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お得なきっぷの買い方ガイド 〜大都市近郊区間内の経路に新幹線を含めた発券

(2011年11月21日作成,2011年12月24日最終更新)

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2009年4月 名鉄観光 豊橋支店発行

大都市近郊区間内完結乗車券への新幹線経由組み込み

 大都市近郊区間内発着の乗車券は(営業キロ101キロ以上であっても)途中下車不可です(旅客営業規則156条).大都市近郊区間のうち,東京圏(東京近郊区間)はSuica利用範囲の拡大と共に範囲が膨張しており,2004年3月には東北本線では黒磯まで範囲が拡大されました.

 そのため,例えば右画像のような田浦(横須賀線)〜黒磯間(223.6キロ)も,大都市近郊区間内で完結する乗車券が発券可能であり,その場合は有効当日限り,途中下車不可,となります.

 しかし,右画像のように,経由に新幹線を含めることにより,「大都市近郊区間内完結」のルールから外れた乗車券になり,101キロ以上については有効日数2日間(以上),途中下車も可,になります.101キロ以上で移動の旅程が複数日に亘る場合や,途中下車をして移動したい場合には,乗車区間が大都市近郊区間内完結であっても,新幹線を経由に組み込めるルートであればこれらの扱いが可能です.

 また,経由に新幹線を組み入れたからといって,必ず新幹線に乗らなければいけないことはありません.選択乗車が可能ですから,決められた経由から外れない限り,例えば右画像の例で言えば,東京〜上野〜大宮〜小山〜宇都宮〜那須塩原間は新幹線でも並行する在来線(東北本線)のどちらでも選択して乗車ができます.

 但し,新幹線を経由に含めると,大都市近郊区間の特例である記載経路以外の選択乗車(たとえば右画像の乗車券で,川崎から武蔵野線で大宮へ出て黒磯に向かう,等)は不可となります.

 このように,大都市近郊区間が拡大された今日では,101キロ以上で途中下車や複数日有効とするため,新幹線を上手に経路内に組み入れて発券してもらうテクニックが存在します.右画像の例で例えば東京駅で一旦下車をする場合,田浦〜黒磯まで大都市近郊区間内完結の在来線経由の普通乗車券では「途中下車不可」という予備知識を持って田浦〜東京(1,050円)と,東京〜黒磯(2,940円)で区切って買ってしまうと計3,990円となり,「新幹線経由」を含めた通しで買うより100円高くなります.

 と,ここまで読むと,新幹線経由を含めて長距離の乗車券とし,途中下車可の券を購入するのが得策と思えますが,実際には田浦〜東京を新橋で区切って「分割購入」すると,田浦〜新橋780円,新橋〜東京130円の計910円となり,さらに安く抑えることが可能,という奥深さも秘めています.(2011年11月21日記述)




2011年10月 中央本線中野駅発行

大都市近郊区間内で接続する社線との連絡乗車券への新幹線経由組み込み

 大都市近郊区間内発着の乗車券は(営業キロ101キロ以上であっても)途中下車不可です(旅客営業規則156条).発駅または着駅が社線の駅であっても,社線との乗継駅が大都市近郊区間内の駅であれば,この規則は適用されます.

 社線との連絡乗車券であっても,JR線区間が「大都市近郊区間内完結」であれば,「(JR線の)運賃計算に用いた経路以外の他の経路を選択して乗車できる」ルールは当然残るわけで,社線が発駅または着駅になっているかどうかは関係ありません.

 ただし,JR線区間が大都市近郊区間内発着であっても,経由に(大都市近郊区間の駅内で完結する区間の)新幹線を経由に含めた場合,旅客営業規則156条の適用除外となり,営業キロ101キロ以上については有効日数は2日間(以上)になり,(一部区間を除いて)途中下車も可能です.

 右画像の券はJR東日本中央本線中野駅から第3セクターひたちなか海浜鉄道湊線平磯駅ゆきの連絡乗車券です.発券の際,JR線の経由に新幹線(東北新幹線東京〜上野間)を含めてもらったため,大都市近郊区間内完結ではなくなり,営業キロも100キロを超えるため,2日間有効で途中下車可能な乗車券になっています.

 実際の旅行では四ツ谷,水戸,那珂湊の各駅で途中下車しました.JR線部分(中野〜勝田)について,途中下車した各駅で分割して購入していった場合の運賃は,中野〜四ツ谷(160円),四ツ谷〜水戸(2,210円),水戸〜勝田(180円)で計2,550円です.ひたちなか海浜鉄道湊線の勝田〜平磯間は420円ですから,中野から平磯までの合計は2,970円となり,画像の券のように通しで購入するより340円も高くなります.このように,旅行の途中駅で下車する予定がある場合,途中下車可能な乗車券を所持しているとお得になる場合があります.

 なお,JR以外のいわゆる民鉄(社線)では,2日間以上有効のJR連絡乗車券について,JRの規則に準拠して社線内途中下車を認める会社と,社線内途中下車を認めない会社があるようです.

 ひたちなか海浜鉄道では途中下車を認めるようで,画像の乗車券で途中下車させてもらえましたが,連絡乗車券の発売範囲(連絡運輸区域)や社線側での発券の可否を巡っては発売対応に流動的な要素が多く,この時の旅行でもいくつかの疑問と旅客側の不利を感じる場面がありました.この点については別途,アビエス・リサーチ制作雑記の「連絡乗車券の購入」に記述しました.(2011年11月21日記述,12月6日加筆修正)




1991年11月 (東北本線)上野駅改札発行

大都市近郊区間内完結乗車券を「区変」して途中下車をする

 国鉄時代の1984年頃,作者の友人と,鎌倉在住の友人の祖父と鎌倉から常磐線荒川沖までの乗車券を購入し,上野で途中下車する,という行程で旅行していました.

 上野駅改札で途中下車を申し出たところ,「この(大都市近郊区間内完結の)乗車券では途中下車不可で,改札を出場すると前途無効になる」旨の説明を受けました.ところが,友人の祖父は駅員にかつては途中下車ができた,と主張したところ,駅員の案内で上野駅構内の窓口(どこの窓口かはもはや覚えていません)で,「途中下車切符」という聞いたこともない切符を購入して上野駅での出場(途中下車)が認められた経験があります.

 当時は切符収集や制度系に関する趣味も皆無で,上野駅構内をやたら歩き回された記憶しかないのですが,今になって思うと,この「途中下車切符」なるものが果たして何なのか(硬券だったと記憶しています),価格はいくらだったのか,何を根拠に途中下車を認めてもらえたのか,など,疑問だらけです.

 友人の祖父が主張した「かつては途中下車可だった」の「かつて」は恐らく大都市近郊区間制度が導入された1973年以前であり,当時すでに10年以上も前のルールだったにもかかわらず,途中下車切符なる扱いがあったのも今になって思うと不思議です.

 1984年当時の大都市近郊区間(東京近郊区間)の範囲のうち,常磐線は土浦以南です.ですから,上野駅で出場不可,と言われた際に,前述の「途中下車切符」なるものがなかった場合,改札で「土浦の一つ先の神立駅を着駅として区変(区間変更)してください」と申し出れば,大都市近郊区間を外れ,「2日間有効」の途中下車可のきっぷに変更できます.

 1984年2月当時の運賃では鎌倉〜荒川沖間が1,800円(101キロ以上)ですので,荒川沖〜神立間の運賃180円を収受して区変の取扱いができたものと思われます(「途中下車切符」は180円よりも安かったものと思われますが,今となっては不明です).

 当時のきっぷが何も手元に残っていないため,まったく別の時期,区間の例にはなりますが,非常に似た例を紹介します.右画像の区間変更券は,総武本線四街道駅から800円区間の原券を上野駅改札で水戸線稲田駅までの区間に変更したものです.着駅や経由が補充式になっているあたりが印発券らしさを醸し出しています.

 原券の800円区間はそもそも営業キロ100キロ以下ですから大都市近郊区間内完結でない場合も途中下車は不可です(というか,800円は四街道〜上野間の当時(1991年11月)の運賃に相当します).これを四街道駅から101キロ以上離れた稲田駅までに変更することにより,「2日間有効」の途中下車可能なきっぷに変えることができたわけです.区変の差額は原券が100キロ以下ですので,発駅の四街道と稲田との運賃(常磐・友部経由)との差額で計算する点が前述の鎌倉〜神立の区変と異なりますが,上野駅で区変を申し出る点は共通です.

 ちなみに,2011年現在,四街道も稲田も東京近郊区間に含まれますので,上野を経由しても運賃は最短の成田線経由(東我孫子経由)で計算できます(2011年現在の運賃で2,210円.但し途中下車は不可).

 このように,大都市近郊区間が比較的小さなエリアだった時代には,エリア外へはみ出す区変を申し出ることによって途中下車可能なきっぷに変更することが可能でしたが,エリアが広大になった2011年現在では,例えば常磐線の場合は水戸から分岐する水郡線の常陸青柳まで区変しないとこのようなテクニックが使えません.

 そこで,現在は新幹線を含めた「経路変更」による区変で途中下車可能なきっぷを発行してもらう方法が主流かと思います.(2011年11月21日記述,12月24日最終加筆修正)




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