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アビエス・リサーチ制作雑記

磐越西線日出谷駅の過去と現在

(2011年6月4日作成、2011年6月4日最終更新)

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磐越西線 日出谷駅 2011年5月31日

 磐越西線日出谷駅は新潟県阿賀町にあります.磐越西線の福島県最後(最西端)の駅が徳沢,新潟県最初の駅が豊実で,日出谷はその次駅です.

 2011年現在は完全無人駅となっていますが,かつては蒸気機関車の給水や付換え駅として栄えていたようです.

 宮脇俊三・原田勝正編著「国鉄全線各駅停車(2)東北530駅」,小学館,1983.では,当駅について,「運転上,重要な駅であった.急行は停まらなくなったが,いまも駅弁を売っているのがうれしい.島式ホームの中央に大きな待合室がある」と記述されています.

 また,ステーション倶楽部編「駅 -JR全線全駅 上」,文春文庫,1988.では,「SL時代の給水・付換え駅で,停車時間が長かったことから,駅弁が売られるようになり,現在でもつづいている」と書かれています.

 このように,かつては多くの機関車や国鉄職員で賑わっていたであろうことが想像できますが,一方で「快速ですら通過してしまう駅だが,駅弁の立売りがある.駅舎は農協の支所になっている(池田浩規編「JR全線全駅」,弘済出版,1991.)」という記述からも,急行や快速は通過してしまう規模の駅ということも読み取れます.

 作者はこれまでに3回は日出谷駅に訪問しています.1991年に列車行き違いで数分停車した際にホームへ降り,その時には駅弁の「とりめし」も購入しました.駅弁を販売する駅としては全国的にみても非常に規模の小さい駅であり,栄華を極めていたであろう蒸気機関車時代の遺産を食べた気がしました.

 2001年の訪問は飯豊山塊への登山のためでした.7月20日の海の日に上り普通列車から下車し,駅前からタクシーで実川の登山口へ入山する予定でした.1991年の駅訪問で,駅前にタクシーの営業所があったことはなんとなく覚えていましたし,手元のガイドブックではタクシー利用可能駅として日出谷駅が入っています(山岳図書編集部編「東北の山」,山と渓谷社,1995.).

 しかし,駅前のタクシー営業所は閉鎖されており,津川駅からタクシーを呼ばなければならないということでした.公衆電話でタクシーを呼んだところ,「日出谷までの回送料金3,000円が追加になる」というのです.作者は当日,新潟駅から日出谷駅まで来ており,津川はすでに通り過ぎていましだ.このことを知っていれば津川駅で下車していましたが,タクシーが回送される時間,料金そしてJRの津川〜日出谷間運賃も含め,かなり損をしたことになります.まあ,回送のタクシーを待つ間に臨時快速「ばんえつ物語号」の日出谷駅停車シーンを見ることはできたのですが...

 2011年の訪問は会津朝日岳登山後に友人の車で寄りました.タクシーの営業所があったと思われる場所は更地になっていました.このページ写真のコンクリート部分が恐らく営業所跡です.さらに農協が入っていた駅舎も更地になっていました.駅弁の「とりめし」も時刻表上の駅弁販売駅表示から消えた後も,SLばんえつ物語号運転日には販売を行っていたようですが,2010年にその販売もやめてしまったということです.

 当サイトの日出谷駅のページでも紹介しましたが,駅構内にはもはや宿泊には使われなくなったであろう乗務員宿泊室が建っていたり,側線の遺構や,元々行き違い駅だったことが分かる施設が残っています.しかし,作者が最初に訪れた1991年と比べても,駅そのものも,駅周辺も寂れた感が否めません.

 大きく10年単位で日出谷駅を見ていくと,1970年頃は蒸気機関車が最後の活躍をしており,給水・機関車付換えで華やいでいた最後の時代,1980年頃は列車の夜間滞泊もあり,国鉄の直営駅として機能していた最後の時代,1990年頃は夜間滞泊列車はなくなり,非直営駅化はされたものの,駅窓口は簡易委託扱いで駅舎に農協が入り,列車の行き違い設備は残されていた最後の時代,2000年頃は棒線駅化されたものの簡易委託は継続され,かろうじて駅での弁当販売が残っていた最後の時代,そして2011年には完全無人駅となり,駅舎もなくなり,駅での弁当販売も完全撤退してしまったことになります.この先,10年後,20年後の日出谷駅はどうなっているのでしょうか.(2011年6月4日記述)



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