」の仙台駅発車時刻が11:42ですから,バスが「仙台駅に5分ほど早着」という強運が味方しない限り,古川駅の集合時刻には遅刻です.

 やや本題から逸れましたが,古川から新発田までの帰路は,この乗車券購入者の旅行趣味も反映して,陸羽東線と陸羽西線を乗り継いで余目駅へ出て,羽越本線を南下するルートで新発田駅へ戻っています.大宮まわりの新幹線より距離的にも,特急券等の料金的にも大変お得なルートですが,列車本数が非常に少ないという諸刃の剣です.

 新発田から古川まで,大宮回りで購入した場合,普通運賃は9,870円(695.6キロ)です.それにたった2,100円を上乗せするだけで古川から先の陸羽東&西線〜羽越本線経由で新発田まで戻れるのですから,一周乗車券お得度の面目躍如といった感じです.

 やや本題から逸れますが,2004年11月26日までは新発田〜新津間は豊栄経由(白新線経由),水原経由(羽越本線経由)いずれを乗車しても,距離の短い水原経由の乗車券で乗車可能でした(旅客営業規則第157条(選択乗車)).そのため,例えば新発田〜古川間を画像券面の経路(白新線経由)で向かう場合であっても,水原回りの679.1キロ(片道普通運賃9,560円)で乗車可能でした.差額は310円もあります.

 このことを踏まえても,古川〜新発田間を新庄・余目経由とする移動はお得な感が強いです.ただし,単純に新発田〜古川間を大宮回りは損,と考えるのは早計で,列車本数や新幹線利用による短時間での移動のメリットは大きい上,この区間は片道600キロを超えますので,往復乗車券を購入すると9,870円の1割引(10円未満の端数切り捨て)×2ですので,17,760円です.

 一周乗車券は経由も複雑なため,ほとんどの場合,駅の出札窓口等で予め用意したメモ等を提示し,それを基に出札職員が経路を一つ一つ入力しながら発券に至る場合がほとんどです.自分だけの「オーダーメイド」的な要素が強く,券が出来上がるまでのドキドキ感や,実使用時のワクワク感など,たまらない魅力を持っています.

 更に,目的地までの「行き」と「帰り」で異なるルートを辿れる楽しみも秘めていることなどから,「お得」という枠を超え,大変魅力的な乗車券と言えます.(2011年11月17日記述.列車時刻などの内容は2006年11月現在のものです.この時刻のみを参考に旅行計画等を立てないよう,お願いいたします.)




2006年5月 信越本線 高田駅発行

発駅と着駅を同一とした一周片道乗車券 〜高田から高田ゆき

 右の画像は信越本線高田駅から日本海沿いに北陸本線を西進し,米原〜大阪〜天王寺〜阪和線に入り,紀伊半島を反時計回りに巡って津から伊勢鉄道線へ入り,名古屋〜松本〜長野を経て最後は再び高田駅へと戻る一周乗車券です.

 この券も作者の先輩からもらったもので,大阪への出張ついでに紀伊半島を旅行し,帰路は名古屋から長野へ抜けてというルートで計画,実使用したとのことです.

 券面ですが,和歌山線,長崎本線にも同じ「高田」と表記する「たかだえき」及び「こうだえき」があるため,信越本線の高田(たかた)駅は「(信)高田」と表記されます.

 経路の磁気情報が11経路以上の場合,前掲の通常のマルス発券乗車券サイズ(ヨコ85ミリ券)では磁気情報がオーバーフローするためか,画像のヨコ120ミリサイズのマルス券で発券されています.なお,磁気情報が17経路以上になるとマルスでは発券できないらしく,補充券(ほとんどの駅では出補を用いる)の出番となります.

  名古屋付近の表記経路ですが,「関西・東海・中央西」となっています.ここでいう「東海」は名古屋〜金山間のことです.この区間はもともとは中央本線(中央西)の経路でしたが,東海道本線金山駅が開業した1989年から,中央本線と東海道本線の二重線籍となりました.経由の券面表記は「・・・関西・中央西・・・」と繋げてもいいような気がしますが,「東海」が挿入してあります.

 この一周乗車券は大阪出張への節約というよりは,出張後の旅行(紀伊半島や長野県内)をついでに楽しむ要素が強いものと言えます.(2011年11月17日記述,2012年1月7日加筆修正)




2007年11月 北陸本線 糸魚川駅発行

発駅と着駅を同一とした一周片道乗車券 〜糸魚川から糸魚川ゆき

 作者の糸魚川在住中,東京及び豊橋へ出掛けた際に購入,実使用した糸魚川から糸魚川ゆきの片道乗車券です.経由はおおざっぱに書くと直江津〜宮内〜東京〜名古屋〜岐阜〜高山本線〜富山〜糸魚川です.

 宮内を経由せず,直江津からほくほく線経由で東京へ向かった方が短絡できますが,糸魚川駅から急行「能登」号乗車で旅行をスタートさせたので,宮内回りです(「能登」号は宮内〜長岡を往復しますが,分岐点(即ち宮内駅)通過列車に対する区間外乗車(特定の列車による折り返し区間外乗車)が認められています(旅客営業取扱基準規程第110条)).

 画像の券面ですが,磁気情報上の経路数としては10経路以内に収まっているようで,前掲の券と異なり85ミリ券で発券されていますが,印字できなかった経路は手書き対応となっています.なお,85ミリ券で印字される限界は概ね
「10経路までで,全て2文字で経由印字される場合」
「9経路までで,2つまで3文字で経路印字される場合」
「8経路までで,3つまで3文字で経路印字」
のようです.

 日本海側と太平洋側を行き来するのに「一周乗車券」は大変重宝します.例えば福井や金沢ではほくほく線経由と米原回りを組み合わせた「一周乗車券」にしたり,東京(大宮)〜秋田間を新潟回りと盛岡(秋田新幹線)回りにして一周乗車券にすることもできます.他に,仙台〜東京間で常磐線と東北新幹線を組み合わせた一周乗車券や,福知山〜大阪・京都間を山陰本線経由と福知山線経由で一周乗車券に仕立てる等,さまざまな都市間で応用可能です.

 加賀温泉・小松・金沢発では,「片道は上越新幹線(ほくほく線),片道は東海道新幹線(米原経由)」という設定ができる特企券(とくとくきっぷ)「東京往復割引きっぷ」も発売されていますし,かつて大阪〜青森間の日本海縦貫線に特急「白鳥」が運転されていた時代には,青森地区の修学旅行生が京都方面へ行く際,片道は東北〜東海道新幹線,片道は特急「白鳥」として,山科を「折り返し点」とする一周乗車券にして旅費を節約していたとも聞きます.(2011年11月17日記述)




2007年11月 山田線 宮古駅発行

発駅と着駅を同一とした一周片道乗車券 〜神俣から神俣ゆき

 磐越東線神俣駅を起終点とした一周乗車券で,実使用時は日帰りでの使用でした.目的地は東京(上野駅)で,行きは磐越東線を郡山まで出て新幹線に乗車し,帰りは上野から常磐線の特急「スーパーひたち」号でいわき駅へ出て磐越東線で戻ってきました.

 新幹線は茂市駅発行の料補(新幹線(指定席)特急券・右下画像)を使って乗車したため,自動改札機は通れず,有人改札を通ったため,乗車券に自動券売機のパンチ穴等が残っていません.
 

2007年11月 山田線 茂市駅発行

 本題からは逸れますが,乗車券面に「上野」の下車印があります.郡山から乗車した東北新幹線を上野で降り,上野駅新幹線改札(中間改札)を通り,地下鉄銀座線へ乗り換えるため中央改札へ回って有人改札で「ここで下車したいのですが」と申し出ました.

 マルス乗車券の券面の経由に「上野」が印字されてはいますが,運賃計算上は東北本線田端駅方面(西日暮里駅)から日暮里で折り返し,常磐線三河島へダイレクトに向かうルートで計算されているはずです.しかし,運賃計算経路から外れる日暮里〜上野間は経路特定区間(特定の分岐区間の区間外乗車:旅客営業取扱基準規程第149条)により,上野まで折り返し乗車が可能ですが,区間外(この場合,日暮里〜上野間の鶯谷及び上野)では途中下車不可,かと思われました.

 そのため,上野駅での下車の際には日暮里〜上野間の普通運賃130円を収受されるものと思いましたが,下車印を押され,「どうぞ」という対応でした.改めて考えてみると,新幹線特急券が料補(右画像)だった関係から,乗車券には「上野駅の新幹線改札を通った記録」(自動改札機による印字)がありません.例えば,東北本線(京浜東北線)で田端まで乗車し,田端から山手線内回りで渋谷〜品川を経て上野駅まで到達したところで「途中下車」の申し出があった,という解釈も成り立つことから,有人改札駅員が前述のような経路を辿っての途中下車申し出と解釈し,途中下車印を押したもの,とも理解できます(このような田端〜上野間の大回り乗車も実際に可能です).

 もう一つ乗車券面に残っている「郡山運輸区」の検札印はいわきから乗車した磐越東線車内での検札の際に押されました.車掌が券面経由を確認し,「今,お帰りのところですね.」と言われたのが印象的でした.一周乗車券での「帰り」という要素を車掌が瞬時に把握してくれたわけです.(2011年11月17日記述)




2007年6月 北陸本線 糸魚川駅発行

準一周片道乗車券

 乗車経路や出発駅により,発駅も着駅も同一の「一周乗車券」に出来ない,あるいは出来づらいパターンも発生します.

 右画像の乗車券は糸魚川から東京へ旅行した際に実使用したものです.経路は信越本線で宮内〜高崎〜長野新幹線で長野〜直江津〜糸魚川です.マルス券の行き先は「青海」になっていますが,最終目的地は糸魚川です.営業キロを計算したところ,糸魚川も青海も同一の運賃帯(461キロ以上480キロまで)だったためです.

 東京までの旅程ですと高崎以南が欠けますが,別途高崎以南の乗車券は購入しました.

 実使用では糸魚川から信越本線黒井まで,つまり糸魚川から740円区間の乗車券を券売機で購入し,急行「能登」に乗車.車内検札ではマルス券の黒井〜青海の乗車券と急行券にのみ検札印が押されました.

 マルス券ですが,券面の経由で「直江津から青海」では発券できません.直江津を発駅にしてしまうと,長野から直江津まで戻ってきたところで「一周が完結」してしまうためです.しかし,糸魚川を発駅として経由「北陸・信越・上越・高崎・新幹線・長野・信越」の直江津ゆき乗車券は発券可能です.その場合,糸魚川〜直江津(経由:「能登」ルート〜高崎〜長野新幹線)が7,350円,直江津〜糸魚川間が650円で画像の券より90円安く済みます.そうしなかった理由は,「(信)黒井」と入ったマルス券が欲しかった,という,かなり奇妙な理由です.(2011年11月17日記述)




2007年6月 北陸本線 糸魚川駅発行

準一周片道乗車券 〜特企券との組み合わせ例

 作者の新潟県村上市在住時に東京への所用と,飯田線方面への旅行を組み合わせた際に購入,実使用した「準一周乗車券」です.旅行開始は村上駅を0:21に発車する上り「あけぼの」号のゴロンとシートとし,東京からは中央本線〜辰野〜飯田線〜豊橋〜金山〜中央本線(中央西線)〜長野〜直江津〜新潟〜羽越本線という経路です.

 村上を発駅及び着駅とすると,村上〜宮内間が二重乗車区間になるため,一周になりません.そこで,越後滝谷を旅行開始駅にするか(前掲の例の「(信)黒井」に相当),発駅は村上で一周してきた宮内で打ち切り,宮内〜村上の区間を別途購入するか(前掲の文中の糸魚川〜「能登」ルート〜高崎〜直江津と,直江津〜糸魚川の乗車券)の案による「準一周乗車券」が考えられますが,村上〜宮内以遠(小千谷まで)は「えちごワンデーパス」という特企券のゾーンに丸々含まれています.

 そこで,旅行開始の村上からえちごワンデーパスのゾーンの上越線南端駅である小千谷まではこの特企券を利用し,小千谷を発駅とした準一周乗車券を用意することにしました.

 村上駅から「あけぼの」に乗車するのは右画像一番下の特急券のように,6月14日の0:21です.予め用意する「えちごワンデーパス」は6月14日から有効のものでなくてはいけません.なお,「あけぼの」発車間際に村上駅へ行っても,自動券売機も出札窓口も閉鎖されていることから,「えちごワンデーパス」は購入できません.窓口営業時間内に予め購入する必要があります.

 村上から「あけぼの」号に乗車するとさっそく車掌による検札がありました.えちごワンデーパスにある「秋田運輸区」の検札印は「あけぼの」車内で押されたものです.村上〜小千谷間(水原経由)の普通運賃は2,210円ですから,710円お得です.小千谷からは120ミリマルス券の券面経路どおりの旅行でした.途中,新橋で途中下車しました.新橋から新宿まで,山手線外回りで出れば「一筆書き」のままの移動です.最終目的地は村上駅でしたが,乗車券の行き先は間島とし,途中下車して乗車券を手元に残しました.

 本題から逸れますが,あけぼのゴロンとシートの特急券は乗変してあります.特急券は1ヶ月前からの発売ですが,「ゴロンとシート」は発売区間に制限がかかっているらしく,上りは羽後本荘以北?から高崎以南へ跨ぐ区間にしないと発券されません.「村上から上野まで」の区間のゴロンとシートは乗車日の3日前からでないと発券されないため,乗車日が決定したらば,まず「羽後本荘から上野まで」等のゴロンとシートを購入しておき,3日前以降になったところで「村上発」のものに乗変してもらっていました.下りの場合も高崎以南から乗車,としないと発券されず,村上からの下りのゴロントシート購入時もこのような制限がかかっており,村上在住時には大変不便を強いられました(現在のこの扱いについては不明です).(2011年11月17日記述)




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