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お得なきっぷの買い方ガイド 〜えちごワンデーパス

(2011年12月2日作成,2011年12月9日最終更新)

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信越本線 長岡駅 2003年3月13日 Nikon Coolpix 2500

JR東日本新潟支社の「えちごワンデーパス」

 JR東日本新潟支社管内のうち,新潟駅を中心としたおおよそ60キロ圏内をエリアとしてカバーしたフリーきっぷが「えちごワンデーパス」です.販売価格は1,500円です(2011年11月現在).

 別途特急券類を購入すれば特急に乗車できる他,上越新幹線の長岡〜新潟間もエリアに含まれているため,この区間の新幹線特急券類を別途購入すれば新幹線への乗車も可能です.

 右写真は2003年3月に長岡駅で撮影したJRの広告板です.長岡朝7時ちょうど発の新幹線「とき491号」が通勤・通学に便利であることを訴えている他,右側に「えちごワンデーパス」の広告とエリア地図が掲出されています(エリアについては後述).「えちごワンデーパス」が長岡〜新潟間等の高速バスとの競争区間を意識して企画されたきっぷであることが伝わってくる広告です.

 長岡〜新潟間の普通運賃は1,110円(営業キロ63.3キロ)です.往復2,220円ですから,在来線で往復しただけでも十分にモトが取れますが,JR東日本サイドとしては,片道あるいは往復ともに新幹線や在来線特急を利用するであろうことを考慮しての価格設定と思われます.また,新幹線利用を前提とした同区間のトクトクきっぷ「Sきっぷ」も発売されています.

 なお,2003年の撮影当時,「えちごワンデーパス」エリアの越後線南端駅は寺泊でしたが,後に出雲崎駅まで拡大(後述)され現在(2011年)に至っています.(2011年12月2日記述)




JR東日本新潟支社 2001年頃

「えちごワンデーパス」以前に発売されていた「いなほきっぷ」

 右画像は2001年頃に新潟支社管内で乗車券類を購入した際に窓口でもらった乗車券ホルダーです.破損していますが,新潟地区の「とくとくきっぷ」の案内が印刷されていました.

 これらの区間のうち,2011年12月現在,発売が中止されている区間は,「Sきっぷ」では新潟〜東三条(燕三条(新幹線経由)との「選択乗車」が不可となった,新潟〜燕三条は継続発売),長岡〜東三条(同左),「いなほきっぷ」は全区間全滅,「みのりきっぷ」は新潟〜妙高高原(新井ゆきは高田と同額で乗車可),新潟〜長野・豊野,長岡〜長野の区間が中止されました.

整理すると,「Sきっぷ」では燕三条または東三条への選択乗車(上越新幹線または信越本線)が不可となり,燕三条(上越新幹線経由のみ)までの一本化,「いなほきっぷ」はとにかく全滅,「みのりきっぷ」区間は特急「みのり」が2001年12月改正で高田〜長野間の運転を取り止め,区間短縮したこと等から新潟〜長野県境越えの「みのりきっぷ系とくとくきっぷ」が消滅した経緯があります.

 このように,新潟〜東三条間と,全滅となった「いなほきっぷ」区間では,新たに「えちご料金回数券」を登場させ,普通乗車券や「えちごワンデーパス」と自由席特急券タイプの回数券を組み合わせることにより後継とさせました.

 ここからは新潟〜村上間に絞って話を進めます.同区間の営業キロは60.7キロで普通運賃は1,110円です.前掲の長岡〜新潟と同額です.「えちごワンデーパス」で普通列車で往復すれば720円もお得です.「えちご料金回数券」の1枚あたりの価格は600円ですから,「えちごワンデーパス」と「えちご料金回数券」の組み合わせでの往復は1,500+600+600=2,700円となり,「いなほきっぷ」時代の2,600円よりも100円高くなっています.

 以上のようなことから,作者の村上市在住時(2002〜2007年)には周辺の人から「『いなほきっぷ』時代の方が良かった」という声を何度か耳にしました.まず,「いなほきっぷ」の方が新潟駅まで「いなほ」号で単純に往復する場合は安かったことと,1往復で使いきれるためと思われます.

 「えちご料金回数券」の場合,4枚綴りのため,2人同時に往復すれば使い切れますが,1人の場合は1回の往復では使い切ることができません.この辺の「使いにくさ」が,JR東日本にとって,高速バスが大きな競争相手と成りうるか否かという差と思われます.

 新潟〜長岡間は高速バスとの熾烈な乗客獲得競争区間ですが,新潟〜村上間はそれほど利用者数が多いわけではなく,当時(2001年)は羽越本線沿いに高速道路が未開通ということもあり,高速バスを意識せず,JR東日本としては「強気」で乗客獲得ができたものと思われます.そういった事情も見越しての「いなほきっぷ」全滅措置とも受け取れます.

 このように,村上市在住者からは評判が芳しくなかった「えちごワンデーパス」ですが,作者の場合,新潟までの往復で「いなほ」を利用することはほとんどなく,「いなほ」を利用するにしても,特急列車の「部分的」な利用(B自由席特急料金50キロまでの500円)に抑える等の工夫をして節約していました.また,新潟駅ではなく,越後線の白山駅,関屋駅や内野駅まで行く用事も多数あったことから,「いなほきっぷ」ではなく,フリーきっぷタイプの「えちごワンデーパス」は大変にありがたかった上,「乗り鉄」「降り鉄」も楽しめるとあって,作者としては大歓迎の特企券でした.(2011年12月2日記述,12月4日加筆修正)

いなほきっぷのチラシ
2001年頃 JR東日本新潟支社発行
(画像が大きな画像へのリンクになっています)

 部屋を片付けていたところ,「いなほきっぷ」のチラシが出てきました.チラシの取得年月が不明ですが,恐らく2001年頃と思います.

 「いなほきっぷ」には4日間有効の往復タイプの他に,4枚つづりの回数券タイプもありました.こちらは有効期間が3ヶ月もあり,たまにしか「いなほ」を利用しない人にとっても使い易い設定でした.

 また,チラシ裏面の下部には「在来線自由席回数特別急行券」の案内もあります.チラシには「自由席と特急券のおトクな6枚つづり」とあります.「自由席特急券の」と書くべきところをミスした可能性があります.

 注目は「1枚ずつ切りはなしてご利用になれます」という箇所です.マルス発券であれば1回分が1枚ずつで発券されるはずです.ということは,当時は常備券だった可能性が読み取れます.

 新潟〜村上間を例にとると,3,780円ですから1枚あたり630円になります.有効期間は「いなほきっぷ」の回数券タイプ(4枚つづり)が3ヶ月に対し,「在来線自由席回数特別急行券」は6枚つづりで1ヶ月しかないのが疑問を感じますが,定期券との組み合わせ利用で消費スピードは早いだろうというJRサイドの読みがあったようです(特急「いなほ号」運転区間の一部では,定期乗車券と特急券類の組み合わせで乗車可能なようです).

 この「在来線自由席回数特別急行券」は,「えちご料金回数券」と名称を変え,4枚つづりとなり,新潟〜村上間は2,400円(1枚あたり600円)に値下げされ,使いやすくなりました.(2011年12月9日記述)




羽越本線 村上駅発行 2003年6月

120ミリマルス券時代の「えちごワンデーパス」

 右画像の券は2003年6月にマルス端末で発券された「えちごワンデーパス」です.村上駅の出札窓口(みどりの窓口)で利用開始日以前に購入したものですが,当時の「えちごワンデーパス」のマルス端末券は120ミリサイズで自動改札非対応でした(当時の新潟地区における自動改札は新幹線のみで,在来線に導入されたのは2004年11月からでした).

 マルス端末券面にエリア表示等はないため,画像下のフリー乗車区間が印刷された紙を別途渡されました.なお,当時のエリアの越後線南端は寺泊駅ですが,後に出雲崎駅まで拡大(後述)され現在(2011年)に至っています.(2011年12月2日記述)




信越本線 新潟駅発行 2001年6月

「えちごワンデーパス」の前身「えちごワンデーきっぷ」

 右画像の券は2001年6月に購入した「えちごワンデーきっぷ」です.きっぷの名称が「えちごワンデーパス」に切り替わった時期は恐らく2001年12月1日と思われます(憶測であり,詳細は不明です).

 エリア,価格ともに「えちごワンデーきっぷ」も「えちごワンデーパス」登場後もしばらくは同じでしたが,後にエリアの越後線南端駅が寺泊から出雲崎に拡大されています(後述).

 前掲の「えちごワンデーパス」と右画像を比較すると,券面,案内スリップの文言が一部異なります.特に異なる点は,「えちごワンデーきっぷ」の案内スリップにはレンタサイクルの営業期間(4/1〜11/30)の記述がなく,冬季もレンタサイクルが利用可能だったように読み取れますが,冬季は画像のものとは別のスリップ(レンタサイクルの記述のないもの等)が用意されていたのか,あるいはレンタサイクル営業期間の記述を忘れていただけなのかは不明です.(2011年12月6日記述)




羽越本線 村上駅発行 2004年6月

85ミリ券になったマルス発券の「えちごワンデーパス」

 前掲のように,マルス端末では120ミリ券で自動改札に非対応だった「えちごワンデーパス」ですが,2003〜4年頃から85ミリ券となり,上越新幹線(長岡,燕三条,新潟)の自動改札にも対応するようになりました.

 右の画像は2004年6月に村上駅で前売りしてもらった「えちごワンデーパス」ですが,有効当日に長岡駅から使用開始しました.(2011年12月2日記述,12月4日加筆修正)




羽越本線 村上駅発行 2004年6月

券面にエリア路線図が入ったマルス発券の「えちごワンデーパス」

 マルス発券の「えちごワンデーパス」にはエリア路線図やエリア区間等の表記はなく,別途フリー乗車区間の「案内スリップ」を手渡ししていましたが,2004年(詳細な時期は不明)にマルス発券の「えちごワンデーパス」の券面上にエリア路線図を印字するレイアウトに変わりました.

 右の画像はエリアが入ったマルス券です.後述するように,自動券売機券では券面にエリア図が入っていましたので,マルス券もそれを踏襲したデザインとなりましたが,新幹線区間のみ,二重線となって判別しやすくなっています.

 別添の「えちごワンデー案内券」を見ると,2004年当時のレンタサイクル取扱い駅は,小国,村上,中条,新発田,豊栄,水原,五泉,津川,巻,弥彦,出雲崎,加茂,東三条の各駅でしたが,以降,取扱い駅は減少の一途を辿ります.(2011年12月2日記述)




羽越本線 村上駅発行 2006年1月

「えちごワンデーパス」での「乗継請求」

 急行(特急)料金の乗継割引が適用されるのは,乗継割引が適用される列車とそれに関連する列車(先乗列車及び後乗列車)の特急券類を同時に購入した場合のみですが,それらの列車が満席で指定席が取れない場合等には「乗継請求」の証明により,後日,空席があった場合等に乗継割引料金で特急券が購入できます(旅客営業規則旅客営業取扱基準規程第97条).

 ただし,実際には「乗継請求」の運用は柔軟になされており,例えば新潟駅乗継での下り「いなほ」号では「(東京から新潟まで戻ってくる)帰りの新幹線の時間が確定できないが,新潟での乗り換えがうまくいけば「いなほ」に乗るかもしれないので,『乗継請求』をお願いします」といった場合にも対応してもらえることがありました.

 右の画像は「えちごワンデーパス」に「乗継請求」をしてもらったものです.この「えちごワンデーパス」と同時に長岡〜新潟間の新幹線自由席特急券も購入したのですが,新潟駅到着の時刻によっては村上まで「いなほ」を使うかもしれない,と申告したところ,「乗継請求」の扱いとしてもらえました.

 実際には新潟から村上まで普通列車を利用したため,乗継特急券の請求は行っていません.(2011年12月2日記述)




羽越本線 中条駅発行 2011年2月

「えちごワンデーパス」の「乗車変更」

 「えちごワンデーパス」の案内券にもあるように,「ご利用開始日の変更は1回可能です.」とあります.

 右の画像は利用開始日を変更した「えちごワンデーパス」です.変更した日の券を通常どおり発券し,券面に「乗変」印を押したものを渡されました.変更した原券は一緒に提示した「案内券」とともに回収されました.

 乗車変更とは何ら関係ありませんが,駅レンタサイクル取扱駅が,小国,村上,中条,新発田,五泉,巻,加茂,東三条の8駅に縮小されています.かつては他に豊栄,水原,津川,弥彦,出雲崎でも取り扱っていました.ちなみに作者は一度も新潟支社管内のレンタサイクルを利用したことがありません.(2011年12月2日記述)




羽越本線 村上駅発行 2005年6月

自動券売機発券の「えちごワンデーパス」

 「えちごワンデーパス」のエリア内の一部駅では券売機で同パスが購入可能です.

 右の画像は2005年6月に羽越本線村上駅の券売機で購入した同パスです.券面にエリア路線図が印字され,別途,「ご案内」券も発券されます.ご案内券のレンタサイクルについての説明は「取扱い駅で」のみの記述で,駅名については省略されています.

 画像の券はオレンジカードで購入したものです.本サイトの「オレンジカードによる購入」でも触れましたが,約1%の節約,つまり15円程度の節約になっています.(2011年12月2日記述)




羽越本線 村上駅発行 2003年7月

エリアが「寺泊」までだった時代の自動券売機発券「えちごワンデーパス」

 右画像は越後線の南端エリアが寺泊駅だった時代の自動券売機発券による「えちごワンデーパス」です.ちなみに,右の券面のエリア端に当たる各駅のうち,「みどりの窓口」が設置されていない駅は寺泊と日出谷(磐越西線)のみです(発券当時の2003年及び2011年12月現在).

 寺泊駅はPOS端末設置の簡易委託駅となっており,恐らく「えちごワンデーパス」の発売は行っていないものと思われます(未確認).そのことと,越後線のエリア南端駅が「みどりの窓口」設置駅である出雲崎駅へと拡大されたことと関連があるのかもしれませんが,日出谷駅との関連性がなく,憶測に過ぎません.後述しますが,日出谷駅は完全無人駅化しており,構内に設置されている自動券売機には「割引のきっぷは,あらかじめ『みどりの窓口』設置駅にてお買い求めください」という掲示もありました.(2011年12月2日記述)




磐越西線 日出谷駅 2011年5月31日

磐越西線日出谷駅の自動券売機

 磐越西線日出谷駅は完全無人駅化され,2011年現在,駅舎も完全撤去されました.

 しかし,ホーム上に待合室があり,待合室内には自動券売機が設置されていました(2011年5月現在).

 右写真はその券売機の硬貨投入口付近を撮影したものですが,「お客さまへのお願い」という張り紙がありました.

 「大変おそれいりますが(中略),割引のきっぷは,あらかじめ『みどりの窓口』設置駅にてお買い求めください.」とあります.

 割引のきっぷ,と表記されると,乗車券制度面からすぐに考えられることは「学割」「ジ割(ジパング倶楽部割引)」「団体割引」「身障者割引」「往復割引」等であり,このうちジ割,団体割引を車内で車掌から求めるのは困難としても,その他については無人駅からの乗車であれば発券してもらえるものと思われ,問題ないとも言えますが,この張り紙の言う「割引のきっぷ」は特企券(トクトクきっぷ),特に「えちごワンデーパス」を差しているものと思われます.

 「えちごワンデーパス」等を無所持で無人駅等から乗車し,下車する有人駅(例えば新潟駅)で「日出谷(無人駅)で『ワンデーパス』が買えなかった,今,ここ(新潟駅)で『ワンデーパス』を買うから,日出谷からここまでは『ワンデーパス』のエリアだからその分は払わなくていいでしょ?」といった旅客が多くいたことから,この張り紙がわざわざ貼られているものと考えられます.このようなトラブルは「ワンデーパス」「ツーデーパス」のエリア内の駅で発生しているようで,村上駅ではこれらのきっぷは事前に買い求めるよう案内する掲示がありました.

 この場合の新潟駅での対応としては,日出谷〜新潟間の普通運賃(1,110円)等を収受し,「えちごワンデーパス」を購入する場合は出札窓口(=みどりの窓口)へ案内するものと思われますが,この後,新潟〜日出谷と戻るのであれば「えちごワンデーパス」を買わずに普通乗車券を購入した方がトータルでは安くなります.無人駅や簡易委託駅から「えちごワンデーパス」等のトクトクきっぷ(特企券)を使う場合には注意が必要です.(2011年12月2日記述)




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