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お得なきっぷの買い方ガイド 〜新幹線特定特急券の積極利用

(2009年2月22日作成,2017年9月28日最終更新)

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距離51〜100キロで特に威力を発揮する「新幹線特定特急券」を有効利用する

東海道・山陽新幹線 新幹線特定特急料金設定区間の運賃計算キロと同料金の関係(2009年2月現在)
 

 この表は東海道・山陽新幹線の新幹線特定特急券料金が設定されている区間のキロ数と料金を一覧にし,10キロあたりの料金とそのヒストグラムを横軸に表したものです.ヒストグラムは1マスを10円として,10円未満の数字はすべて切り上げて表示しました.

 手っ取り早く言うと,赤い横軸が短いほどキロ当たりの新幹線特定特急券料金が安いわけで,「お得感が強い」区間と言えます.但し,最下段の「博多〜博多南間」は新幹線車両で運行されているものの,本来は「在来線特急」の扱いであり,この区間のみ,「新幹線」が付かない「特定特急券」という表記が正式になると思われます.

 この表を見ると,10キロあたり200円未満の区間が「安い」と言える区間になるかと思います.そして興味深いことにこれらの区間はほぼ50km前後の区間(駅間)距離になっていることです.次項にも例を挙げましたが,特に注目すべき区間は静岡〜浜松です.区間距離76.9kmで,もし在来線特急が走っていれば,この区間はA特急料金になるため自由席特急料金でも1,150円もします.つまり,在来線特急よりも新幹線の方が安い,という設定になっていることは見逃せません.これは他の51〜100キロまでの区間にも言えることですが,10キロあたり運賃は160円前後であり,非常に乗り得感が高いです.

 静岡〜浜松間を引き合いに出したのには理由があります.新幹線特定特急料金が誕生したのは,新幹線岡山開業の1972年になります.「岡山開業時点での隣接した駅同士」に限って設定された救済目的(後述)も兼ねた料金設定です(「新大阪開業」時にはなかった東海道新幹線三島駅ですが,「岡山開業」時にはあったため,「熱海〜静岡間」は特定特急券区間から外れました).

 静岡〜浜松間には掛川駅があります.ところが掛川駅はJR化後に誕生した新駅で,これによって静岡〜浜松間が「隣接」駅同士ではなくなっても,それまでの「新幹線特定特急料金」区間であったことからこの料金体系は残置する処置が取られました.これは利用者サイドにとっては朗報以外の何物でもないと思います.この「隣接駅(だった)かどうか」でお得に新幹線が利用できるか否かが決まる側面も持っているからです(これも別掲の「長岡〜新潟間」「三島〜浜松間」で後述).

 確かに静岡〜浜松間であれば,在来線特急よりも安価な料金で新幹線に乗れてしまうわけですが,新幹線岡山開業の1972年当時のことを考えると,この区間には多くの「急行列車」が走っており,それらが新幹線開業によって大削減を余儀なくされ,新幹線を使わざるを得ない状況になったことも確かです.このような中で単にキロ数による新幹線特急料金を設定したのではあまりにも近距離利用の旅客に不利であることから,「隣接駅同士の普通車自由席利用に限って」新幹線特定特急券という制度が生まれました.

 それが新幹線開業から40年以上経った現在も残っており,上表のように区間によっては非常にお得な設定となっていることから,これをうまく利用すべきです.実際,静岡〜浜松や豊橋〜名古屋間では通勤・通学需要が非常にあり,多くの「とくとくきっぷ(特企券)」も設定されています.(2009年2月22日記述,2011年10月21日加筆修正)




2011年10月 東海道本線浜松駅発行(上)・
飯田線三河一宮駅発行(下)

お得な51から100キロ区間の新幹線特定特急券〜静岡・浜松間(76.9キロ)

 東海道新幹線の静岡〜浜松間は営業キロで76.9キロ離れていますが,新幹線特定特急券料金(950円)の設定された区間です.前掲の図のように,この区間の10キロあたりの新幹線特定特急料金は124円で,これは東海道・山陽新幹線の最安値という恵まれた区間です.

 右の画像(下)は飯田線三河一宮から静岡までの移動に使った乗車券です.乗車区間のうち,豊橋から静岡まで新幹線で移動しても良かったのですが,豊橋〜静岡間の新幹線自由席特急料金は2,410円もしますので,豊橋〜浜松間は在来線で移動し,浜松〜静岡間のみ新幹線を利用する「お得なきっぷの買い方」で旅行しました.

 このように,豊橋〜静岡と,浜松〜静岡間の新幹線自由席による移動は,2,410円-950円=1,460円もの差額があります.

 さらに,当日移動に使った列車ダイヤは,三河一宮17:37発の豊橋ゆきでした.この列車の豊橋到着は18:01ですが,豊橋発の上り新幹線は同じ18:01に「こだま672号」東京ゆきが発車するという,まったく使えないダイヤでした.次の新幹線は豊橋18:32発の「こだま674号」まで31分もありませんので,豊橋からは在来線の東海道本線で東進を始めました.

 東海道本線は豊橋18:07発浜松ゆき(974M)がありますので,それに乗車しました.311系4両の運用で,通勤・通学の帰宅客らで2人がけ席はすべて埋まり,立ち客も発生している状態でしたが,固定向かい合わせ4人がけ席に空席を見つけ,終点浜松に定時の18:42に到着.ここで少しあわただしいのですが,浜松18:48発の「こだま674号」東京ゆきに乗り継ぎました.

 この「こだま674号」は豊橋で作者が乗車していた飯田線の上り列車に31分待ちで「接続」していた新幹線そのものです.もし,当初から「豊橋から静岡までは新幹線」と決め付けていれば,豊橋で31分待って乗っていたまさにその「こだま号」です.豊橋から浜松まで,帰宅ラッシュで多少混んでいたとは言え,在来線で移動したことにより,「お得」な浜松〜静岡間の「新幹線特定特急券」が使え,時間的にも金銭的にも納得の移動です.

 本題からは逸れますが,画像の乗車券を例えば三河一宮から豊橋まで(230円)と,豊橋〜静岡(1,890円)の2枚に分けて購入すると,計2,120円となり,通しで購入するよりも90円お得です(乗車券の分割購入).(2011年10月15日記述,列車時刻などの内容は2011年3月改正当時のものです.2011年10月現在,時刻に変更はありませんが,このような旅行計画を立てる際には最新の時刻をお調べ願います)




2008年12月 北陸本線青海駅発行

51から100キロ区間の新幹線特定特急券〜豊橋・名古屋間(72.4キロ)

 右の画像はJR西日本青海駅のPOS端末で発券された豊橋〜名古屋間の新幹線特定特急券です.この区間は営業キロ72.4キロですから,在来線のA自由席特急料金が1,150円する区間ですが,新幹線の自由席の場合,それよりも200円も安い値段で移動ができる非常にお得な区間です.

 この区間には三河安城駅がありますが,JR化後の1988年3月に開業しており,新幹線特定特急券制度が生まれた1972年時点には開業していなかったことから,新幹線の豊橋〜名古屋間は現在は「隣接駅」ではないものの,特定特急券制度の「恩恵」がそのまま受けられる恵まれた区間となっています.

 豊橋〜名古屋間には「名古屋往復きっぷ・豊橋往復きっぷ」「JR名古屋⇔豊橋カルテットきっぷ」という特企券があり,その特企券に500円(土休日は380円,2011年10月現在)をプラスすると,新幹線(自由席)にも乗れてしまうサービスがあります(往復きっぷ専用新幹線変更券,という特企券が発行されます).

 この区間が名鉄との熾烈な競争区間であるため,と言ってしまえばそれまでですが,在来線である東海道本線にも頻発する「新快速」が走り,新幹線には格安で乗れるとあって,非常に便利で移動手段の選択肢も広い区間と言えます.(2009年2月22日記述,2011年10月15日加筆修正)




2009年3月改正・東海道本線 熱海〜豊橋(熱海〜静岡は一部)

新幹線特定特急券の有効活用例・浜松〜豊橋(36.5km・840円)

 右の時刻表は2009年3月14日改正の東海道本線・熱海〜豊橋間(熱海〜沼津と,沼津〜静岡間の途中駅時刻は省略)の下り時刻表です.

 目的地は豊橋駅とします.例えば静岡駅改札を19時ちょうどに通ったとします.静岡19:02発の島田行きにギリギリ乗れるかもしれませんが,静岡を19:02に発車する「ホームライナー浜松1号」(毎日運転)に乗車すれば,浜松では4分の好接続で豊橋まで行けることがこの時刻表から分かります.ちなみに,この「ホームライナー浜松1号」は乗車券類の他に310円の乗車整理券が必要となりますが,車両は特急型の373系を使用しているため,リクライニングシート(一部コンパートメント席)の快適な移動が可能です(まず満席ということはないようです).しかも,浜松で接続している20:15発の豊橋行きは「ホームライナー浜松1号」とは時刻表を見る限り,まったく別の列車に見えますが,実際には通しで運転されており,浜松で乗り換えることなく,そのまま373系に乗ったままで豊橋まで移動が可能です.このように,「ホームライナー浜松1号」はかなりお得な列車です.

 しかし,この「ホームライナー浜松1号」に乗り遅れるとちょっと悲惨です.静岡発を例に取ると,次の19:14発,19:26発の浜松行き普通列車に乗っても,結局は静岡19:38発の浜松行き普通列車に乗るのと浜松からの接続列車は変わりなく,豊橋到着は「ホームライナー浜松1号」を利用するよりも33分遅れてしまいます.310円の乗車整理券は不要とはなりますが,リクライニングシートでの移動はできません.

 ここまでは静岡を出発することを想定して話を進めましたが,熱海方面から移動していた場合はもうちょっと時間的な差が顕著です.この時刻表の一番左端にある465Mは熱海始発で,熱海を17:38に発車します.熱海でその次に発車となる東海道本線の下り普通列車は17:52発の467M浜松行きです.それぞれの列車の熱海駅発車時刻は14分しか変わりませんが,この14分の差が普通列車での移動の場合,豊橋到着時には33分に膨らんでしまう上,前述のように310円の乗車整理券が必要とはいえ,静岡〜浜松〜豊橋間の373系による快適なリクライニングシート車両での移動はできません.

 そうなるとこの項のタイトルのように,新幹線特定特急券を買って「ワープ」の如く,速く,快適に移動するワザが考えられます.例えば熱海17:52発の普通浜松行きに乗ったとします.そのまま終点浜松まで乗車すると,浜松到着は20:25.普通列車だと浜松20:50発豊橋行きまで25分待つことになってしまいます.しかし,新幹線は浜松20:30発の「こだま679号」名古屋行きが好接続しています.「こだま679号」は豊橋20:46です(20:46は時刻表上での発車時刻のため,実際には20:44頃には到着しているものと思われます).つまり,「ホームライナー浜松1号」を使って普通列車のみで豊橋へ移動するよりも,5分程度豊橋に早着できます.「ホームライナー浜松1号」の乗車整理券は310円,浜松〜豊橋の新幹線特定特急券は840円です.差額530円は少なくありませんが,熱海17:52の出発で考えた場合,浜松での普通列車の接続の悪さを考えればこの「ワープ」の効果はかなり大きく,満足度の高い旅行になることと思われます.

2009年5月 浜松運輸区発行

 右の画像は「ホームライナー浜松1号」の車内で購入した乗車整理券です.310円で373系のリクライニングシート(一部,コンパートメント席)に乗車可能です.前述のように,浜松20:15発の普通列車豊橋行き(987M)もこの「ホームライナー浜松1号」の末端運用としてそのまま普通列車化します.そのため,浜松以遠のみの利用であればこの乗車整理券(ライナー券)は不要となります.

 ちなみに,青春18きっぷを利用の際も,この乗車整理券を購入すればホームライナーには乗車可能ですが,青春18きっぷでは新幹線に乗車できません.そのため,このような新幹線特定特急券を利用した「ワープ」は普通乗車券等を所持している場合にのみ有効です(青春18きっぷ利用で「ワープ」する場合,浜松〜豊橋の片道乗車券(650円)の別途購入が必要になります).(2009年5月19日記述,列車時刻などの内容は2009年3月当時のものです.2009年5月現在,時刻に変更はありませんが,このような旅行計画を立てる際には最新の時刻をお調べ願います)




2009年3月 北陸本線糸魚川駅発行(上)・
同 (弥彦線)燕三条駅発行(下)

新幹線特定特急券区間の連続利用
(長岡〜新潟・上越新幹線)

 上越新幹線の長岡〜新潟間の新幹線自由席特急料金は1,790円です.ところが,途中駅の燕三条で区切り,「長岡〜燕三条」と「燕三条〜新潟」の2枚の特定特急券にすると,右画像のように840+840=1,680円となり,110円お得です.

 このように,新幹線の区間によって,自由席利用の場合は連続した2枚の特定特急券とした方が安価な区間があります.

 右画像の例では燕三条駅で下車し,改札を通った後に再び燕三条駅から乗車していますが,予め連続した2枚の特定特急券を「事前購入」して通しで乗車することも可能なようです.

 但し,例えば右の区間で長岡〜燕三条間の新幹線特定特急券のみ所持して長岡から乗車後,燕三条駅で下車せず,新潟駅まで乗車後に「燕三条〜新潟間は特定特急券料金で精算」は不可です.この場合は長岡〜新潟間の新幹線自由席特急料金(1,790円)との差額の950円を精算することになりますので注意が必要です.(2011年10月21日記述)




2013年8月 東海道本線 浜松駅発行(上)・
同 静岡駅発行(下)

新幹線特定特急券区間の連続利用
(浜松〜三島・東海道新幹線)

 東海道新幹線浜松〜三島間(営業キロ136.4キロ)を静岡で分割して2枚の新幹線特定特急券(以下,特定特急券と記述)で繋いで旅行した例です.

 同区間の新幹線自由席特急券(以下,自由席特急券と記述)は2,410円ですが,浜松〜静岡(76.9キロ・特定特急券料金950円)と静岡〜三島(59.5キロ・同950円)の2枚の特定特急券の合計は1,900円となり,通しで自由席特急券を買うより510円もお得です.

 画像のように,実使用では静岡で下車し,一旦改札を出ていますが,2枚の特定特急券を予め所持していれば浜松〜三島間を通しで乗ることが可能です.

 東京起点で見て,三島〜浜松間のように,100キロ超え区間で2枚の連続した特定特急券で乗車可能な区間は,通しで自由席特急券等を購入するよりも断然お得度が高く,東海道・山陽新幹線ではこの区間の他,

新富士〜浜松(110.9キロ・静岡分割)
三島〜掛川(108.6キロ・静岡分割),
浜松〜名古屋(108.9キロ・豊橋分割),
豊橋〜岐阜羽島(102.7キロ・名古屋分割),
岐阜羽島〜京都(117.3キロ・米原分割),
米原〜新大阪(106.7・京都分割),
福山〜広島(103.0キロ・三原分割),
三原〜新岩国(112.8キロ・広島分割),
徳山〜新下関(106.0キロ・新山口分割).

 以上が該当します.

2009年5月 浜松運輸区発行

 右画像は三島⇒浜松の自由席特急券です.料金は2,410円で,前述のように上掲の2枚の特定特急券との差額は510円もあります.

 本題からはやや逸れますが,例えば三島駅から浜松駅まで東海道新幹線で移動する場合,三島駅の「みどりの窓口」等で,「浜松までの乗車券と,三島⇒静岡と静岡⇒浜松の特定特急券を下さい」と言ってもすんなり発券してもらえない可能性があります(静岡で途中下車する予定がないのであれば,特急券もあくまで目的地までのものを発売すべきであるため).

 なお,JR東海の新幹線改札にある新幹線乗換駅以外の自動券売機(いわゆるエクスプレス券売機)では一回の操作で「三島から浜松までの乗車券と,静岡⇒浜松の特定特急券」を発券することが可能です.まずこの操作を行い,発券後に改めて「三島⇒静岡の特定特急券のみ」を発券する操作を行って,乗車券と2枚の特定特急券を受け取ることができます.

 ただし,自動券売機操作中に券売機が空くのを待つ人がいる状態の場合,2回連続の(節約という目的を達成するための)発券操作を行い,券売機を占領し続けることはあまり好ましいこととは思いません.まず一度,自動券売機から離れ,改めて列の最後部に並び直すか,乗車券のみを在来線自動改札に通して在来線ラッチ内に入り,新幹線乗り換え改札の自動券売機または乗り換え客専用の発売窓口で「三島⇒静岡の特定特急券」を買い足すといった行動も必要になってくるかと思います.


 自動券売機で購入する際には,まず「乗車券と静岡⇒浜松の特定特急券」を買い,続いて「三島⇒静岡の特定特急券のみ」という順序で購入すべきです.最初に「乗車券と三島⇒静岡の特定特急券」を買ってしまうと,新幹線専用の自動改札機を通過することができてしまうためです.

 特定特急券のみを買い足す際に「在来線ラッチ内」に入ることは非常に重要です.もし,静岡⇒浜松の特定特急券を持たずに,乗車券と三島⇒静岡の特定特急券を使って「新幹線ラッチ内」に入ってしまった場合,改札や精算窓口等で静岡⇒浜松の特定特急券を求めても恐らく発売してもらえません(手持ちの三島⇒静岡の「入鋏済み」特定特急券を三島⇒浜松の自由席特急券に「変更」することは可能です).

 以上のように,特定特急券2枚を連続させて節約させるには,新幹線改札ラッチ内に入る前に,予め特定特急券を2枚共,手元に用意する必要があります.(2013年11月21日記述,2017年9月28日加筆修正)




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