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お得なきっぷの買い方ガイド 〜乗継割引

(2010年6月9日作成,2011年12月16日最終更新)

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2010年4月 名鉄観光豊橋支店発行

東京〜静岡間で乗継割引制度を有効活用した例

 「乗継割引」が適用される例の中に,新幹線と在来線特急(または急行)列車との乗継で在来線特急(または急行)料金が半額になる制度があります.乗継割引が適用される乗継駅は決まっており,在来線から新幹線への乗継の場合は当日または翌日でも乗継割引が適用されますが,新幹線から在来線への乗継の場合は当日中の乗継でないと適用されない等,いくつかの細かいルールがあります.

 それらのルールの一部は大型時刻表の営業案内(いわゆる「ピンクのページ」)等をご参照下さい.ここでは「乗継割引」制度の細かいルールは省略し,いくつかの実使用例を挙げて節約例を紹介します.

 東京〜静岡間には昼行の在来線特急(急行)は設定されておらず(夜行はかろうじて寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」が運転されている),快速や普通列車以外による「優等列車」での利用は新幹線以外,ほぼ考えられない状況となっています(2010年6月現在,東京〜静岡間には特急型車両の373系による間合い普通列車運用が1往復のみ残されており,かろうじて「優等列車(車両)」での移動は可能ですが,下りは早朝,上りは深夜時間帯となっています).

 東京〜静岡間は営業キロが180.2キロで,新幹線特急料金が200キロ以下に抑えられるため,自由席であれば2410円で済むかなりお得な区間ではありますが,特急「踊り子」号と新幹線を乗継ぐことにより,(自由席)特急料金類の合計を1630円にまで抑えることが可能です.

 特急「踊り子」号には伊豆箱根鉄道修善寺駅まで(あるいは,から)運転する列車があります(以下,「修善寺編成」と表記).2010年6月現在,下りでは東京駅9:00発の「踊り子105号」,同12:00発「踊り子115号」が毎日運転されている他,東京駅10:30発の「踊り子109号」が土休日に,同13:30発の「踊り子117号」が土曜日のみ運転されています.これらの「踊り子」号と行動する曜日,時間帯が一致すれば,「踊り子」号の修善寺編成〜東海道新幹線の乗り継ぎで静岡を目指すのも一興です.

 右の画像は東京〜三島の乗継自由席特急券と,三島〜静岡の新幹線特定特急券です.「スーパービュー踊り子」号はA特急料金ですが,「踊り子」号はJRの全区間に亘ってオトクな「B特急料金」になります.東京〜三島間の自由席特急料金は1370円で,乗継割引ですと半額になり,しかも5円の端数は「切捨て」しますので,680円です.680円で(一応)特急型である185系のリクライニングシートに座ることが出来ます.もし,同区間を普通(または快速)列車の「リクライニングシート」であるグリーン車で移動する場合,平日で950円(事前購入.車内購入では1200円),土休日(ホリデー)で750円(同1000円)ですから,「踊り子」での乗継割引による移動がいかに安価かが分かるかと思います.

 三島〜静岡間の新幹線自由席も大変にお得です.当webサイトの「お得なきっぷの買い方ガイド>新幹線特定特急券の積極利用」のページでもご紹介しましたが,新幹線で「51キロから100キロまで」の「新幹線特定特急料金」は,非常に割安な区間となっており,三島〜静岡間の場合,950円です.

 このような「踊り子」修善寺編成〜東海道新幹線の乗継割引による東京〜静岡間の移動ですが,欠点もかなりあります.まず,「踊り子」修善寺編成の運転本数が非常に少ないことです.「踊り子」号に乗り遅れた場合は最悪です.自由席特急券であれば払戻しができますが,「(指定席)特急券」を買ってしまった場合で当該列車に乗り遅れた場合は払戻しが出来ません.「当日中の後続列車の自由席に乗車」が可能なルールはありますが,「後続列車」は非常に少なく,また「スーパービュー踊り子」は全車指定席のため,「後続列車の自由席」とはなりません.「特急(ワイドビュー)東海があれば」,とか,「急行『東海』があれば」といった「たられば」は禁物です.とにかく,このような乗継をする場合,踊り子の「(指定席)特急券」を取ることはまったくお勧めできません.画像のように,「乗継自由席特急券」を購入するようにしましょう.

 なお,修善寺編成を組み込まない伊豆急下田行き(あるいは伊豆急下田始発)のいわゆる「下田編成」のみの「踊り子」号や「スーパービュー踊り子」号で熱海乗継をすると,まったくお得でなくなります.例えば東京〜熱海間を「スーパービュー踊り子」の(通常期)普通車指定席で,熱海〜静岡間を「新幹線自由席特急券」で移動すると,その合計は「スーパービュー踊り子の乗継割引」(2180円/2)+「新幹線自由席特急券」1680円=2770円となり,東京〜静岡間の新幹線自由席特急券(2410円)よりもかえって高くなるという恐ろしい現象が発生します.これは「スーパービュー踊り子」号が全車指定でA特急料金が適用されることと,熱海〜静岡間が特定特急券区間から外れるため,割高な通常の新幹線自由席特急料金が適用されてしまうため,このような高額料金になってしまいます.

 ちなみに,特急「東海」の東京〜静岡間の自由席特急料金は2100円でしたので,ここでご紹介した「三島乗継」の方が安価です.但し,急行「東海」の場合,東京〜静岡間の急行料金は1050円でした.165系急行「東海」が消え去ったことを今になって考えてみても虚しいだけなので,「現実」を見て,節約に励むのみです.(2010年6月9日記述,6月17日加筆修正.列車時刻などの内容は2010年6月現在のものです.この時刻のみを参考に旅行計画等を立てないよう,お願いいたします.)




2000年12月 鹿児島本線門司駅発行

新大阪〜富山間での乗継割引制度利用例

 京都駅を乗継駅とし,富山までの特急「スーパー雷鳥」号の特急料金を半額とした例です.京都〜富山間の特急料金(通常期)は2,820円ですが,乗継割引により半額の1,410円になっています.なお,新大阪(大阪もこの場合は同額)から富山までの特急料金(通常期)は3,030円ですので,画像上部の新大阪〜京都間の特定特急券料金を足しても2,250円ですから,770円お得になっています.

 この例では新大阪〜京都間の新幹線は利用していません.記憶が曖昧ですが,この旅行では姫路方面から乗車した「新快速」を新大阪で下車せず,そのまま京都まで乗り通して「スーパー雷鳥」に乗り換えたものと思います.新幹線特定特急券を同時に買わず,京都〜富山の特急券を単独で買うと2.820円となり,画像例より570円高くなってしまいます.

 このように,特に新幹線特定特急券と組み合わせて在来線の乗継割引を適用させることは,節約乗車のテクニックとも言える状態になっています.旅行区間に使用を放棄する新幹線特定特急券等区間を含む分には特に問題はないと考えますが,例えば右の特急券2枚を購入し,乗車駅(旅行開始駅)が京都,という場合(次掲)にはあまり感心できる節約術とは思えません.

 なお,京都駅を乗継駅とした乗継割引は北陸方面の昼行特急群のほか,寝台特急等(日本海号,トワイライトエクスプレス号,きたぐに号)にも適用されるため,比較的多用されるテクニックです.(2011年10月21日記述)




2002年8月 東海道本線京都駅発行

乗継割引による節約可能な一事例

 右画像は京都~福井へ旅行した際の片道乗車券と自由席特急券です.このうち,自由席特急券については,例えば新大阪〜京都間の新幹線特定特急券(840円)と京都〜福井間の自由席特急券(乗継割引で890円)を同時購入し,特急券類の合計を1,750円とし,30円だけですが節約することも可能と言えば可能です.

 京都〜福井まで指定席にすれば,指定席料金分も乗継割引で半額になりますから,さらに節約額としては大きくなります.ちなみに京都駅から北陸線特急に乗車する場合,自由席は大阪方面からの旅客ですでに満席かそれに近い状態も予想されることから,できれば指定席を確保したいところです.

 しかし,このように当初から使う予定もない区間の新幹線(特定)特急券と,在来線特急等の料金券を同時購入して乗継割引による節約を図ることは,感心できません.

 そもそもこのような乗継だと,料金券の旅客会社への配分は,新大阪〜京都間はJR東海,京都〜福井はJR西日本になるはずで,本来右画像のような購入では料金券の1,780円がJR西日本の収入に回るはずですが,乗継割引だとJR西日本へは半額の890円しか入らないものと思われます(乗継割引による料金券収入の旅客会社への配分は作者の予測で,実際とは異なるかもしれません).

 北陸線特急で他に例を挙げると,例えば敦賀から富山まで乗車する場合,この区間の自由席特急料金は2,100円ですが,新大阪〜京都の新幹線特定特急券(840円)と,京都〜富山までの自由席特急券(乗継割引で1,150円)を購入すると計1,990円となり,新大阪〜京都と,京都〜敦賀分の料金券区間分を「放棄」して敦賀〜富山だけ乗車しても110円の節約になることはなります.しかし,このような「当初から乗りもしない区間の新幹線や在来線の料金券を買ってまでして節約」することはモラルの点からも如何なものかと思いますし,車内や着駅で実乗に則した料金差額等を請求されても,それは旅客鉄道会社にとっては正当な請求と作者は考えます.(2011年10月23日記述)




2009年12月 名鉄観光豊橋支店発行

米原〜天橋立間での乗継割引制度利用例

 京都からJR西日本山陰本線で福知山を経由し,第3セクター北近畿タンゴ鉄道宮福線〜宮津線へ直通する特急「はしだて」号の乗継B自由席特急券(画像下部)です.この券の料金1,100円の内訳は少しややこしいです.

 京都を乗継駅とした「乗継割引」が適用され,JR山陰本線京都〜福知山間のB自由席特急料金(940円)の半額である470円(5円は切り捨て)と,福知山〜天橋立間(宮福線経由・営業キロ34.8キロ)の北近畿タンゴ鉄道線内自由席特急料金(50キロまで630円)を足した1,100円,ということになります.

 乗継割引非適用時の京都〜天橋立間B自由席特急料金は,940+630=1,570円で,画像券面の1,100円を単純に倍額した2,200円にはなりません.これは福知山〜天橋立間の北近畿鉄道線内特急料金に「新幹線乗継割引時は半額」のルールが存在しないためです.

 そのため,このケースでは前掲のような「新幹線特定特急券との組み合わせで乗継割引制度を適用しても,乗継割引非適用の在来線区間のみの特急券に比較して安くなる」ということにはなっていません.(2011年10月21日記述)




2008年12月 北陸本線青海駅発行

豊橋〜富山間での乗継割引制度利用例

 豊橋から名古屋を経由して特急「ひだ号」「しなの号」「南紀号」を利用する場合,新幹線特定特急券と組み合わせた乗継割引制度による恩恵を受けられる区間が多くあります.

 右画像下部は名古屋から東海道本線・高山本線経由で運転されている特急「ひだ号」の富山までのA特急券です.乗車日の1月3日は繁忙期のため,名古屋〜富山間の特急料金は3,020円ですが,乗継割引で1,510円です.豊橋から名古屋まで950円の新幹線特定特急券950円の合計は2,460円ですから,単独で名古屋〜富山間のA特急券を購入するより560円お得で,さらに豊橋〜名古屋間は新幹線で移動が可能です.

 新幹線に乗るより,在来線で移動するほうが「節約」になる気がしますが,乗継割引制度が使える区間をうまく移動することにより,新幹線にも乗れてしかもお得,という旅行が可能です.

 なお,本題から逸れますが,右画像の特急券類を発行した青海駅出札にはPOS端末が設置されているため,席の指定を伴わない新幹線特定特急券についてはPOS端末で発券(画像上部)できますが,指定を伴う特急券については窓口に設備されている料補(画像下部)による発券でした.列車名「ひだ」が常備印で対応されていたのが趣味的にうれしいところですが,正式な押印箇所は一つ下の行の「11号」のすぐ左脇かと思われます.(2011年10月21日記述)




2009年1月 北陸本線筒石駅発行

特急「日本海」号の乗継割引制度利用例

 本ページの「新大阪〜富山間での乗継割引制度利用例」の項でも前述しましたが,北陸(日本海縦貫)線寝台特急等の特急料金に対しても乗継割引制度は適用されます.

 右の画像は青森〜大阪間の上り寝台特急「日本海」号の乗継特急券(A寝台券・画像上部)と新大阪〜京都間の新幹線特定特急券です.新幹線新大阪駅は大阪駅,新大阪駅どちらも乗り継ぎ駅に指定できます.また,右画像の券の在来線特急の乗車日は2月21日で,新幹線の乗車日は2月22日ですが,在来線から新幹線に乗り継ぐ場合は,在来線の乗車日かその翌日でも割引になります.

 割引が受けられるのは特急料金だけで,寝台料金やグリーン料金は割引にはなりません.青森〜大阪間(水原経由)の営業キロは1023.4キロ(601キロ以上)の寝台車利用ですからA特急料金は3,150円,乗継割引により半額(5円は切り捨て)で1,570円です.

 画像上部右側の「再掲」欄右側の「事由」欄上側にある1,570(円)が乗継割引適用の特急料金,下側の10,500(円)がA寝台料金になります.

 なお,この料金券類を利用した2009年2月時点では東北新幹線は八戸までの運転でしたが,2010年12月に東北新幹線新青森開業となりました.東北新幹線と新青森駅または青森駅を乗り継ぎ駅とする場合,在来線特急は乗継割引の適用となりましたが,寝台特急「あけぼの号」「日本海号」はこの適用外となったので注意が必要です(トワイライトエクスプレス号は青森駅,新青森駅ともに停車しません).

 また,かつては東京駅または品川駅 〜門司駅以遠の区間を運行する特急・急行列車については,門司駅以遠のJR九州管内で乗り継ぐ場合に限り乗継割引制度を適用する,という特例があり,九州ゆき寝台特急等を利用する際に考慮に入れなければいけない制度でしたが,2009年3月改正で「富士・はやぶさ」号が廃止されて形骸化された後,2011年3月改正でJR九州管内での新幹線〜在来線の乗継割引制度そのものが廃止されました.

 本題からは逸れますが,画像の料金券類は北陸本線筒石駅で購入したものです.筒石駅にはマルス端末がないため,座席(寝台)指定を伴う「日本海」の券が料補で発券されたのはもちろんですが,この時は座席指定を伴わない新幹線特定特急券も料補で発券されました.筒石駅出札窓口には前掲の青海駅同様,POS端末が設置されていましたが,鉄道マニア向けのサービスとして料補や補片等の補充券により乗車券類を発行してもらえました.しかし,2009年10月頃から「POS端末で発券できるものは原則すべてPOS端末で発券する」ということになったようで,現在では座席指定を伴わない料金券等はすべてPOS端末券での発行になります.(2011年10月21日記述)




2010年4月 東海道本線弁天島駅発行

寝台特急「サンライズ瀬戸」号と四国島内特急との乗継割引制度

 寝台特急「サンライズ瀬戸」と四国島内の特急列車を坂出駅または高松駅で乗り継ぐ場合,四国島内の特急列車の特急料金が半額になる乗継割引制度があります.

 右の画像は高松駅を乗り継ぎ駅としてJR四国予讃線の高松〜松山間自由席特急券を乗継割引としたものです.ありがたい制度ではあるのですが,「サンライズ瀬戸」号は多客期に高松〜松山間の延長運転を行っていた時期もありました.右の画像の券を使ったのはゴールデンウィークの只中ですが,松山までの延長運転はありませんでした(延長運転は2010年の年始を最後に途絶えているようです).

 もし,松山まで延長運転されていれば,画像下の乗継自由席特急券を買う必要なく,高松での乗り換えの必要もなく松山駅まで「サンライズ瀬戸」に乗ったまま行けたと考えると,乗継割引料金のありがたみが薄れてしまいます.

 本題からは逸れますが,この旅行の出発駅は豊橋駅でしたが,「サンライズ出雲・瀬戸号」は豊橋に停車しません.そのため,深夜の浜松駅まで豊橋から複乗する形で乗車しましたが,深夜1時過ぎの浜松駅の情景を見られたことや,画像のように券面に「浜松」「高松」「松山」と,「松」が3連発が並んでなんだか縁起が良いような気がします.さらに本題とはまったく関係ないのですが,作者が最初に使っていたワープロ・ソフトは「松」(管理工学研究所)でした.(2011年10月21日記述)




2009年3月 北陸本線糸魚川駅発行(上2枚)・
同 (弥彦線)燕三条駅発行(下2枚)


特急「白鳥(大阪〜青森)」なき後の「北越」「いなほ」乗り継ぎの旅

 この項は乗継割引による節約術の紹介というよりは「ネタ紹介」です.

 右画像は縦に4枚の特急券類を並べました.上部の2枚は柿崎〜長岡の乗継自由席特急券と長岡〜燕三条の新幹線特定特急券で,下部の2枚は燕三条〜新潟の新幹線特定特急券と新潟〜青森間の乗継B自由席特急券です.柏崎〜新潟,新潟〜青森と2枚の在来線特急券だけでも済む旅行でしたが,長岡〜新潟間に新幹線特定特急券を挟み,在来線特急で乗継割引制度を発生させています.

 もし,柿崎〜新潟と,新潟〜青森で在来線の自由席特急券を購入すると,前者が1,780円(A自由席特急料金150キロまで),後者が2,410円(B自由席特急料金401キロ以上)の計4,190円ですが,右画像のように長岡〜新潟間で特定特急券を入れて乗継割引を発生させると,合計3,460円になり,1,050円もお得です.

 当日の旅行ですが,出発駅は糸魚川,目的駅は青森でした.糸魚川10:58発・普通直江津ゆき(533M)に乗り,11:37直江津で下車.

 直江津12:16発・普通長岡ゆき(1335M)乗車,12:39柿崎着,ここで追い抜きとなる特急「北越3号」新潟ゆき(1053M)に乗り換え,13:22長岡下車.

 長岡13:52発「MAXとき321号」乗車,14:03燕三条下車,一旦燕三条改札を出場し,改めて右画像下2枚の特急券類を購入して燕三条14:28発「とき323号」乗車,14:41新潟下車.

 ここで遅い昼食を摂り,新潟15:49発・特急「いなほ7号」(2007M)青森ゆきに乗車し,終点青森に22:01到着,という行動をしました.

 直江津から普通列車長岡ゆき(1335M)に乗ったのであれば,そのまま終点・長岡まで乗り通し,長岡〜新潟間も在来線(信越本線)に乗れば特急「いなほ7号」に間に合うように思われるかもしれません.しかし,1335Mの長岡到着は13:55,接続する普通新潟ゆきは長岡14:37発の445Mで,これの新潟到着は15:55ですから,特急「いなほ7号」に6分の差で間に合いません.しからば,445Mを新津で降りて水原回りで新発田へ出て・・・とも考えられますが,水原回りの列車はほとんどなく,「いなほ7号」にはまったく間に合いません.

 このように,どこかの区間で特急「北越3号」は使わねばならないダイヤになっています.前述の実旅程のように柿崎からではなく,直江津から「北越3号」に乗車しても特急料金は変わりませんが,柿崎駅で普通列車1335Mと特急「北越3号」の並ぶシーンを撮影したかった,ということもあり,「北越」号への乗車駅を柿崎としましたが,お陰で直江津からは115系S編成×2の4連という珍編成に乗車することができる等,「メリット」はいろいろとありました.

 2001年3月改正まで,大阪〜青森間に特急「白鳥」(以下,「白鳥」と表記)が運転されており,青森駅に夜遅くに到着する旅程であれば,糸魚川駅14:22発の「白鳥」に乗車してしまえばあとは乗り換えなしで青森まで到達できる上,特急料金は通しで計算(新津〜新発田間は水原経由で計算する「特定の列車による運賃・料金計算の特例」まで存在していた)されますから,糸魚川〜青森間の自由席特急料金は3,150円でした.

 なお,画像のように柿崎から青森まで,「白鳥」で旅行した場合は「600キロまで」のA自由席特急券料金で2,830円でした.「白鳥」の廃止による新潟での「特急料金打ち切り計算」の影響を強く受けました.(2011年10月21日記述)




2010年4月発行

IGRいわて銀河鉄道〜JR東日本連絡乗車券の乗継割引

 IGRいわて銀河鉄道線(以下,IGR線と表記)及び青い森鉄道線は,2002年12月1日の東北新幹線八戸開業に合わせて路線開業した第3セクター鉄道路線です.IGR線はそれまでJR東日本が経営していた東北本線の盛岡〜目時間を引き継いで経営を開始しましたが,少ない沿線人口,自家用車の高普及率,沿線道路の急速な整備などが影響して厳しい経営環境となっていることから,JR東日本の経営時に比較して1.5倍程度の高額運賃が設定されています.

 そのため,IGR線とJR東日本会社線(以下,JR線と表記)の近距離同士を乗り継ぐと,お互いに割高な近距離運賃同士を単純に足すことで,従来の「JR線で完結」していた運賃と比較するとあまりに差額が大きいことから,激変緩和のため,(2002年開業時の)IGR線及びJR線の接続駅からそれぞれの2駅までの区間同士の乗車券及び定期券類に限り,「乗継割引運賃」として普通運賃の割引制度が設定されています.

 具体的には,岩手飯岡〜盛岡〜滝沢,小岩井〜盛岡〜滝沢,山岸〜盛岡〜滝沢,大更〜好摩〜滝沢間内の乗車券,回数券,定期券について適用されます.大更〜滝沢〜いわて沼宮内間については元々この区間内のみで好摩駅を跨って利用する旅客が極めて少なかったためか,除外されています.また,JRではありませんが,青い森鉄道と目時駅を挟んだ斗米〜諏訪ノ平間でも乗継割引運賃が設定されています.

 ここではIGR線滝沢駅を例に話を進めます.滝沢駅はJR線との接続駅である盛岡駅とも好摩駅ともちょうど「2駅(2002年のIGR線開業当初)」離れているため,盛岡駅乗継,好摩駅乗継ともにJR線の2駅先までは「乗継割引運賃」が適用されます(連絡乗車券類を購入した場合に限ります).

 右の画像の上部は2005年に滝沢駅自動券売機で買った山田線上盛岡駅までの連絡乗車券です.IGR線滝沢〜盛岡の普通運賃が360円,JR線盛岡〜上盛岡間が140円ですから,単純に足すと500円ですが,前述の「乗継割引運賃」が適用され,連絡乗車券は80円安い420円に設定されています.ちなみに2006年3月に運賃の改定が行われ,滝沢〜上盛岡間の連絡乗車券運賃は450円に値上げされています.

 このような「乗継割引」ですが,乗継割引の範囲を超えてJR線を利用する場合,どのような乗り越し精算扱いになるのか興味がありました.右の画像の下部は山田線(666D)の車内で,滝沢から上盛岡ゆきの原券を提示して,浅岸までの「乗り越し」を申請した際に発券された車内補充券です.「区変」の扱いで,原券はJR線盛岡〜上盛岡間の普通運賃である「140円」として,盛岡〜浅岸間の普通運賃480円との差額である340円を収受されました.画像上部は420円,下部は340円を支払った切符ですから,合計760円を支払ったことになります.

 ちなみに,IGR線と山田線の連絡運輸範囲は盛岡〜上米内間で,浅岸は連絡運輸範囲外になるため,滝沢駅で「滝沢から浅岸ゆき」の片道乗車券は発券できません.もし,滝沢駅で盛岡までの乗車券(360円)を購入し,盛岡駅で改めてJR線の浅岸駅までの乗車券(480円)を購入すると,合計は840円です.また,滝沢駅で「連絡運輸範囲」の最遠駅である上米内まで(560円:内訳はIGR線360円,JR線200円)を購入し,山田線車内で乗り越し精算をした場合は盛岡〜浅岸480円と盛岡〜上米内200円の差額280円を支払うことになりますから,これも合計は840円になります.

 ここまでのことをまとめると,IGR線〜JR線の近距離同士に適用される「乗継割引」で購入した乗車券(類)を,JR線内で「連絡運輸範囲外」へ区間変更すると,「乗継割引」運賃分の恩恵を受けたままJR線内の不足額のみを支払えばよい(らしい)ことになります.この「連絡運輸範囲『外』への区間変更」は重要なポイントです.例えば画像のきっぷの例で,目的地が「上米内駅」だとすると,上米内は前述のように連絡運輸範囲「内」ですので,原券の「滝沢から上盛岡まで」の運賃420円(2005年当時)と「滝沢から上米内まで」の運賃560円との差額分(140円)の精算となり,乗継割引分の恩恵は受けられないものと思われます.

 この「IGR線〜JR線連絡の乗継割引」運賃制度の割引額はかなり大きく,例えば花輪線大更駅から盛岡駅までの場合,滝沢駅で乗車券類を区切って買った方が20円安くなります.これが定期券だとさらに大きく効いて来ます.当サイトの「きっぷ>定期券」のページに掲載しましたが,通勤定期券を買う場合,乗継割引が適用される「大更〜滝沢の定期券」と,「滝沢〜盛岡の定期券」で区切って購入した方がこれも安くなります.(2010年6月10日記述,8月5日加筆修正,10月19日加筆修正)




2004年6月 信越本線今井駅発行

しなの鉄道〜JR東日本連絡乗車券の乗継割引

 第3セクターしなの鉄道線はJR在来線と篠ノ井駅(信越本線及び篠ノ井線),小諸駅(小海線)で繋がっています.これら接続駅を跨って両社を利用する旅客は,しなの鉄道線の運賃と,JR線の運賃とを合算することになり,特に双方が近距離利用の旅客は割高な近距離運賃同士を合算するため,従来のJR線で完結していた時代の運賃に比して大幅な値上げとなります.このため,しなの鉄道発足時には両社間を跨って利用する近距離旅客に配慮し,一部区間で「乗継割引」運賃割引制度が実施されました.

 このような制度は前掲のIGRいわて銀河鉄道の場合も同様でしたが,IGR線ではいわて銀河鉄道側のみが運賃割引を行い,JR線側は無割引の「乗継割引」制度だったのに対し,しなの鉄道ではJR線側も運賃を割り引く区間を設ける条件を呑み込み,ある意味JR側が譲歩した格好でスタートしました.

 画像の乗車券は信越本線今井からしなの鉄道線戸倉までの片道乗車券です.運賃は300円で,券面に「割引」と印字されています.無割引での両区間の運賃はJR東日本が140円(営業キロ2.1キロ),しなの鉄道が220円(2004年6月当時)で計360円ですから60円も割引がされています.この「60円」の両社の割引内訳は不明ですが,恐らくJR側20円,しなの鉄道側40円と思われます.

 JR東日本では長野新幹線開業から10年が経過した2007年6月にこの乗継割引制度を廃止しており,しなの鉄道も乗継割引制度自体は残しているものの,運賃値上げを行っています.2011年12月現在の今井〜戸倉間の運賃は340円で,篠ノ井〜戸倉間の運賃が240円であることを考えると,現在,この区間ではしなの鉄道が40円の割引を実施していることが浮かび上がります(この額を元に2004年当時の両社の割引内訳を予測).

 両社の乗継割引に関しては,JR側はすでに制度自体を廃止したことからも積極性が見えず,株式会社然とした対応ですが,しなの鉄道側は利用客離れを少しでも食い止めたいことと,3セク化以前の運賃との格差をできるだけ縮めたいという公益性を意識したい思いが感じられます.

 このように,新幹線開業と引き換えに平行在来線が3セク化された地域では,苦しい経営の鉄道を利用しなければならない現実が待っています.(2011年12月16日記述)




2011年11月 東海道本線豊橋駅発行

豊橋〜長野間での乗継割引制度利用例

 豊橋〜名古屋間を新幹線特定特急券(950円),名古屋〜長野間の特急「しなの」乗車区間を乗継割引の自由席特急券(1,150円)としたオーソドックスな例です.

 この例では「しなの」区間は自由席ですが,名古屋駅での乗り換え時間が少なかったり,繁忙期で混雑が予想される場合,「しなの」の指定券を取ることも考慮すべきです.

 乗継割引は座席指定の特急券も半額(つまり指定席代の分も半額)となりますから,大変にお得です.(2011年11月27日記述)




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