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お得なきっぷの買い方ガイド 〜運賃・料金券の優遇区間

(2011年10月21日作成,2012年12月21日最終更新)

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2000年9月 東海道本線三島駅発行(上)・
2009年4月 同駅発行(下)

東京〜三島間の新幹線自由席特急券(120.7キロ)

 「優遇」の意味を辞書で調べると,「他の(人の)場合よりよい待遇をすること」とあります(新明解国語辞典第5版,2003,三省堂).このページでは他の場合,つまり,一般の運賃計算ルールよりも有利な「運賃」「料金」待遇がなされている区間例を挙げたいと思います.

 この「代表例」とも言えるのが,東京〜三島間の新幹線特急料金です.両駅間の営業キロは120.7キロありますので,本来の東海道新幹線自由席特急料金(101キロ〜200キロまで)であれば2,410円になりますが,その下の料金帯(51キロ〜100キロまで)の1,680円の料金で乗車できます.「優遇額」は片道で2,410-1,680=730円,往復では1,460円となり,爆安です.

 自由席で例を挙げましたが,指定席も差額(優遇額)は同じです.なお,グリーン料金に関しては実営業キロに基づいて算出するため,「優遇」はありません.

 また,東京〜熱海間も営業キロは104.6キロありますが,同様に51〜100キロまでの料金に据え置かれ,「優遇」されています(後述).

 右画像上部の券は平成12年(2000年)9月に三島〜東京間の「こだま」号を利用した時の特急券です.この「平成12年(2000年)9月12日」はいわゆる「東海豪雨」で前日の11日から降り続いた大雨により,東海道新幹線では何本もの列車が線路上で抑止を受け,車内で一昼夜明かす乗客も多数発生する等,東海道新幹線開業以来,最長の運休,遅延が発生した日でした.

 作者は集合場所が三島駅(北口)になっていた研修に参加するため,12日の早朝からダイヤの乱れた東海道本線(在来線)を西進し,集合時間前の昼前には三島駅に到着できたものの,この大雨により12日からの研修は急遽中止となったことを現地(三島駅)で知らされました.その旨を公衆電話から職場(当時の作者の職場は佐渡島)へ掛けたところ,「今,どこにいるんだ?三島駅?新幹線がマヒしているのにどうやって三島駅まで行けたんだ?研修中止の連絡はこっちにも既に入っているぞ,すぐに帰って来い.」と言われ,取りあえず三島から東京までの新幹線自由席特急券を購入して新幹線改札を通ったところ,ちょうど上り「こだま号」が入線,運良くすぐに乗り込むことができました.

 到着した東京駅新幹線乗り換え改札では,動かない下り新幹線を待つ客や,大幅遅延を食らってようやく上り新幹線で到着した旅客らで混雑しており,すべての自動改札機は開放され,遅延客等の払戻し等に対応する措置が取られており,改札における新幹線の切符類はノーチェック状態でした.なお,上越新幹線や佐渡汽船はダイヤ通り動いており,当日中に佐渡島まで帰ることができました.

 右画像下部の券は同じ三島〜東京間の新幹線自由席特急券ですが,東海道新幹線品川駅開業で様式が変更となった後のものです.(2011年10月21日記述,10月30日加筆修正)




2010年2月 (東北本線)上野駅発行

東京〜熱海間の新幹線自由席特急券(104.6キロ)

 前項でも記述しましたが,東京〜熱海間も101キロ〜200キロ圏にあるものの,100キロ以下の新幹線特急料金の恩恵を受けられる「優遇」区間です.

 右画像は上野駅で購入した東京〜熱海間の新幹線自由席特急券です.画像だけ見ると何の変哲のないマルス券ですが,前掲の2000年9月購入の三島〜東京間特急券同様,旅行にまつわるエピソードを秘めています.

 当日,作者は仙台での会合から豊橋へ帰宅するため,福島駅から東北新幹線に乗車しました(東北新幹線乗車駅を仙台とせず,福島としたのは特急料金が730円安くなるからです).

 ところが,チリで発生した大地震による津波が日本の沿岸にも到達する恐れがあり,日本国内の各所に津波警報・注意報が発令されたため,上野駅に到着した15時頃には東海道本線藤沢〜熱海間が運転を見合わせていました.上野から豊橋までの全区間は在来線で帰宅する予定でしたが,藤沢以西が不通のため,東京〜熱海間を新幹線で「迂回」することにしました(その時手元にあった東京〜熱海間の「1,620円」誤発券Bグリーン券を払い戻したことは当サイトの「マルス券・POS券」ページに記述).

 熱海までであれば新幹線特急料金も「優遇」されており,誤発券の「1,620円」Bグリーン券との差額も僅か60円ということで,「お得な迂回」と思いながら東海道新幹線に乗車しましたが,熱海以西も在来線が正常に動いているか不透明であることから,そのまま東海道新幹線で目的地の豊橋駅まで乗り越ししました.そのため,右画像の券面には豊橋駅の「無効」印が押されています.

 本ページの「運賃・料金券の優遇区間」からは逸れた旅行にまつわる話ばかりとなってしまいましたが,新幹線特急券ではこれらの区間のほか,大宮〜盛岡,東京・上野〜宇都宮,東京・上野〜高崎・安中榛名,京都・新大阪〜博多,博多〜新八代間で営業キロによる距離帯料金表に拠らず,優遇された料金が設定されています.

 ちなみに,東京〜熱海・三島でワンランク下の100キロ以下の距離帯による料金設定となっている理由ですが,東京〜熱海間の営業キロが104.6キロで,100キロを僅かに上回るだけ,ということから,この僅かな距離で101キロ以上の新幹線特急料金を徴収するのは申し訳ない,という国鉄の配慮があったものと思われます.

 では,東京からの営業キロが120.7キロの三島は?というと,東海道新幹線三島駅開業が,同新幹線新大阪開業から5年遅れの1969年であり,熱海で優遇料金を設定してしまったがために,三島では「正規」の101キロ以上の料金設定ではこれも「申し訳ない」と国鉄が思って「優遇特急料金」の設定とした,と勝手ながら想像しています.

 なお,東京〜熱海間は104.6キロですが,品川〜熱海間は97.8キロです.もし,国鉄時代から東京〜熱海間の新幹線特急料金を「101キロ以上200キロまで」の料金帯で設定していた場合,品川開業により,品川〜熱海間の新幹線特急料金を「100キロまで」で計算していたか(つまり,現在の「品川駅発着の新横浜以遠の特急料金は東京発着と同額」のルールが存在していか)は疑問です.国鉄が東京〜熱海間の新幹線特急料金を「100キロまで」としたのは,まさか将来の「品川開業」を見越していたから,とは思えません.

 但し,新幹線グリーン料金については実乗の営業キロに拠りますので,東京〜熱海間は200キロまでの2,670円,品川〜熱海間は100キロまでの1,240円となります.(2011年10月21日記述,10月30日加筆修正)




1999年11月 新潟駅発行

大宮〜盛岡間の新幹線特急券(505.0キロ)

 大宮〜盛岡間は営業キロ505.0キロですが,新幹線特急料金は500キロ以下の料金帯が適用されるオトクな区間となっています.

 これは1982年の東北新幹線の暫定開業(大宮〜盛岡)時,500キロをたった5キロ余分なだけで新幹線特急料金がワンランク上がることを避けるための特例措置と言われています.

 1982年の東北新幹線開業はあくまで「暫定」であり,始発駅は大宮だったことから,上野駅や東京圏からの利用者にとって乗り換え等の不便が強いられる上に,たった5キロ差で501-600キロ料金帯の負担が発生することが問題視されたからのようです.

 画像の新幹線特急券は通常期のもので,5,130円です.ちなみに,501-600キロ帯の特急料金は5,450円(通常期)のため,差額320円がお得です.

 大宮〜盛岡間の優遇措置は東北新幹線の上野開業(1985年),東京開業(1991年)でも継続され,現在に至ります(「はやぶさ」料金は除く).((2011年12月21日記述)




2010年2月 東海道本線京都駅発行

特定区間運賃による優遇区間・京都〜大阪間

 JR線の東京地区,名古屋地区,大阪地区のうち,主に平行私鉄(民鉄)と競合関係にある区間の一部では,通常の普通運賃や電車特定区間等による運賃ではなく,「特定区間運賃」として区間ごとに定めた優遇運賃が適用されています.

 例えば右画像の京都〜大阪間(営業キロ42.8キロ)の場合,電車特定区間運賃を当て嵌めれば690円になりますが,この区間では阪急等の競合私鉄が存在するため,540円の「特定区間」運賃が適用されます.

 特定区間内であれば「お得」ですが,逆に特定区間を1駅でもはみ出すと通常の運賃計算となることから,そのギャップが非常に大きく,例えば京都の一駅米原寄りにある山科と大阪間(48.3キロで,電車特定区間からも外れるため,本州3社幹線運賃適用)の運賃は820円となり,たった一駅(営業キロ5.5キロ差)で280円もの運賃差が発生します.

 このように,特定区間運賃内の利用を積極的に考えることはもちろん,乗車券や定期券の「分割購入」等もうまく組み合わせることにより「お得なきっぷの買い方」へと繋がっていきます.

 それにしても,国鉄は「特定特急券」「電車特定区間」「特定区間運賃」等,「特定」という用語を多用する傾向にあったことが分かります.(2011年10月21日記述)




2010年10月 東海道本線豊橋駅発行

特定区間運賃による優遇区間・名古屋〜岐阜間

 JR東海の名古屋圏でも名鉄や近鉄と競合する区間に普通運賃を優遇した「特定区間運賃」設定があります.

 東海道本線名古屋〜岐阜間(営業距離30.3キロ)もその一つで,幹線片道普通運賃(570円)より120円安い450円に設定されています.

 右の画像はSmart ICOCAの利用履歴をJR東海管内(豊橋駅)で印字したものです.履歴の上から4行目にある「0519 入 岐阜 出 名古屋」は2011年5月19日に岐阜駅から名古屋駅までの利用に使った履歴で,引去り額は450円です.

 これだけ見ると岐阜〜名古屋間の特定区間運賃をSmart ICOCAで利用しただけにしか見えませんが,実際には岐阜から高山本線に乗って美濃太田へ出て,美濃太田7:06発の「ホームライナー太多2号」に乗車,多治見を回って名古屋へ出て下車しています.つまり,高山本線〜太多線〜中央本線の大回り乗車をしました.

 2010年3月からはJR東海のTOICAエリアにこの大回り区間(環状となるエリア)は含まれており,この例の場合,岐阜から名古屋まで多治見を回っても枇杷島を回っても安い方の運賃(この場合,枇杷島経由)をカードから引き去ることになっています.このため,岐阜〜名古屋間を太多線経由で移動しても,運賃の安い枇杷島経由で計算され,しかも両駅間は特定区間運賃が設定されているため,非常にお得です.

 ただし,名古屋圏は大都市近郊区間の設定がないため,ICカード乗車券ではなく,普通乗車券類を利用する場合,即ち岐阜駅で「450円区間(または岐阜から名古屋ゆき(東海道線経由)の乗車券)」を購入した場合,太多線回りでは移動できません(太多線回りの運賃計算キロに基づく区変が必要です).

 この例のように,岐阜〜名古屋間を太多線回りでお得に乗車したい場合は,必ずICカード乗車券(TOICA等)で移動する必要があります.(2011年11月1日記述)




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