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お得なきっぷの買い方ガイド 〜連続乗車券

(2012年7月13日作成,2012年11月4日最終更新)

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信越本線 新潟駅発行 2000年3月

連続乗車券のメリット 

 片道乗車券,往復乗車券を発売できない連続した区間をそれぞれ1回乗車する場合に発売するのが連続乗車券です.大型時刻表のピンクのページ(JTB時刻表2012年4月号: 983ページ)には「●連続乗車券/乗車区間が一周を超える場合,または,乗車区間の一部が重複するなどで片道乗車券・往復乗車券にならない場合,片道乗車券2枚を組み合わせて発売する乗車券です.この場合,1枚目の券片(連続1)の着駅と2枚目の券片(連続2)の発駅は同じ駅になります.」と記述されています.

 なお,連続乗車券は2区間のみです(旅客営業規則第26条(3)).国鉄時代には3区間の発売も可能だったようです.

 右画像は新潟〜敦賀(連続1)と敦賀〜新十津川(連続2)の連続乗車券です.連続乗車券のメリットは,第1,第2券片の有効期間を足したものが各券片の有効期間になること,学割で購入する場合に学割証1枚で1つの連続乗車券を購入できること,払戻しの際に手数料が1枚の乗車券として扱われること等が挙げられます.

 右画像の連続乗車券はメリットの有効期間の通算を発揮した例です.有効期間は3月2日から17日間(3月18日まで),2週間以上あり,週末を3回も含みます.まず,第1券片では有効開始日の3月2日から主に山陰方面への旅行に使用し,経路としては6の字形状に敦賀まで戻る経路です.

 第2券片の着駅は札沼線の新十津川です.経路は日本海縦貫線の新潟・白新線回りではなく,新津・羽越線回り(水原経由)としています.実使用では有効期間最終日の3月18日,新津駅1:29発の寝台特急「日本海1号」(函館ゆき)に乗車しました.券面にある大阪車掌区(3月18日)の検札員は「日本海1号」車内で押印されたものです.

 「日本海1号」の終点・函館から乗り継ぎ,当日中に新十津川まで乗車しました.有効期間18日間をフル活用し,連続乗車券のメリットを発揮させた一例です.(2012年7月13日記述)




東北本線 盛岡駅発行 1996年3月

連続乗車券の学割 

 連続乗車券のメリットの一つに学割の場合に学割証1枚で購入できる点があります.

 当サイトの「往復乗車券」のページでも紹介しましたが,学割証は1人あたりの年間発行枚数に制限がある場合が多く,無計画に使用できないようになっています.学割証の使用枚数を節約する観点から考えると連続乗車券はお得です.

 学割の場合,連続乗車券の第1,第2券片どちらかが100キロを超えていないと割引になりません.また,どちらかが100キロ以下の場合,その券片は2割引とはなりません.このことから,第1,第2両券片ともに100キロを超えていた方が学割使用のメリットは大きいと言えます.

 右画像は盛岡から山陰本線安来まで(第1券片),安来から予讃線市坪まで(第2券片)の学割連続乗車券です.山陰本線鳥取〜安来間が復乗になるため,片道乗車券とはならず,連続乗車券として発券されています.

 ところで,学割を使って連続乗車券としたこの買い方は本当にお得なのでしょうか?盛岡から市坪までの片道乗車券として,鳥取〜安来間は別途往復乗車券として購入した場合と比較します.

 盛岡から市坪ゆき(経由:東北・青森・(中略)・播但・山陰・因美(中略)・予讃)=運賃計算キロ1862.0キロ=14,500円(学割)+JR四国加算額(101キロ以上・240円・瀬戸大橋線加算運賃100円を含む)×0.8(学割・端数切り捨て)=14,690円.

 これに鳥取〜安来間を別途往復で購入となります.

 鳥取から安来ゆき(101.5キロ)=1,890円×2(ゆき・かえり)=3,700円(学割の場合,1,510円×2=3,020円)

 合計18,390円(鳥取⇔安来も学割を使用した場合,17,710円)となり,画像の連続乗車券19,050円よりも安くなります.遠距離乗車の場合は運賃の遠距離逓減が効いて,連続乗車券としない方がお得になる場合もあるので,今になって画像の連続乗車券を見返すと,運賃比較を事前に行う検討が必要だったということを思い知らされます.

 但し,連続乗車券では有効期間が長くなることなど,メリットもあるため,旅程との兼ね合いも検討事項ではあります.(2012年7月13日記述)




奥羽本線 秋田駅発行 2001年2月

連続乗車券にしなかった2枚の乗車券 

 右画像の乗車券は秋田から羽越本線の桂根までと,桂根から青森まで(経由:羽越・奥羽)の片道乗車券です.画像上部の券を連続乗車券の第1券片,下部の券を第2券片として発券できますが,連続乗車券とはせず,2枚の乗車券として発券してもらいました.

 連続乗車券としなかった理由は特にありません.もし連続乗車券としていれば,有効日数は両券片のそれの通算ですからいずれの乗車券も「3日間有効」になります(但し,この場合も秋田⇒桂根の乗車券は下車前途無効のままです).

 連続乗車券ではなく,画像のように2枚の乗車券とするメリットを敢えて探すと,「秋田⇒桂根」の乗車券を使用開始後であっても,「桂根⇒青森」の乗車券が使用開始前であればこれを乗車変更できることです.連続乗車券では第1券片使用開始後,第2券片が未使用であれば「払戻し」はできますが(旅客営業規則第274条),「乗車変更」はできません(同248,249条).

 連続乗車券としないデメリットは,前述の有効期間の他に,「桂根⇒青森」使用開始後,2枚目の乗車券を使用中に事故や災害等による不通区間が発生した際に,すでに使用済みの券片(右画像の場合,秋田〜桂根間)の区間の駅まで無賃送還が不適用となることが挙げられるかと思います.

 第1券片は使用を終了し,第2券片使用開始後,経路上で大きな災害等による長期不通区間が発生したとします.不通により旅行継続を断念し,出発駅等までの無賃送還を希望する場合,連続乗車券では特殊な扱いになるようです.

 旅客営業取扱基準規定(359条から抜粋)には,「無賃送還をする場合で,連続乗車券を使用する旅客がその使用ずみ券片の区間内の駅までの送還を希望するときは,駅長において特に事情気の毒と認めたものに限り,乗車券の券面に「何駅まで事故返」と記入し,駅名小印を押してその取扱いをすることができる.この場合,旅客運賃の払いもどし額は使用中の券片に対する旅客運賃とする.ただし,使用中の券片で途中下車をしているときは,最終途中下車駅・着駅間に対する規則第284条第2項第1号の規定による旅客運賃とする」とあります.

 作者の解釈が間違っていなければ,ここで言う「使用ずみ券片」は第1券片のことと思われます.画像の2枚の片道乗車券を連続乗車券とした場合,秋田〜桂根間の希望する駅まで無賃送還の扱いとしてもらえる場合があるわけです.連続乗車券とせず,2枚の別々の片道乗車券として購入した場合は,使用ずみ券片,つまり,旅行開始当初の使用済み区間への無賃送還は不可です.

 ただ,いくつかの問題点が浮かび上がります.そもそも第1券片を使用終了した場合,第1券片着駅改札等で駅員等に引き渡したならば,すでに旅客の手元に第1券片はなく,また,第2券片だけ見ても第1券片の発駅すら分かりません(通常は第2券片の券面にある発行箇所が発駅となりますが).また,第1券片の経路も通常は分かりません(マルス(端末)の発券記録や,補充券であれば発行箇所の乙片を辿れば分かるものとは思いますが).

 また,第1券片区間が分かったとしても,無賃送還を希望して駅長が「特に事情気の毒」と認めた場合のみ無賃送還の扱いがされることになります.第1券片区間の無賃送還を希望すれば,必ず認められるものではないわけです.(2012年11月4日記述)




東海道本線 豊橋駅発行 2012年8月

復乗区間すべてが社線となる連続乗車券 

 右画像の券は連続乗車券に社線連絡を組み込んだ例です.しかも,第1券片と第2券片の復乗区間すべてが社線(伊豆箱根鉄道駿豆線三島〜伊豆長岡間)となっている例です.

 この場合,いずれの券片にも社線を含むことから,両券片ともに当該社線との連絡運輸範囲でないと発券要件を満たさないものと思われます.例えば,第1券片が右画像と同じ豊橋から伊豆長岡まで,第2券片が伊豆長岡から高崎まで,という連続乗車券は不可と思われます(高崎駅は駿豆線との連絡運輸範囲外のため).

 但し,社線通過連絡を絡めた場合は分かりかねます.例えば第1券片「小海から長野ゆき(経由:小海線・小諸・しなの鉄道線・篠ノ井・篠ノ井線)」,第2券片「長野から塩尻ゆき(経由:篠ノ井線)」が発売可能かは分かりかねます.この場合,第1券片はしなの鉄道の通過連絡運輸範囲内で収まっているものの,第2券片の松本以南はしなの鉄道の(通過)連絡運輸範囲外になります.

 また,第1券片の出発駅が社線内の駅の場合も同様です.例えば第1券片が「伊豆長岡から函南ゆき(経由:伊豆箱根鉄道線・三島・東海道)」,第2券片が「函南から豊川ゆき(経由:東海道・飯田線)」のような場合です.これも前述のしなの鉄道線の場合と同様,豊橋から先の飯田線は伊豆箱根鉄道駿豆線の連絡運輸範囲外になります.

 さらに,このような社線内の駅発の連続乗車券はそもそも出発駅で発売してもらえるのか謎です.例えば第1券片「伊豆長岡から函南ゆき(経由:伊豆箱根鉄道線・三島・東海道)」,第2券片「函南から豊橋ゆき(経由:東海道)」という連続乗車券は,駿豆線の連絡運輸範囲という観点からは第1,第2券片ともに満たしていますが,伊豆長岡駅出札でこのような連続乗車券の発券をお願いしても,第2券片はJR線内完結区間のため,発券できない気がします.

 ではJR東海の「みどりの窓口」等で発券可能か?と言うと,出発駅が社線ということですんなり売ってもらえるのかこれも不透明です.

 場合によっては右画像のような第1券片JR⇒社線内着,第2券片社線内発⇒JRとなる場合の連続乗車券も発券不可として断られる場合があるようです.(2012年11月4日記述)




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